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書評 181 「ホワイトフラジリティ」

米国で人種差別はなぜ無くならないのか。それを徹底的に追求している。

著者の答えは、米国の歴史の中で滲み透る様に根付いているにも関わらず、それを認めない白人が多数であるため。あまりにも無意識に差別的行為、言動をしていても白人側に自覚が無い。一方、非白人はそれをシビアに感じていながら諦めている。

人種差別は悪であり、そうであるからこと存在するはずがない。少なくとも自分はその枠外である。これが多くの白人の大前提となって、事実自分はそうであるとの意識の固定化があまりにも強すぎる。著者は様々な場面でそれを白人に指摘するが、否定、拒絶されることが多いそうだ。

こういった内容を著者が経験した実例を交えながら、全編に渡って繰り返し綴られている。もうわかったよ、と言いたくなるほどだが、それだけ著者の危機感は強いのだろう。本来、米国民に向けた書であることも思い返したい。

改善を阻む思い込み。その怖さを認識させる一冊。


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