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書評 225 「検事の矜持」

長年検事を務めた著者が、検事の行動や考え方を語る。実際に自分が携わった事件を中心に実例の中で見せていく。

所謂「犯罪」を法に照らし合わせて、どの様に論理的に立件していくのか。疑わしい事案をどうやって見つけ、証拠をいかに集めていくかの過程。被疑者との取り調べで証言(本心)を聞き出すためにどんな考えを巡らすのか。そんなことが描かれている。

「取調べは単に犯罪の嫌疑を明らかにするためではない。被疑者の立場に立って、その人生を追体験しながら真相を語らせ、反省を求める場である」との記述には、検事が検事たるべき姿勢が表されている。私自身はそうではない検事も少なからずいると見ているが、そうであって欲しいと思いながら読み進めた。

著者は絵画や建築にも造詣があるようで、その分野のコラムも挟まっている。本編と関係は無いが、著者のそういう側面も知って欲しいということか。

一般人が刑事事件の実際を垣間見られる一冊。


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