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書評 221 「伊藤典夫翻訳SF傑作選 最初の接触」

往年の名翻訳家、伊藤典夫が手がけた短編7編をまとめた文庫。

ラインスターの「最初の接触」読みたさに購入。いわゆるファーストコンタクトものの元祖的作品として余りにも有名で、その筋書きは十分に知っているのだが、未読。知っているのに読んでも面白いのは、やはり名作ということか。

7編はいずれも1960年代以前の作品で、SFの古典と言ってもよい。今から見るとアイデアはどれもSFの王道的なものばかりで驚く様な展開は無いのだけれど、発表された当時は斬新だったのでは無いか。

また、現在までの間に科学の進歩で分かったこと、それが既に一般常識化したことが頭にある者からすると、基本的な設定に苦笑してしまうこともあるが、作品冒頭に発表時期が記載されているので理解はできる。

なにより文章が読みやすい。翻訳が秀逸なのはもちろん、50年経過しても違和感無いのは日本語としてこなれているから。

SFファンなら手に取りたい一冊。


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