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元アナログ人間が語るAIの外観検査

なんでアダコテックの技術は少ないデータで精度が高いの?難しいことはよくわかんないけど説明してよ?
アダコテックに入社して半年が経ち、多くの方からこんな質問をいただきました。オフィス家具業界というテクノロジーとは無縁の世界で生きてきた僕が、AIベンチャーで半年活動してきた経験をもとに、AIによる外観検査の自動化とアダコテックの技術特性について非エンジニア目線でご紹介します。

そもそも外観検査って何するの?

アダコテックが向き合っている社会課題は製品の外観検査の自動化です! と言われても外観検査のイメージが湧きづらい方もたくさんいらっしゃると思います。百聞は一見に如かず、ということでこちらの動画をご覧ください。


この動画はある工場の外観検査の風景です。1ミリ未満の小さなキズを数秒という速さで見抜いています。外観検査は品質維持の最後の砦です。ここで見逃しが起きるとお客様からのクレームやリコール問題に繋がるため、検査員の方々には大きなプレッシャーがかかっています。

自動化のステップ2つ

外観検査を自動化する行程は2つのステップに分けることが出来ます。

1. ハードを使って画像を取得する
2.ソフトを使って画像を解析する

突然ですが、目の前に1万円札が出されて「これが偽札かどうか確認してください」と言われたらどうしますか? おそらく多くの方が、天井の照明越しにお札をみて、透かしが無ければ偽札だと考えるはずです。このプロセスを分解すると、
・天井の照明越しにお札をみる→ある条件下での画像を取得する
・透かしが無ければ偽札だと考える→画像情報を解析して判断する
と解釈できます。

この2つのプロセスが両方成立して初めて検査が可能になります。透かしを確認できるお札の見方ができなければ当然ながら判断は出来ません。仮に透かしの有無を確認できたとしても、初めて日本のお札を見る人は「透かしが無い→偽札だ」という判断は出来ません。
このように、目視検査を自動化するには画像取得と画像解析の2つの要素が高水準で達成されることが不可欠です。画像取得については、アダコテックの光王子が詳しく解説しているのでこちらをご覧ください。今回は画像解析をメインに紹介します。


画像解析の方法は主に3つ

画像解析分解

外観検査の現場で一般的に使われている画像解析の方法は大きく分けると、ルールベース、ディープラーニング、HLAC(特殊系)の3つになります。

ルールベースは人がルールを与えて、このルールにしたがって識別する方法です。先程のお札の例であれば、「画像の中心に透かし模様が無ければNGとしなさい」と言った具合です。「サイズが76mm x 160mmでなければNGとしなさい」というのもルールベースの解析手法の例になります。シンプルでわかりやすい一方で、機械側に一つ一つルールを入力する手間がかかります。実際の外観検査では製品のどこにどんな欠陥が出るかは予想し辛く、お札サイズの製品でも数百項目の設定が必要になる場合もあります。

ルールベースに対して機械学習は、上記のようなルールを人が1つ1つ教えなくても画像を読み込ませるだけで機械が学習してくれます。それでは、ディープラーニングとHLACは何が違うのでしょうか? 

ディープラーニングとHLACの比較

両者を分ける大きな要素が2つあります。それは「学習方法の違い」と「技術の汎用性」です。まずは学習方法の違いから紹介します。

ディープラーニングはOKパターンとあらゆるNGパターンの画像を読み込む必要があります。

<ディープラーニングの学習データ>
・OKパターン
・NGパターン1:透かしなし
・NGパターン2:サイズ違い
・NGパターン3:シワあり
・NGパターン4:印刷ミス
      ┆
・NGパターンX:XXX

OKパターンと全てのNGパターンを読み込ませることによって、これはOK、これはNGと判断が出来るようになります。一方で、HLACはOKパターンのみ画像を読み込ませます。

<HLACの学習データ>
・OKパターン 以上

HLACはOKパターンしか学習していないので、OKパターンではないものは全部NG!という考え方です。一見乱暴なように見えますが、NG品の流出が許されない外観検査ではこの考え方がフィットします。

2つ目の違いは技術の汎用性です。
ディープラーニングは汎用性が高い技術で、多くの方々がご存じの通り様々な分野で活用されています。車の自動運転や顔認証、手書き文字の認識など、例を上げればキリがありません。スポーツで例えるならば、何でもできる十種競技のスーパーマンと言ったところです。

一方でHLACにはディープラーニングのような汎用性はありません。その代わり、画像解析という専門分野では高い性能を誇ります。十種競技の総合得点では勝てなくても、100m走は誰にも負けない力を発揮します。
異常検知という特定種目の戦いにおいて、ディープラーニングは汎用性が高い分、異常検知に適応するのに準備が必要で、学習過程も長くなる傾向があります。HLACは既に異常検知に特化しているので学習過程も非常に短く、すぐに高いパフォーマンスを発揮することが出来ます。

アダコテックの技術が少ないデータで高い精度が出せる背景の1つは学習するパターンがOK品だけで済むということ、そして2つ目は画像解析に特化した技術のため最低限の準備(データ)で高いパフォーマンスを発揮することが出来るということになります。

アダコテックでは日本発の特化型技術で社会課題の解決に挑む仲間を募集しています!是非こちらの記事もご覧ください!


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