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書評 184 「笑いのある世界に生まれたということ」

脳科学者として著作やテレビ出演が多い中野信子さんとお笑いコンビEXITの兼近大樹さんの対談で、笑いの存在意義や笑いを感じる要素などが解説されていく。

お笑い芸人が人を笑わせるテクニックが科学的な笑いの要因と重なっていることがよくわかり、学校の勉強とは違う頭の良さが芸人には必要だと理解できる。一発ギャグではなく、話術やネタ作りで笑わせることの難しさ。それをここまで簡単に出していいのかと思わせるくらいにわかりやすい。

中野さんは兼近さんの才能を高く評価していることを本書内で率直に書いている。何かと叩かれる彼の評価を高めたいというのも本書の狙いの一つなのだろう。彼が自ら人生の道を開いていくのにお笑いという手段を選んだこと、そこにたどり着くまでには社会的に問題あることに携わったことも正直に書いている。これをどう評価するかは「更生」という言葉の意味にもつながる。

笑いの深さ、それを学べる一冊。


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