見出し画像

教え子へ 〜祖母が遺したネタ帳〜

私が最も尊敬する人の一人は、祖母です。
祖母はシングルマザーであり、起業家であり、教師でした。戦後23歳の時に「これからは洋裁の技術が必要」と考えて「緑が丘女学院」を立ち上げ、その後74年間続く洋裁専門高等学校を切り盛りしてきました。80代になっても、現役で教壇に立ち指導し続けるだけでなく、「これからは介護。緑が丘を介護学校に変えよう」と更にチャレンジしようともしていました。

とてもパワフルな人。好奇心旺盛で、執着がない。いつもひょうひょうと、さっぱりとしていて、気持ちのいい笑顔の人。小さな事にこだわらないが、マナーや礼節は大切にする人。そんな祖母だから、学校の生徒や職員みんなから慕われていました。

画像24

ちなみにこちらが緑が丘女学院(1945~2019)。現在は民間教育センター・ヴェルデとして引き継がれ、小中学生の学びの場になっています。

数年前、私が帰省して祖母に会ったとき、一冊のノートを見せてもらいました。それは祖母の「ネタ帳」ともいうべきノート。生徒に「心の美しい人」に育ってほしいと常々願っていた祖母は、日々考えたことや見聞きしたことのうち「これは生徒に伝えたい」と思った言葉を、そのノートに書き溜めていたのでした。

そして先月、祖母は98年の人生を安らかに遂げました。私は祖母の考えや価値観をできるだけ自分の中に取り込んでいきたいと思い、コピーを取らせてもらっていた「祖母のネタ帳」を改めて見返しながら、全部で千ほどある言葉を一つ一つ打ち直して、カテゴリごとに整理・編集しました。あくまで私個人のために作ったものではありますが、今後もしかしたら祖母の教え子に改めて伝わる機会もあるかもしれない、と思ったのでnoteで共有してみることにしました。(脈絡ない言葉をつなぎ合わせた長文になっており恐縮です)

スクリーンショット 2020-11-30 16.00.04

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




1.人生 〜この旅路にどう向き合うか?〜


生涯

1-1.生涯

裏をみせ 表もみせて 散るもみじかな

苦しみの隣り合わせに喜びがあり、失うことは与えられることと隣同士です。
雨の日は雨の日の、悲しみの日には悲しみの日のかけがえのない大切な人生。災難の時は災難に遭うがよし、死ぬ時は死ぬがよし。努力でも解決できないことはある。問題だらけの、ずたずたの人生も受け入れる覚悟を。

人生には、谷も山もあります。人生は想定外そのものだから、最後の一瞬まで分かりません。
どうであろうと、人生はすばらしい。恐れずに、味わい尽くしましょう。誇りと愛情をもって取り組みましょう。たまには涙を見せてもいいけど、楽しい事や嬉しい事の探求を忘れないように。

人生は、生まれる前へ還る旅。子供叱るな、来た道だもの。年寄笑うな、行く道だもの。
「生まれる」のは自分の意志ではないが、「生きる」のは自ら働きかけるもの。望まなければ与えられない、踏み出さなければ届かない、誓いがなければ支えれない。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

心の持ち方

1-2.プラス思考

人生、辛いことを探せば、辛い事ばかり。嫌なことを探せば、嫌な事ばかり。嬉しいことを探せば、嬉しいことばかり。ありがたいことを探せば、ありがたいことばかり。
幸せは求めて得られるものではなく、心の持ち方にあります。心によって喜びを感じ、心によって絶望を感じる。幸せを見つけ出せる心を育てましょう。

マイナス思考とプラス思考、受け止め方は自分でコントロールできます。
人を妬んだり、人のせいにして恨みや愚痴を言っていませんか?それは自分がマイナス思考で考えているから。
物事をとらえる態度次第で人は幸せにも不幸にもなります。物事を明るい方向に考え、マイナスをプラスに変える生き方をしましょう。

感謝の心が幸せをもたらします。
よい運命の主人公になりたいならば、感謝と歓喜の感情を持つことです。小さな喜びに感謝しましょう。
一笑一若、一怒一老。若くても、心の老化は起きます。笑顔をたもって楽しい一日にしましょう。

前向きの強い気持ちが成果をつくります。
「いけない」とか「やれない」とか言う前に、「やってみよう」と思うこと。そこに知恵と工夫が生まれます。
道は無限にある。行き詰まるのは、行き詰まるような考え方をしているから。行き詰まらない考えに変えれば、通ずる道が見えてきます。
ポジティブに生きる人には人が集まり、ネガティブな人からは人は遠ざかります。

一つ散ればまた一つ咲く。
どんなくらい夜も、必ず明るい朝が来ます。味わい深い日々を生きる楽しさを自ら求めましょう。
未知である人生を明るく切り開くのは自分です。価値は与えられるものでなく、自分から見つけてゆくものです。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


美しさ

1-3.美しさ

本当に、美しいものだらけの世界です。あなたも美しい、私も美しい。

人間の心の美しさとは?見つめ直してみましょう。どんな状況にあっても、人は希望と自由と尊厳を無くさない限り美しい存在です。
日々の心の持ち方が、顔や動作の美しさを作ります。美しい心があって、すばらしい仕事、行為ができるのです。
充実した晩年を過ごす人と、不満ばかりで虚しく過ごす人の違い。それは「人間の本質」に対する考え方です。

みずみずしく生き、美しく年を重ねる。
年相応に変化する方が美しい。健やかに明るく鮮やかに生きる「美しい生き方」を。一度しかない人生です。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


今を生きる

1-4.今を生きる

刻一刻と、人生の時間はなくなっていきます。
たった一度しかない人生の重みに無関心に生きていないでしょうか?
時間は何をしていようとどんどん過ぎゆく。昨日から今日へ、今日から明日へ、昨日はもうもどってきません。今でなければやれないことばかりです。
一日一時間の重みをかみしめて、今日を迎えねばなりません。一日一日を精一杯やり、悔いのない価値あるものにしてゆきましょう。

過去と他人は変えることができないけれど、今の自分は変えることができます。
大切なものは遠くではなく、目の前にあるのです。今を最大限意識することです。未来のために、いつも今、何をするかを考えましょう。今を全力で生きれば、明日への希望と夢が沸いてくるから。輝く明日を見つめて今日を大切に。

今日の私と昨日の私。同じようだけど少し違う。昨日の私が今日の私を作り、今日の私は明日の私を作る。私は毎日新しく生まれ変わる。だから今日も新しい自分にチャレンジする、そして明日にも。

将来に向けて、今何をしておくべきか?
将来様々な不満にあたった時、きちんと対処できる自分を作っておきましょう。日常の積み重ねが、今の自分を作っています。
小さい事で十分、できることから勤しむことが大切です。考え込むよりまず行動、即行動するのも真心です。日々自分の行為をチェックし、今すべきことを確実に実行しましょう。

毎朝、二度とない今日という日に何をするべきか、心に誓う。朝の姿勢が一日を、人生を左右します。
日々これ初日、日々これ一生。一日一日が一生のうちで、最高の日です。明日があると思わないほうが良い。毎日が一生なのです。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


2.使命 〜大切な命をどう使うか?〜


2-1.命

生命は黄金を積むも、これを買うを得ず ~ ホメロス ~

自分にとって一番大切なものは、命の心。だから、すべての他者の命も皆大切です。小さな虫も私たちも、地球に生まれた一度きりの命です。
世界よりも、あなたの命は大きく、あふれ出る力は無限大。あるがままに生きる命の輝き。

人必ず 自ら侮りて然る後 人是を侮る ~孟子~ 
(人は自分で自分を軽んじ侮るから、他人もやがてその人を侮るようになる)
私が太陽を忘れても、太陽は私を忘れず温かい日差しをくれるように、私が母を忘れても、母は私のことを忘れない。この広い世の中で、たった一人の大切な私。

私が元気でなければ、あなたを元気にすることができない。
「元気」とは、肉体と精神のバランスが取れていて、細胞の隅々まで気が充満して、命を輝かせている状態。
心も体もしなやかに、柔らかく保ちたい。心身共に健康の意味を考え直しましょう。健康状態には、自分の心が反映されます。心の平安とは、おだやかでやすらかなこと。心の支えになるものを多く持ちましょう。
健康は自ら作り保ってゆくもの。身体と心のリズムとバランスを、自分で作るのです。規則正しい生活習慣を身につけましょう。規則正しい生活習慣は持久力をつけ、免疫力を高めます。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


自分らしく

2-2.自分らしさ

心よく我に働く仕事あれ それを成し遂げて死なんむと思う ~石川啄木~

自分の人生を掛けられるものを見つけましょう。
夢をいだいて近づきましょう。どんな些細な事でも、頭に浮かんだことを大切にしていると、何かの拍子に成就することもあります。いつか、理想の自分と本当の自分が一致する日がくるでしょう。

わが為すべきことをきちんと為す。
よりよい明日を迎えるために、何か頼まれたら迷わず引き受けましょう。夢中になってやり出せば、どんどん道が開けていきます。
無理なことを思い悩むのは無駄。できないことは、天から与えられていない思えばよい。大切なのは、どれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心を込めたかです。
できることを心を込めて、できるだけやればよいのであって、無理をすることはありません。どんな仕事にも自信を持って。そうすればおのずと、他人の見る目も変わってきます。

何でも比べたがる自分がいる。あなたはあなたの、私は私の自分でいてほしい。
自分を偽らず、流行に流されず、自分らしさを大切に。人に流されない自分を作る。本当の私はどこ?一番わかっているようで、一番わからない。
常に新しい自分を見つけようとする心が大切です。今まで見えなかったものを探しましょう。自分が立っている所を深く掘り下げてみると、その下にきっと泉があるでしょう。
誰にでも美しい魂があり、優しさがあるはず。かけがえのない自分の心、自分の力に気づくこと。そこから始まります。自分を知ることが、成長であり、良い人間関係を築く一歩です。

自分の心は自分のものです。自分を作るのは誰でもない、自分なのです。新しい自分との出会い、人生の主人公として、自分らしく生きましょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


個性を育む

2-3.個性を育む

鈴と小鳥と私。みんな違っている。みんないい。 ~金子みすず~

全て存在するものは良きものである ~トマス・アクィナス~

十人十色。人は10人いれば10種の生き方があり個性があります。それをお互いに認め合い、支え励ましてゆくと、確たる友情の輪ができます。
大きいものも、小さいものも、人それぞれに豊かな持ち味をそなえています。自分の持っていない物を人は持っています。違いがあるからすばらしいのです。

誰でも何か役立つことができるのです。
私たちは意味もなくここにいるわけではなく、自分にしかできない何かをするためにいるのです。天才には天才なりの、凡人には凡人なりの、目がみえなくても、耳が聞こえなくても、それなりの役割があって生きてきたのです。
各自の役割がなんであるか?自分にしかできないことは何か?それを知るために学びましょう。

3月は陽春、4月は花、5月は新緑、太陽も花も輝く春、どの春が好きかは人それぞれ。この輝く季節を全て持ち合わせた、素敵なクラスにしていきたい。
それぞれの能力や性格を伸ばし、みんなが主役と言えるような環境をつくりましょう。いろんな角度から、人を判断してゆきましょう。目立たないところで素晴らしいことをしている人もいます。協調性のある人こそ、個性が光っています。
誰でも、伸びようとする力を持っています。自分なりに自信を持ち、可能性を伸ばし、個性を育みましょう。書物は知恵の宝庫です。読書が個性を磨き、今後の体験をより豊かにしてくれるでしょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


役に立つ

画像8

人に与える幸せ。
人の喜びは、自分の幸せにつながります。人のために自分の体力と知力を使い、人の心の支えになるような言動をしましょう。相手に喜ばれることを考えて、自分の行為で周りを明るくしていきましょう。

より多くの人のために役立つ人になりましょう。人に役立てば、自分の励みにもなります。最大の不幸は、誰からも自分は必要とされていないと思い悩むことです。人のために自分は何ができるかを考えましょう。
自分ができる奉仕を考えて実行しましょう。つつましい助け合いの生活をして、社会に奉仕しましょう。感謝の心と、助け合う勇気を大切に。

思いやりとは自らを無にして行動すること。思いやりの深さが、相手の心を揺さぶります。
憎しみは憎しみを呼び、思いやりは思いやりを呼ぶのです。お互いに助け合う優しさが愛。愛無くして幸せはありません。
福祉の心が育つと、他人の痛みが理解できるようになる。小さな愛の輪が大きな援助につながります。福祉の心とは何か、常に意識しましょう。

手を貸していほしい人がいて、手を貸してあげれる人がいる。やれる人が、やれる時に、やれることをすればいい。
相手が何もしてくれない不満でなく、何かしてあげて喜びをもらう。与えられるのを待つのでなく、与える人になりましょう。
人にあまり期待するといら立つものです。人に期待するのではなく、自ら善行を積みましょう。
見返りを求めずに人に協力する心。良い行いに対する報酬は、それをしたということ自体にあります。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


3.交友 〜人との交わりをどう育むか?〜


調和

3-1.調和

人として最も悲惨なことは、飢餓でも病気でもなく、自分が誰からも愛されないと思うこと。 ~マザー・テレサ~

人生において最良のことは、全てに愛を与えること。人間らしい交流の原点とは、人と出会い、語り合い、理解し合い、尊敬し合い、愛し合うこと。愛は人生に鮮やかな彩を添えてくれるます。
山と山が讃嘆しあい、星と星が讃嘆しあうように、人と人も讃嘆しあう美しいハーモニーの中で生きていきたい。
共に幸せであるために、共栄の精神を持ち、違いを乗り越えて調和を目指しましょう。

奪い合えば憎しみが、分け合えば安らぎが。 ~相田みつを~
お互いに助け合いましょう。お互い譲り合えば、気持ちも晴れやかになります。日々を充実させるものは、家族や友人と共に生きる姿勢です。心触れ合う温かいムードを各自が作りましょう。
まわりの人に喜びを与えれる人になりましょう。まわりの人に求めてばかりいないでしょうか?まわりの人を立てる気持ちを持ちましょう。名誉、地位、財産よりも、大切なのは人間関係です。

真実の上に真の人間関係が築かれる。
真実はときに人を傷つけるかもしれず、嘘をついた方が楽かもしれない。でも嘘の上には真の人間関係は成り立たないのです。人間関係を恐れないで、心配してくれる人がいることを忘れないでほしい。
あなたは一人ではないのです。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


3-2.友

人と人が仲良くできる空間こそ美しい。美しき汗の時間を共有する。
人は人と出会い、刺激されて、良い面を吸収しながら成長し、心豊かな美しい人になっていく。めぐり合って、触れ合って、エネルギーを交換しながら日々の輝きを高めていく。成長とは、仲間たちと心を支え合い、気持ちを分かち合って、日々を重ねていくことです。

心通い合う友人は人生の宝。
互いに見つめ合い、知恵を出し合い、共に笑い、共に泣く、そんな友が欲しい。そして自分も友人の宝になれるよう、学ぶべきことがたくさんある。逆境の時に支え合ってこそ、真の友人です。良きパートナーを見つけ、良きパートナーになりましょう。
友人になるということは、相手を自分の思い通りにすることとは違います。相手に甘えてばかりいないか、反省してみましょう。人のことを考えられる人には、良い友ができます。平静な開かれた心で親友をつくりましょう。

美しい交友の出会い。
私たちが70億人の中から、偶然にも出会えたことに、不思議な力を感じる。この素晴らしい運命の出会いを大切に。
あなたも私も別々に暮らしているけれど、同じ地球に住んでいて、何かで関係しつながりを持ちながら生きています。思いやりの心で接し、心を支え合い、共に学んでゆきましょう。

今日も、逢えてよかった。そのままのあなたでいい。いつでも待ってる。これからも友達だから。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


ふれ合い

3-3.触れ合い

人と人との接し方、心と心の触れ合い。自ら周りに心を開き、うちとけ合える良い関係をつくりましょう。

人に好かれようと思うのではなく、人を好きになりましょう。優しさが欲しいなら、優しさをあげましょう。愛がほしいなら、人を愛しましょう。
人に心地よさや安心感を与えられる広い心を持ちましょう。人に安心感や信頼感を与えるもとは、やはり愛情です。
相手に誠の心で接したか?まわりに配慮が足りていたか?絶えず反省する。和やかな目と心をもって人に接しましょう。
あなたがいるから今日が楽しい。まわりに活力を与える言動を心掛けましょう。
凡庸なリーダーは理論的に説明する、良いリーダーはわかりやすく説明する、優れたリーダーは率先してやってみせる、偉大なリーダーは相手の心に火を灯す。

快・不快に関わらず、自分の気持ちは間違いなく相手に伝わっています。自分の不機嫌な態度はまわりに耐えがたい思いをさせているのです。
いさかいの相手の顔を見てびっくりする、あまりにも自分の顔に似ているので。相手の態度は、その時の自分を映し出す鏡なのです。自分が好意を持っている相手には、相手も好意を持ち返す。自分が悪意を持っている相手には、相手も悪意を持ち返す。
自分の性格は人を通して分かります。苦手な人や嫌いな人が、案外自分に似ているかもと思い、その人を見つめ直すのも良いでしょう。

暴れる人、いじめる人はどこかで何かを苦しんでいるのでしょう。
人それぞれに悩みはあります。傍から見ると些細なことでも、悩んでいる当人は深刻です。それを受け止めて、その痛みが分かる自分になりたい。
自分の気持ちを伝えられるようになるより、人の気持ちが分かるようになる方が、もっと楽しい。あなたは本当に人の気持ちがわかりますか?他人を理解することは難しい。
心が通じる対話を心がけましょう。相手の話を通して、その心理や立場を察してあげましょう。聴き方にも、人間性が現れるものです。
私たちはいつの間にか、自分の言葉だけを大声でしゃべりたてる存在になってしまった。他の者をじっと受け止める地力を失ってきているのです。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


言葉

画像12

良い言葉は良い人生をつくる。
その人の内面は言葉遣いに表れます。明るく元気に楽しくなれる言葉遣いを、心豊かな言葉遣いを学びましょう。
言葉のやりとりは心のやりとり、言葉遣いは心遣いです。心からあふれる言葉は友を好転させます。自分の心の温もりを伝えましょう。
悪気のない言葉でも相手は傷つき、自分も後味の悪さに気づく。人の心を傷つける言葉を慎みましょう。言葉は心を傷つけることもあれば、逆に心を元気にする薬にもなります。

誰とでも分かり合える言葉が大切です。
コミュニケーションは一方的に伝えることではなく、分ちあうこと。相手の心に届く言葉を使いましょう。
ただ一言で賢いとも、愚かともされる。本音を語れば失言の危うさが付きまとい、建前で語れば魂の無い声が虚しく踊る。とかく言葉は難しい。慎重に、正しい言葉遣いを心掛けましょう。
品位ある人に共通するのは、思ったことをそのまま言わないこと。不躾な言葉は控えましょう。

朝の空気のような清々しいあいさつは、一日のエネルギー。気持ちのよい挨拶を自分からかけましょう。
挨拶や感謝の一言で、心の交流を育てましょう。それは幸せな人間生活の基本です。真心をこめてのべましょう。
ありがとう、ごめんなさいは、常に爽やかなそよ風を吹かせ、ほほえみが絶えないのです。

えもいわれぬ明るさ、和やかさを漂わせる人になりたい。
まろやかな言葉と、ほほえみを大切に。笑顔が最も美しいと感じる。いつもにこやかに対応したい。
人間関係をつくる基本は笑顔です。硬い表情は相手を拒否する信号ともなります。相手と目が合ったとき、すかさず笑顔を返すことができる人は、相手を和やかにする慕われる人です。誰にでも笑顔をあげましょう。

あなたの笑顔に会いたい。あなたの声を聞いただけで、その日一日心がなごむ。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


4.精神 〜どんな心を持つべきか?〜


怒り

4-1.怒り

怒りは人生の大敵。いつも心にほほえみを。
素直に感情を表現することは大切ではあるけど、時に周りや相手を毒する危険性があります。
自分の怒りを他に移さないよう、感情の行き過ぎを制御して、円満な心を持ちましょう。悩み、悲しみ、怒りをもつ人の心のケアをできる人になりましょう。

悩みも怒りも、3度考え直した上で決めたほうが良い。自分を信用してもらいたければ、冷静に感情を交えず述べることです。
沈黙すれば怒りに勝てる。怒りから遠ざかることは、内面の大きな進歩の徴候です。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


感謝

4-2.感謝

稔るほど、頭を垂れる稲穂かな。

今日という日を迎えることができ、つつがなく暮らしていられるのは、誰かのおかげです。誰のおかげで自分が生きているかを考えましょう。
私たちは皆、多方面からたくさんの恩恵を受けて生きています。そのことに気づき、忘れず、感謝しなくてはいけません。
周りの支えなくして成功はありません。好意を当然だと受け止めていませんか?感謝の心は枯れていませんか?
感謝されることを求めず、感謝できる人になりましょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


反省

4-3.反省

自分の正しいと思う心、自分のものさしについて、時には振返りましょう。

絶対という思い込みをしていませんか?自分が全て正しいということはあり得ません。
高慢な心が態度に出ていませんか?自分だけの価値観で物事を見るとトラブルが起きます。
心が自己中心の方向に偏っていませんか?独りよがりの人生を見直しましょう。
原因は他人にあると考えていませんか?自分にも原因はないか、真実を見誤らないよう常に振返りましょう。
他人の行為を責めることに終始していませんか?批判する自分も、絶えず誰かに見られています。
知らず知らず、言い訳する生き方になっていませんか?性格だからと片付けるのはやめましょう。
自分の非を認めたくないというプライドで、人に不快感を与えていませんか?自分の弱さと脆さを冷静に見つめ自覚するところから、自分の力が出てきます。アドバイスされやすい素直な心を持ちましょう。指摘されたことを冷静に受け止め、過ちに気づけば、素直に認めて改めましょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


自制

4-4.自制

静かに、自分の息を数える。息を調え、体を調え、心を調える。
静けさを集める、心も静か、言葉も静か、行いも静かに。心の籠いっぱいに静けさが集まれば、言葉を持たないものの声が聞こえてきます。心を洗い、余分なものを捨てていくと、本当に大切なものが見えてきます。

独りでいることができなければ、静けさは集まりません。
孤独はつらいけど、孤独でなければ見えないものもある。孤独における自身との交わりから、思いがけない自分を発見する。孤独を知ることが、自分自身になること、大人への一歩。
人生どのみち、最後は一人で歩かねばならない。人は本来孤独だからこそ、他の人々とつながり支え合うことができる。豊かな関係が待っているから、孤独って楽しい。

自我をコントロールすれば、本来の心の働きを取り戻せます。
自分の中の意志に気づき、コントロールしてゆくことが成長です。自分の心を律し、苦難に自ら立ち向かいましょう。
人は本来無一物なのに、あくなき欲望と自我が苦しみと悩みを生む。欲に溺れて、心の緑を失いたくない。
まわりの人に認めてもらいたい心に支配されてはいませんか?まわりに心奪われることなく毅然と生きましょう。
甘い自分から脱皮したい。人に頼らず、自分に厳しく。自分の甘えた心に、時には焼きを入れましょう。ぬるい暖かさでは、精神も貧弱になります。日頃から厳しさに耐える強さを養いましょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


良識

画像17

世界一有能な教師より、分別ある平凡な父母によって、子は立派に育つ。 ~ルソー~

社会生活にはお互い守るべきことがあり、一人一人がそれを守ることでバランスが取れています。幸せのために、秩序やルールがあるのです。
自由とは、好き勝手なことでも、規律を無くすことでもありません。自由とは、心を育てる規律を作ることです。
自己責任や義務を自覚し、責任の果たし方について考えましょう。今日一日の義務は果たせたか振返り、責任ある行動をとりましょう。

常識・良識という健全な判断力は、いつの時代でも変わることはありません。
常識のないことは、この上もない恥ずかしいことです。常識は身につけ、後輩や子供が見習える人になりましょう。
当たり前のことが実践できていますか?日々の心構えが、ミスのないことに結びつきます。

自立とは、人にすがらないで生き抜く力と、弱者を思いやる勇気。独立自尊の精神、そしてマナーをわきまえること。
マナーの基本は気配り、礼儀は相手への思いやりです。人を傷つけないことは、最低限のマナーです。真面目さは、人を大切にすることに通じます。相手を想い、細かいチェックを心がけましょう。
優しさは時に厳しさが伴うこともあります。相手に曖昧な態度ばかりとっていないですか?甘やかされて得することはありません。知に走れば角が立ち、情に溺れると流される。情理を尽くしてこそ粋な計らいというものです。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


誠実

4-6.誠実さ

道義を重んじる。道義を省みなくなったら、いかなるものも没落する。
善悪の判断、自分の行動の責任、これは基本であり常識です。いつも善悪を正しく判断して行動しましょう。

人間は正しいことだけをして生きることはできません。全てのことには善と悪の両面があります。
正見とは、正しく人を観察し、曇りのない目で物事を見ること。目を澄まして正面を見つめましょう。全ての物事に存在する原因と結果の関係を見極めることです。そして様々な正しい意見に耳を傾け、自分で判断できる力を養いましょう。
正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると言う勇気を持つこと。不正に負けない心を育て、良いと思うことは、ためらわずに始めましょう。

信頼に支えられて、人は育ちます。人に信頼されてこそ、自分が存在するのです。
信頼は、誠実さの積み重ねで生まれます。誠実さは心の安定と友人を作ります。裏表のない誠実な人になるよう心がけ、小さな事も大切に行動しましょう。報告は相手に安心と信頼を与えますが、言行不一致では信頼は得られません。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


5.成長 〜自分自身をどう育むか?〜


心を育む

5-1.心を育む

梅は匂いよ桜は花よ 人は心よ振いらぬ  ~山歌鳥虫歌~

自ら心の華を咲かせましょう。よい関係をつくるために育てましょう。人として存在しているのは、その人しかできない役割を与えられて存在しているのです。自分しかできない何かを探し、その役割を果たすために、心の華を育てるために学ぶのです。

心に潤いがないと毎日がつらいものになります。心優しい行為や言葉は、人生の花園に幸せの実を結びます。穏やかな顔、優しい顔、いずれも良い心の表れです。
小さな行為にも人の心が現れます。心は誰にも見えないけれど、心遣いはよく見えます。あたたかい言葉や行為は優しい心から。想いは誰にも見えないけれど、優しい思いは伝えることができます。

人に微笑を与えるのも、迷う者に道を教えるのも、道に横たわる石塊を取り除いてやるのも、すべて博愛の心。分け隔てのない慈愛の心を持ちましょう。
自分がしてほしいことを相手にもする。自分がしてほしくないことは相手にしない。 相手の痛みの分かる心、察する心を育てましょう。
不機嫌な態度や陰口や暴力などの行為は、心の平穏でない状態の表れです。硬直した心になっていませんか?柔軟な心を育てるのは、好奇心、創造力、感動する心です。

品行は立ち振る舞いや行為の外見、品性は精神面の志や高潔さや良心。品行方正でなくとも、品性はよくしましょう。地位向上に品性は欠かせません。
自分で考える力は、脳だけでなく、心によるところが大きい。自分の心を磨いてこそ正しい判断ができます。

人の好意を素直に理解できない人生に、明るい明日はありません。
素直な心は、自分を成長させ、人格を高めます。周囲の人の愛情を、行為を、親切を素直に受容する芳しい心を持ちましょう。素直な気持ちを忘れていないか一日毎に振り返りましょう。いつも見ているからいいと言わず、もう一度見る。新しい心には、新しい発見がある。

心は、自ら耕すことができるのです。毎日、じっくり、気を緩めず、豊かな人間性を養う修養を続けましょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


学び

5-2.学び

尊重し合う大切 相教え相学ぶ 〜福沢諭吉〜

お互いに相手から何かを学び合いましょう。人生の基礎を築くために、人と人とが触れ合い磨き合う。教養は、いろいろな人と出会い、価値観に触れることで、多彩な学びを得て深まります。

学問は、本当の自分を見つける場。
学びとは自分に隠された能力を見出し伸ばすことです。誰もが伸びたい、伸びようと思っているはずです。求めずして学ぶことはできません。受け身ではなく、自主的な学びを。学びたい気持ちを生かしましょう。
小にして学べば壮にしてして成る。壮にして学べば老いて衰えず。老いて学べば死して朽ちず。
勉強に終わりはありません。繰り返し繰り返し、学ぶ気持ちが大切です。一生、学ぶ気持ちがあれば、自己を変えてゆくことができます。

人として大切なこと、理解力、判断力を養い続けましょう。
学べば学ぶほどに、力の足りなさ、知識の浅さに気づきます。真の教養とは、自分を知り、謙虚さを学ぶことなのです。今の自分のレベルを知り、謙虚な心で自分を高めましょう。自分に気づいている分は実現できます。気づいていない分は教わればいいのです。できないことができるよう学習することが、人生の修行です。

知識はその人の心によってはじめて輝くものだから、洗練された教養を身につけるには平素の自覚が必要です。
実際のものが身につかなければ、勉強したとは言えないから、体験して実感を得る。経験したことは、自分の財産になります。

教育を受けた恩恵は、後世に返していきましょう。大人として、もっと人生について、善悪について教えていきましょう。
香をたてゆっくりしみこませるように、土を丁寧に練って器の形を整えるように、教育する者がまず先に徳を積んでみせること。それを薫陶といいます。

未来の日本を作るのは、あなたたちです。学びの大切さをかみしめ、未来の輝きをめざしましょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


挫折

5-3.挫折

涙の数だけ、強くなれるよ ~岡本真夜~

木や花も、そして人も、雨や風の試練あってこそ美しく強くなれます。人は悲しみ苦しみを味わった分だけ、優しくなれます。苦しみがあるからこそ、人の苦しみや悲しみが理解できるのです。

怒られただけ腕が上がる、悲しんだだけ強くなれる、苦しんだだけ成長する。悲しみや苦しみを乗り越えてこそ、人は大きくなり、幸せの喜びがあるのです。
苦しみの体験を乗り越えれば、一種の誇りとなり、過ぎればまた思い出になる。時を経ると、なぜか苦労したことばかり懐かしく思い出します。結局は人は苦しい時、悲しみや辛い時が、本当に生きているということなのでしょう。

悩みは自分の能力の不足を教えてくれる先生です。成長すれば悩みは悩みで無くなる。それを乗り越える力、人は心を新たにすることによって自分を作り替えられます。
失敗を恐れないで、自己改革のよいチャンスです。失敗をかみしめる人は成長し、失敗を他人のせいにする人は嫌われます。失敗を受け止め、その経験をばねに人や自分のために役立てましょう。
最大の愚行から最大の教訓を学びとる。何事も原因があって結果が生まれます。いいことも悪いことも、全て原因があって結果がもたらせるということを考えてみる必要があります。

良い時は心から喜び、悪い時は成長へのチャンスと思い、反省と試行を深め前進する。決して逃げない勇気を持ちましょう。
大切なのは倒れないことより、すぐ起き上がること。弱さのまま、何もしないことが敗北なのです。勝利とは、我に勝つこと。苦手なことにこそ立ち向かいましょう。
立ち向かうと必ず挫折はあり、一つ越えてもまた挫折します。それは成長の証。挫折の度に初心に帰る精神力と忍耐力が強くなっていきます。
だから、叶う叶わないではなく、まず夢を持ってそれに向かいましょう。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


努力

5-4.努力

ここでやめたら、自分が自分に負けてしまう。
自分に負けるのは、いやでみじめで後悔することだから、心や力の出し惜しみはしないことです。本気の意欲が自分に潜む能力を伸ばすのです。自分に与えられたものを生かす努力をしましょう。

苦手なことも本気でやれば、たいていのことはできる。本気でやれば、何でも楽しく面白い。本気でやれば、誰かが助けてくれる。本気でなければ、誰も相手にはしない。
一つのことをやり通すことが大切であり楽しいのです。何事にも一歩ずつ着実に取り組みましょう。こまめに実践し積み重ねていけば、やがて大樹に育ちます。

人生は闘いの連続です。気持ちを奮い立たせて日々挑戦するその気力が青春。
人事を尽くして天命を待つ。日々全力を尽くして、あとは心穏やかに自然を待つ。時には立ち止ってもいいが、時が来たならば猛進すべし。良いひらめきや結果は、没頭している者だけに訪れます。

時代は変わっても、人として大成するにはなんといっても努力であり、忍耐と協調性です。
幼にして労厭わねば、青にしてなすことあり。青にして労厭わねば、老にしてなすことあり。老にして労厭わねば、死してなほ朽ちず。



嬉しくて鼻血出ます \(^,,^)/