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書評 180 「砂戦争」

砂に価値があるとはなかなか思わない。それも綺麗な白い砂ではなく、ジャリジャリとした砂に。

コンクリートの骨材として砂は必須、との説明から入る。では、砂漠の砂を使えばいいのでは、との問いにも答えが用意されている。ある理由で砂漠の砂は役に立たないようだ。
そして、海面の埋め立てにも砂が使用される。シンガポールの国土は他国から輸入した砂による埋立地で拡大されていると聞けば、なんともモヤモヤとした気持ちもする。

どの国の大都市でもニョキニョキと建つ高層の建物。そして、埋め立て地の増加。これらに必要な砂を自国内で賄える国の方が少なくなっており、砂は重要な貿易物資となっている。このために違法な乱掘が絶えず、山を切り崩す、川底を掘り取るといった行為が大変な自然破壊となっていることを著者は指摘する。

加えてどうやって砂ができ、砂浜が形成されるのか。そんな砂にまつわる話も盛り込まれ、ちょっとした砂博士になれる一冊。


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