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コロナ抗体検査は病院の金儲けか?

新型コロナウイルスの抗体検査というものがあります。抗体とは①新型コロナウイルスに感染②新型コロナワクチンを接種することで上昇し、ウイルスに感染しにくくなったり重症化を防ぐのに役立ちます。

抗体検査とは、この抗体がどれだけ身体の中で作られているか、その量を測ることによってワクチンの効果、ウイルスの感染や重症化をどれくらい防げるかを推定しよう、という試みです。

ところが、この検査はまだまだ十分に研究されているわけではなく、抗体がいくつだから感染しない、重症化しない、などと言い切れるものではありません。

今回は、こちら⇩の記事を紹介し、ワクチン接種後の抗体検査について分かっていることをお話したいと思います。これを読むことで余計な検査にお金を使ったり、過度に検査結果で一喜一憂しなくて済むと思います。

この記事は、3~4分で読めます

記事の概要

記事は「またもコロナで金儲け?コロナ抗体検査の現状」というタイトルになっています。日経メディカルの記事ですので登録(無料)しないと全文は読めないかもしれません。大阪の開業医の谷口恭先生が書かれています。読めるに越したことはないですが、記事をまとめて紹介すると

✔️S抗体の数値が高ければ感染しにくい、または重症化しにくい、とは言えるだろうが、ではどの程度の数値があればどの程度感染しにくいのか、といったことは分からない。
✔️そうした不確かな検査であるにも関わらず、一部のクリニックや健診を請け負う医療機関では積極的にS抗体を調べることを勧め、また(恐らく興味や不安から)需要も多いそうだ。
✔️高いお金を支払って検査する意味がどれだけあるのだろうか。しかし、希望する人は少なくなく、S抗体検査が新しいビジネスになることを懸念している。

と、まぁこんな内容になっています。

抗体検査についての知識

抗体検査には色々な種類があります。ワクチンの効果を推定するためには、このうち「スパイクたん白」についての抗体(S抗体)を調べます。S抗体についての説明を希望される方は以下を参考にして下さい。

S抗体の量を測定する検査も、「ロシュ」、「アボット」という2社がそれぞれ検査を開発しており、それぞれ検査の単位が異なります。抗体検査の単位が「U/mL」であればロシュ、「AU/mL」で出てくるのがアボットです。

両者では同じ数字でも解釈が大きく異なります。こちらでは陰性・陽性の判断となる数字と、接種した人が平均してどれくらいの数字になるかが示されています。数字が一桁違うので注意が必要です。詳しくは以下のサイトをご覧下さい。面倒であれば、とりあえず二つあることだけ覚えておけば十分です。

これを見て検査を受ければ、ひとまず人並に抗体が出来ているかという判断は出来ると思います。コロナウイルスに感染したことがあるかどうかでも平均値は異なって来るので注意が必要です。

分かりやすく言えば、アボットの検査で2回接種4週間後に測定すると平均6,400AU/mLくらいで、4,200 AU/mL以上なら(きっと)大丈夫、しかし1,000 AU/mL程度でも効果は(たぶん)期待出来そう、というくらいの「感じ」です。

🌱ちなみにアボットとロシュのどちらが良いかも、現段階では分かりません。

抗体検査の限界

以上が大まかな抗体検査の解釈です。繰り返しますが谷口先生の記事にもあるように抗体検査は研究の段階で、どれだけあれば大丈夫、どれだけ下がると危険など、ハッキリしたことはまだ言えません。だからこそ、抗体検査は保険が利かないのです。

🌱ただ、実際には「免疫記憶」というものがあり、身体の中で一度作ったことがある抗体は初回よりも迅速に作ることが出来ます。ですので血液中の抗体が少なくなっても、必ずしもワクチンの効果がなくなったわけではありません。興味がある方は以下のサイトをご覧下さい。


抗体検査は病院の金儲け?

こうした、確かなことが何も言えない抗体検査を、自費でお金を払ってもらってまで勧める医療機関の目的は何でしょうか…という話です。もちろん、限界を理解したうえで興味で受けてみたいというのであれば良いとは思います。かく言う私も自院で検査をしています。約3か月経過して2000AU/mL台でした。

ちなみに抗体検査、アボットのS抗体検査の原価はだいたい3000円台です。大量に検査を発注する病院や診療所であれば、もう少し安いかもしれません。手技料、診断料が上乗せされるとしても8000円とか9000円はぼったくりじゃないかな、と私は思います。

まとめ

巷には新型コロナウイルスの抗体検査というものがあり、ワクチンの効果を「推定」するために行われていますが、その解釈についてはまだ十分に研究されているとは言えないのが現状です。抗体検査の限界と価格の相場は理解しておいた方が良さそうです。

最後までお読み頂き、有難うございました!

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