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書評 157 「言語学バーリ・トゥード」

言語学者であり、人工知能の言語処理分野の経歴を持つ著者のエッセイ集。言語学とは何を学ぶのか、という事に触れられた箇所もあるが入門書ではない。

言語や言葉に題材を取り、言語学者の視点からどう見えるか、どう解釈するか。そんな話が多い。それも学者が平易な言葉で書くパターンではなく、ライターが雑誌に書くカジュアルな文で、著者の経歴に触れなければ学者の書いた本とは思えないほど。

しかも、所謂「若者言葉」をふんだんに使っているのも面白く、馴染みのない年配者には意味のわからないところもあるのではないか。失礼ながら著者は若者世代ではなく、年配者に近い人なのにこういった言葉を無理なく使えるのだから、普段から多種多様な媒体に目を通しているのだろう。

プロレスを中心に著者の幅広い雑学的な関心分野も反映されているが、これもオタク的な面白さがある。

学術的視点を入れながらとてつもなく面白いエッセイを楽しめる一冊。

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