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【ネタバレ解説】レイ出生の秘密は、エピソードⅦの時点で「レイのテーマ」に隠されていた!

既に賛否渦巻く『スカイウォーカーの夜明け』ですが、ラストシーンに特化した音楽面の分析を、講談社の現代ビジネスに寄稿いたしました。

詳しくは、そちらをご参照いただきたいのですが、この記事内では楽譜や音源を用いることが出来ませんでしたので、その部分をnoteの投稿で補いつつ、上記記事でも語れなかった「レイのテーマ」に隠された重要な秘密を解き明かしていきます。

※ここからは先は、重大なネタバレ有り※

つまるところ、前述した記事内の趣旨を、強引に要約すれば……、
「レイのテーマ」がどのように作られたのかを紐解くと、『スカイウォーカーの夜明け』のラストシーンが更に味わい深いものになる。
というものでした。

鐘の音による旋律は、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」に基づき、そのあとに登場する主旋律は、いわゆる「フォースのテーマ」と同じコード進行が付けられているのです。

それを楽譜で表すと次のようになります。

レイのテーマ解説00

でも、こうして楽譜にしてみると、上記の記事では取り扱わなかったもうひとつの疑問が浮かびませんか? 「じゃあ、最初のモティーフAは、他の曲と関係がないのだろうか」と。

実は、この部分にこそ、本作最大のネタバレ禁止要素が隠れているのです。そう!、レイの本名はレイ・パルパティーンで、新旧三部作のラスボス的な役割を担ったパルパティーン皇帝の孫だったのだ!……というあの件です。

そもそも、オープニング・クロール(黄色い文字が登っていくアレ)で、パルパティーンの復活が語られた際に、ガックシきた方もいらっしゃるでしょう。「またかよ!」「それしかないのかよ!」等など……。熱心なファンによれば、映画以外のスターウォーズ・シリーズ(小説やコミックなど)では、パルパティーンが復活する可能性があることは匂わされていたそうですが、映画だけを観ている大部分の観客からすれば、前作『最後のジェダイ』でライアン・ジョンソンが後先考えずに最高指導者スノークを殺してしまったが故に、無理やり後出しで付け足した設定のようにしか思えないわけです。

と・こ・ろ・が!「レイのテーマ」には、ちゃんとパルパティーンとの関係が匂わされていたのです。「レイのテーマ」冒頭の素朴な単旋律(モティーフA)は、なんと「パルパティーンのテーマ」から作られた旋律だったのですから!

※なお「パルパティーンのテーマ」は、『ジェダイの帰還』のサウンドトラック内の「Emperor(帝国軍皇帝)」の 0:23~ などで耳にすることが出来る。

レイのテーマ解説

そして「パルパティーンのテーマ」の後半(「Emperor(帝国軍皇帝)」の0:50~)からは、「カイロ・レンのテーマ」が生まれています。

つまり、作曲家のジョン・ウィリアムズはエピソードⅦ『フォースの覚醒』を作曲した時点で、レイとカイロ・レンの2人はパルパティーンと何かしらかの関係がある……という前提で音楽を付けているようなのです。こう考えてみると、パルパティーン復活は決して、思いつきでなされたわけではないことが分かるでしょう。

御年87歳、ジョン・ウィリアムズという真の巨匠の音楽が、スターウォーズにどれほどの深みと凄みを与えたのか……。1曲について解説しただけでこれほど複雑なのですから、その全容は未だ掴みきれないほどです。

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