知らないと損をする あなたの自転車に無駄な費用をかけないためのHow To
最近皆さんの周りで、以前に比べ自転車利用される方が多くなったと感じませんか?
コロナ過の影響で3密を避けるように、通勤・通学・趣味の時間などに自転車を利用される方が日本のみならず世界でも増加傾向にあります。
ただ、ネット通販で購入されるお客様が多く、十分なアフターケアの説明を受けないために初期不良や駆動性の悪さを感じ、当店に修理のお持ち込みをいただくことも増えてきました。
そこで、小さな個人商店であります「コスナサイクル」の、自転車購入後に行ったほうがいいと考えているアフターケアはどのようなものなのかご紹介します。
少し手間をかけてあげるだけで自転車の寿命は数年延び、乗り心地も数段よくなります。
逆に言えば、アフターケアをしていない自転車は…。
よかったら参考にしてみてくださいね。
自転車購入後のHow To
自転車を購入後でもご自身でのセルフメンテナンスを定期的に行うことで無駄なコストを抑えることができます。
今回はクロスバイクを使用したHow Toを紹介します。
(多くはスポーツバイク共通事項でもありますのでロードバイクなどにも参考にしてください。)
1.正しいエアーの入れ方
意外かもしれませんが、クロスバイク・ロードバイクの修理をお持ち込みいただいたお客様のうち、多くの方がタイヤへのエアーの入れ方を正しく知りません。
単純にして基本の部分ですが、無駄な費用を発生させないために実はもっとも大切なことです。
ショップから説明を受けていないという人は、必ず覚えてくださいね。
まず、 クロスバイクなどのスポーツバイクに乗られる方の空気入れは一般自転車用のポンプと違いバルブ口金が違います。
そのため、スポーツバイク用のメーター付き専用フロアポンプが必需品です。
一般自転車の適正空気圧が3気圧程度に対しロードバイク、クロスバイクなどの空気圧はタイヤにもよりますが5~10気圧とかなりの高圧でなければタイヤチューブの劣化が早くなります。
劣化することでクラックというひび割れが発生したり、パンクをしたりと修理の発生率が格段に高くなるので注意。
多くのスポーツバイクのチューブに利用されている仏式(フレンチバルブ)に空気を入れるには、最初にバルブ口金上部のネジをある程度緩めます。
金属のネジを回して上部の画像くらいゆるめます。
よくあるやり方で間違いなのがこの「ネジをゆるめる」作業をせずに空気を入れることです。
これだとまったく空気は入っていきません。
次に、ゆるめた上部ネジを上から指で押してください。
この時エアが抜ける音(プスゥ~)がします。
この音がしないときはチューブ中の弁が開いてないのでこれも空気が入りません。
このステップを知らない方もかなりいらっしゃいます。
バルブ口金のネジを緩めたら、フロアポンプの口金をしっかりチューブ口金の奥まで差し込み、レバーを上にしてロックします。
次にタイヤ指定空気圧を確認します。
必ずタイヤサイドに表示されていますので確認を忘れずに。
このタイヤの場合は、MAX(最高)8.3BAR(120PSI)と表示されていますのでこの表示以下で空気を入れてください。
ただし、同じタイヤでも体重により乗り心地の感じも変わりますので自分の体重にあった指定空気圧範囲で設定してください。
今回のタイヤはMAX8bar/120PSIでしたので約7bar(気圧)約100PSIで空気圧設定しました。
フロアポンプレバー解除でこのように抜きます。
この時に強引に強く引き抜いたりすると場合によってはチューブ口金のネジ部を曲げてしまいますので注意してください。
その後チューブ口金のネジ部を手で締めてください。
最後にチューブ口金にバルブキャップをして空気入れ完了です。
フロアポンプはメーカーやモデルによって耐久性や使い勝手が大きく変わります。コスナサイクルオススメのフロアポンプは下記リンクに記しています。
正しい自転車空気の入れ方 スポーツバイク編(クロスバイク・ロードバイク等)
https://kosunacycle.com/archives/333
自転車バルブ3種類について「米式・英式・仏式」
https://kosunacycle.com/archives/5707
2.チェーン洗浄
チェーンは汚れが一番付きやすく走行にも影響が大きい箇所です。
汚れたままにしておくとサビの発生などにもつながり、チェーン交換になったり、あまりに錆びた状態を放置することでほかパーツも含めたコンポーネントの総取替ということにもつながります。
しっかり汚れを落として駆動効率の維持に努めてください。
チェーン洗浄で当店でも使用しています商品はこちら。ワコーズ・チェーンクリーナーとワコーズ・フォーミングマルチクリーナーです。
ワコーズ・チェーンクリーナーは、チェーンや各部品の頑固な汚れ落しの非乾燥タイプ生分解性洗浄スプレーですので少ない量で洗浄ができ、防錆剤配合なので洗浄後のサビの発生を抑えます。
ワコーズ・フォーミングマルチクリーナーは、弱アルカリ性洗浄スプレーで噴射すると泡状になるので細かい隙間に残った汚れを「泡の力」で浮かせて洗い流します。
水洗いすることなく拭き上げるだけなので、マンションにお住まいの方などでも手軽に使用できるのが特徴です。
まず、チェーンに「ワコーズ・チェーンクリーナー」をスプレーします。このとき汚れがたれるので、床が汚れないように布などを敷いてください。
ワコーズ・チェーンクリーナーに付属で付いている専用のブラシを使用してチェーンのピンローラーを回すような感じで隙間の汚れを落とします。
ブラッシング後は浮いた汚れを先ずはサッと拭き取ってください。
チェーンクリーナー使用後は水で洗い流してもいいですが、今回は、場所により水が使用できない所での作業にも役立つフォーミングマルチクリーナーを使用します。
これを使えば水で洗い流さず細かな隙間にも泡状で汚れを落としますので簡単ですよ。
最後に布などでしっかり汚れを拭き落として終了です。
洗浄後のチェーンです。チェーンの汚れがしっかり落ちきれいになりました。
3.チェーン・その他の潤滑方法
自転車もお肌と同じように潤いが必要です。
肌が乾燥するとカサカサになるように、自転車も潤滑がなくなるとチェーンですと「キュルキュル」と異音がして摩擦抵抗が増え変速に支障がでてきます。
また、各部品の可動部にも定期的な潤滑を行う事で変速性能のレスポンスのよさを維持してくれます。
ワコーズ・ラスペネミニは、フッ素樹脂配合の浸透・潤滑・防錆・水置換と色々と役立つ頼りになる1本です。
ワコーズ・チェーンルブは、ハーフウエットタイプのチェーン用防錆潤滑剤です。
ハーフウエットタイプなので、チェーンにスプレーしても飛散しにくく、塗布後の拭き取り具合で油膜を調整できます。
ワコーズ・ラスペネミニは、リアディレイラー変速機の内側にあるスプリングバネ(ちょっと分かりずらいですが)に定期的に潤滑しておくと変速性能を維持することができます。
そして、チェーンルブはチェーンの内側にスプレーして潤滑させます。
内側というのは、チェーンピンが入っている部分のこと。
この部分の潤滑をよくすることでチェーンの動きをよくすることができるんです。
チェーンルブを塗布する際はペダルを何回に分けて回してチェーン全体に浸透させます。
このとき、チェーンルブが自転車のホイールにかからないように当て布などをしてもいいです。
リム(ホイールの枠部分)にオイルが付着するとブレーキをかける際にすべるようになってしまいます。
付着した場合はパーツクリーナーを使用して脱脂しなければいけなくなることもあります。
また、汗などがポタポタ垂れてネジの頭が錆びた嫌な経験ありませんか?
ワコーズ・ラスぺミニ潤滑剤を綿棒などにスプレーしてからネジの頭を拭けば油膜ができ防錆効果にもなります。
その他気になるネジ部の頭に塗布すると同じく防錆効果になります。
ただし、フレームなどには使用しないでください。コーティングが剥がれてしまいますよ。
4.自転車リムの汚れ落とし
あまり気にされることのない部分かもしれませんが、ブレーキを使用すればするほど、リムサイドにはブレーキシューのカスがこびりついていきます。
リム掃除をしないで、そのままの状態だと段々汚れも酷くなりリムサイドが真っ黒なんてことも!
更に、このゴムカスはブレーキ制動力を落としてしまいます。ブレーキをかけても「スッウ~ウ!」という感じに滑ってしまい、ブレーキ痕がついて落ちにくくなってしまいます。
そのため、リムサイドをお掃除して制動力を維持してあげましょう。
実は、自転車屋さんにブレーキシューの交換で持ち込んでも、このお掃除をせずに交換作業をおこなってしまい、その後すぐにブレーキシューの再交換になってしまうこともあります。
注意が必要な部分です。
リムの汚れ落としに便利なのが、ホーザンK-141ラバー砥石です。
消しゴムのように汚れた箇所をこすって汚れを落とすことができます。
そのままで使うより、ラバー碇石を水で浸してから耐水ペーパーのようにして水研ぎすると汚れが落ちやすいんです。
あまりタイヤにこすらないように注意しながらリムサイドの汚れを落としていきましょう。
その後、ワコーズBC-9(速乾性)ブレーキ&パーツクリーナーを使用してリムサイドを脱脂します。
ワコーズBC-9は、私も愛用のパーツクリーナーで速乾性で脱脂をしてくれ更に大容量なものいいです。
また、使用するパーツクリーナーはワコーズのものでなくても大丈夫ですが、速乾性でタイヤへのダメージが少ないものを使用しましょう。
布にパーツクリーナーを吹き付けてリムサイドをゴシゴシお掃除します。
黒いカスが布に付くので、リム全体を拭き上げていきましょう。
最後に乾き布で汚れを拭き取り終了です。
ブレーキ性能が蘇るので、走行しやすくなります。また、ブレーキシューの交換頻度がかなり伸びます。
特に下り坂が続く走行をした後などは汚れが付きやすいので都度お掃除をしてください。
5.Vブレーキワイヤー調整方法
クロスバイクでの通勤・サイクリングなど、使用頻度にもよりますが、乗れば乗るほどブレーキレバーの引きしろが大きくなり、ブレーキの利きがあまく感じることがあると思います。
ブレーキシューは消耗品ですので、ブレーキゴムがすり減ってきますと徐々にブレーキをかけたときにレバーの引きしろが大きくなってきます。
そのままの状態で何も調整を行わず使い続けますと、ブレーキ制動力にも影響が出ます。
ブレーキレバーの引きが甘いと感じたなら、ブレーキワイヤーのアジャスターボルトを反時計方向に回して、ブレーキレバーの引きしろを調整します。
もし、アジャスターボルトが固くて回しずらい時は、内側のナット(黒色)がレバー側にねじ込まれて固定されていると思いますので、一度ナットを反時計方向に回して少し緩めてみてください。
ブレーキケーブルの微調整を行うことができるアジャスターボルトにも限界がありますので、調整しろを回しすぎないように注意してください。
ブレーキワイヤーの微調整が済みましたら、ブレーキレバーの引き具合をチェックしてください。
1つだけ注意点があります。
レバーの調整をおこなっても引きしろが戻らない場合はブレーキワイヤーやブレーキシューの交換が必要です。
引きしろが大きいまま乗車することで、急なブレーキングに対応できないなど、事故やケガの原因になります。
特に注意が必要な部分なので、気になる場合はご自身で調整をせずにショップに持ちこんでください。
6.変速ワイヤー調整方法
クロスバイクなどで走行中に、変速がどうも上手く入らないとか・・・変速したけど後輪の方から「カチャカチャ」とチェーンから異音を感じたりしたらその原因は・・・?
変速ワイヤーの微妙な伸びによっておきる現象です。
最近のスポーツバイクは年々多段化が進んでいて、チョットでも変速調整にズレが生じれば全体の変速に大きく影響がでます。
こういった場合はリアディレイラー本体に付いています変速ワイヤー調整用の「アジャスターボルト」で微調整作業をします。
もし、チェーンが小さいギヤから大きいギヤ(車体寄りの内側)へ入りにくい場合は、変速ワイヤーが緩んでいますので、変速ワイヤーを引っ張るように調整しましょう。アジャスターボルトは反時計方向へ回して引っ張ります。
クロスバイクなどのフラットハンドルバーなら、手元変速レバー側にもアジャスターボルトが付いてるモデルもありますので、こちらでも変速ワイヤーの微調整は可能です。
調整したら変速が正しく行えるかペダルを手で回しながらシフトチェンジして確認しましょう。
調整時にはアジャスタボルトを4分の1回転、半回転、というように回転数を覚えながら行うと過度な変更を行わずにすみます。
一度にあまりアジャスタボルトを回しすぎると失敗したときに元に戻しにくくなったりするので注意です。
7. クロスバイクのサドル調整は工具1本で簡単
こちらもショップで初期調整を行っていない場合によく起きるエラーです。
サドルの高さが合っておらず、走行中に膝を痛めたり、そもそもこぎづらいということがよくあります。
この場合、サドルの高さ調整を自分の股下寸法に合わせて調整することで快適に乗りやすくなります。
調整の目安のワンポイントアドバイスとして、どちらか片側のペダルを一番下に位置するように回して持っていき、その状態で自転車に乗車した際にこの一番下にある方の脚の膝が丁度伸びた状態、または少し膝が曲がった状態がベストなサドル高さです。
初心者の方など最初不安な方は、足つき性を考慮した高さから徐々に慣らし適正なサドル高さに合わせるといいと思います。
この調整をすると、サドル前後位置を少し調整したいんだけど・・・とか、サドル角度をきもち上下調整したいんだけど・・・といったお悩みが発生します。
このサドルの位置調整、工具1本で簡単にできますので参考にしてください。
実は、シートポストのモデルが違っても六角レンチで調整可能です。
シートポストのモデルにより画像の1本締めと左右又は前後のボルトで締める2本締めがあります。
サドルの前後位置を調整したい場合には、サドルにもよりますが、画像のようにサドルレールに目盛が付いてるモデルのときは、この目盛を参考にして前後にスライドして位置を合わせてください。
サドルの角度調整には、サドルを固定するシートポストの本体部分とサドルレールにはめ込む部分の両方にそれぞれ溝がありますので、その溝の位置を合わせてサドル角度位置の調整を行います。
シートポストのモデルにより、溝がないタイプもありこちらは自由に自分の好みの位置でサドル角度調整が可能です。
サドルの前後位置、又は角度調整が終了しましたら、サドルにまたがり乗車ポジションの最終チェックを行います。
もしまだ自分自身でサドル調整が納得いかない時は、再度シートポストのボルトを緩めてからそれぞれの調整作業を行ってください。
アフターケアの重要性
自転車は屋外で使用するためホコリや風雨などの影響も受けますので、常に100%のパフォーマンスを維持するためには定期的なメンテナンスが重要です。
例えば、空気圧管理を怠ればパンク発生の確立が高まり、走行性能も劣りタイヤにも影響が出てきます。
ブレーキゴムの摩耗からブレーキレバーの引き具合が適正でないと、ブレーキをかけて停止するまでの制動距離が長くなり自分が思ったところで止まらずとても危険です。
錆びた状態のチェーンでは、キュルキキュルとした異音が鳴り出し変速性能に影響を及ぼします。
このように定期的なメンテナンスを怠ると後に余計なリペア費用がかかってききます。
今回紹介したのは、明日からでもできる(一部ケミカル商品が必要な場合がありますが)サイクルケア方法ですが、少しでも自分自身で行うのが難しいなとか、これで大丈夫かな、と感じたらお買い上げのショップ又はお近くの自転車専門店へご相談してください。
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