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【伝え方を鍛える】意外性の作りかた【基本】

「相手の感情に訴えかける伝え方ができない・・・」
「どうすれば感情を動かす文章を書くことができるのか知りたい」

この記事はそんな方へ向けて書いています。


こんにちは、放送作家の村松です。
私は「池の水ぜんぶ抜く大作戦」「出没!アド街ック天国」「スッキリ!」
「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 路線バスで鬼ごっこ」「ハモネプ」など
多くの番組制作に携わってきました。


そして伝える技術の講座を
早稲田大学エクステンションセンターで担当しています。


この記事では、20年以上にわたる「伝える仕事」のキャリアで学んだ、
伝えるための技術を紹介します。


放送作家というプロならではの視点で、
一般的に書籍などには書かれていないようなこともお話ししようと思います。


伝える技術が上がれば
あなたの人生がちょっとだけ楽になります。


【伝え方を鍛える】意外性の作りかた【基本】


結論、意外性を作っていくためには「フリ」と「抜け」が必要です。
文章を書く前にしっかりと「フリ」と「抜け」を作り、構成に組み込むことで
簡単に意外性を感じさせることができます。


意外と感じる仕掛けとは


私はまだ、映画がよくわかっていない

という言葉を聞いた時、
あなたはどんな感想を抱きますか?


あ、そう。まだ未熟なのね。

なんだか下手そうな人の発言かな

なんとなく、そんな感じを受けるかと思います。


実は先ほどの言葉は全体の一部分です。


次に全体をお見せします。
印象は変わるでしょうか?

私はまだ、映画がよくわかっていない(黒澤明)

日本映画の巨匠、黒澤明が発した言葉です。


ダメな奴の言葉、もしくは普通の人の発言かなーと思っていたら
その道の巨匠の言葉だったという意外性を感じませんでしたか?


この構造を見てみると
フリ:「私はまだ、映画がよくわかっていない」
抜け:黒澤明
と言う作りです。


フリで「@@な感じかな?」と感じさせておいて
抜けでそれを裏切る。
これが意外性を感じる構造の基本形です。



2つの組み合わせが意外性には欠かせない


意外性とは、

思っていたことと違う!

と感じた時の感情ですよね。


まずはこの「思っていたこと」をセットアップすることが重要です。
ここで見る人、読む人の気持ちを誘導します。


これは作品や文章の序盤で行う
「そういう気持ちで作品に触れてください」と言う
製作者のアナウンスです。


エンタメ作品では最初に作品の世界観を提示して、
どんな設定なのか?
主人公の目的は何なのか?
を視聴者に理解してもらいます。


意外性を作るためには
このアナウンス=ふりがとても重要です。


フリとあわせて知っておきたい構成の知識として
冒頭での引き込む技術があります。
詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。


しっかりと流れを理解してもらった上で初めて裏切る


意外性を作るためのもう1つの装置、
それが抜けです。


これはフリを受ける形で
視聴者の「思っていたこと」と違う情報を出します。


小説やドラマでよくあるのですが
こんな展開を見たことはありませんか?
犯人を探すと言うストーリーだったとして
怪しい人物を片っ端から疑っていきます。(これがふり)
しかし犯人が見つからない。
するとまさかの相棒が犯人だった(抜け)


相棒が犯人だったと言う抜けに対して
そうとは感じさせないこんなふり↓

最初に犯人は誰だろう?相棒と一緒に探す物語なのね!
というを最初にアナウンスしています。


先ほどの黒澤明の言葉は
実際にはアカデミー賞のスピーチでの言葉なので
言葉と黒澤明ばらしが逆の順番です。
それでも意外性は十分にあります。


アカデミー賞の授賞式の会場。
黒澤明が登場します。
今からスピーチするのは黒沢であることは観客が知っています。
映画界の栄誉ある賞を受賞した黒澤明がどんなことを言うのか?
と言う空気(ふり)の中、黒澤明はこのようにスピーチしました。



この賞に値するかどうか、少し心配です。
なぜなら私はまだ映画が良く分かっていないからです。(抜け)
だからこれからも映画を作り続けます

*(抜け)は筆者加筆


アカデミー賞という大舞台で
誰もが巨匠と認めている人から
「私はまだ映画が良く分かっていない」と言う言葉が出るからこそ
お客にとって意外だったはずです。



意外性を強めるために気をつけたいこと


あなたが意外性を作り出したい時の注意点としては、
「乱暴に視聴者を裏切っても意外にはならない」
というポイントがあります。

ふりを作る部分で
視聴者に「こう思って見て・聞いてほしい」と言うふりを作るわけですが、
これは理解してもらえるように時間をかけてゆっくりセットアップことが大切です。


なぜならば、ここのふりが弱いと
最後にどれだけ意外なことを言っても
視聴者は理解ができず、「なんで?」となってしまいます。


最後に意外性を出すための情報を出した時に
視聴者がスムースに理解できないと
キレが悪くなり、意外性の効果が薄まるのです。


逆に言えば、
最後に意外性を出すための情報を出す前までに
ふりの必要な情報を全て出し切って周知しておく
と言うことがポイントです。



もしも水戸黄門が○○だったら


有名な作品で水戸黄門があります。
将軍の身分を隠した黄門様が、街で悪事に出会って
最後には悪党をとっちめると言う
爽快な作品ですよね。


悪党の気分をイメージしてみましょう。
あの作品でもし
最初から黄門様が身分を隠さずにいたら?

街で悪事をした時に出会った老人の旅人に
「頭が高い!水戸光圀公なるぞ!」と言われてしまったら?


きっと悪党としては
「そうか、黄門様だったのか・・・しまった」くらいのダメージですよね?


ところがドラマでは
冒頭で悪事を働いてもすぐには捕まりません。
黄門様を老人の旅人だと思っている悪党は
調子に乗ってさらに悪事を重ねていきます。
街の人がさらに危険にさらされたります。


こうして悪党がやりたい放題やっていて
最後の大一番で暴れまわっている時に黄門様が登場。

悪党は、街で見かけたしょぼい旅人だと思っていた時間が長いので
上から目線で潰そうとします。


するとここで印籠の登場です。
「頭が高い!水戸光圀公なるぞ!」

悪党にとっては「思っていたこと」と違う!ですよね。
これがふりと抜けとデザインすると言うことです。



まとめ


このようにあなたが物事を伝えるときに
「ふり」と「抜け」を使えば
意外性を発揮できます。


「ふり」をしっかりと効かせて、
「抜け」で意外性を発揮して、
視聴者や読者に楽しんでもらえるようにしましょう。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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