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書評77 「バレット博士の脳科学教室 7 1/2章」

原題は「Seven and a half lessons about the brain」。著者は心理学者ながら神経科学の知見も有し、人間の脳の仕組みを研究する。

脳科学の入門書だが、用語集や基礎知識の初歩解説とは違い、人間の脳の機能を専門用語を使わずにわかりやすく綴った読み物。

脳科学の一般に向けた解説では比喩を用いての説明が多い。著者はそれを良しする一方で、その比喩(メタファー)が実態であるように理解されることに警鐘を鳴らす。それが、脳科学への理解を誤った形で広めていると。学者の肩書きを持つ人でもその誤解が散見されるという。本書でも比喩を使いながら、「これは比喩だ」と強調して書く箇所がある。脳科学に興味のある人にはこの点が視点の転換を促してくれそう。

生存のために発達して来た人間の脳。そこに哲学的なものはない。しかし、人間の脳にしかできないこともある。そこに気づかせてくれる一冊。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011839

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