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前年比30%以上成長のクラウドワークスと、マザーズ上場を果たしたランサーズを徹底的比較してみた vol.2

前回の記事に引き続き分析・比較を行なっていきます。(前回の記事はこちら)

【前回の要約】
売り上げ・営業利益、それらの成長率はクラウドワークスが優位。その内訳たるテイクレートは両社とも同じだが、流通総額とその成長率はクラウドワークスが優位。

前回はこちらのスライドのvol1では2の⑵テイクレートまで書いていきました。今回のvol2では、2の⑶からみていきます。

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クライアント

次はクライアントサイド(発注企業側)からみていきましょう

クライアント数の比較

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クライアント数でみると、実は接戦していることがわかります(ただし公表されているデータの関係上、クラウドワークスのクライアントはマッチング事業だけであるのに対し、ランサーズのクライアントは受託事業も含みます。)
では、クライアント単価の方はどうなっているでしょうか?

クライアント単価の比較

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クライアント単価でみればクラウドワークスが、50%ほど差をつけて優位にたっております。

クライアントの側面からみれば発注している企業数は変わらなくても、クライアントとより親密な関係を気付いて付加価値の高い仕事をとってくることができているのはクラウドワークスと言えます。では、ユーザー(クラウドワークスの資料ではワーカー、ランサーズの資料ではランサーとして表現されています)の視点からみるとどうでしょうか?

ユーザー

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ユーザー数(2019年10月時点)、アクティブユーザー数(2019年3月時点)共にクラウドワークスが圧勝しています。ではユーザー単価(一人あたりの契約額、一年の総契約額/ユーザー数)はどうでしょうか?

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公表されている数値がなかったので、推計計算(クラウドワークスのユーザー契約単価は2019年9月期の数字、ランサーズのユーザー契約単価は2019年3月期の流通総額と2019年10月期のユーザー数を使っています)です。

実はユーザー・アクティブユーザーの両方において契約単価という視点ではランサーズ が優位になっております。考察ですが、クラウドワークスの方が第一想起をとれているのであれば、とりあえずクラウドワークスにだけ登録するー>登録だけしてなにもしないというユーザーも多そうです。

集客力

ここまで、事業のKPIをみてきましたが、プラットフォーム型のビジネスモデルはそのプラットフォームに参加しているプレイヤー、今回のケースであればユーザーとクライアントをどれだけ集められているかが、プラットフォームの価値を決めます。現在のユーザー数とクライアント数は上でみましたが、今後の盛衰をみるために実際プラットフォームへの集客力という意味ではどちらが優れているのか、という視点で両者を分析していきます。

マーケティング編

ではユーザーに対するマーケティングにおいては、どちらが勝っているでしょうか?

仮に、CVRが両者とも同じ場合、検索数によって認知度の強さを測定することができると考えられます。GoogleTrendとUbersuggestを用いてこの一年間の推移、及び累計の違いを比較すると次のようになります。

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実際クラウドワークスが倍ほどの差がついていることわかります。ユーザーの第1想起を獲得してマーケティングにおいて優位に立っているのはクラウドワークスであることがわかります。ちなみに、広告費効率性(売り上げに締める広告費の割合)は下のようになります。

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この場合、割合が小さい方が広告費効率性が高いということなので、クラウドワークスの方がマーケティングコストを他の事柄(例えばセールス)に使えることになります。

余談ですが、すでに副業関連のキーワードにおけるSEOはクラウドワークスもランサーズも、メディアに負けております。

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Googleのアルゴリズムのアップデートで大幅に変わるので長期的には分かりませんが、短期的にはアフィリのネットワークの構築が勝負になりそうです。

セールス編

では、クライアントを効率よく獲得しているのはどちらでしょうか?2018年のクライアント獲得コスト(CPA)を推計すると下のようになります(人件費のうち1/3がセールス関連だと推定)。

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クラウドワークスの方がCPAが低いことから、セールス力はクラウドワークスの方が上であることがわかります。考察ですが、その分クライアントのアップセル(より価格の高い案件を獲得)にリソースを割くことができているとも考えられます。

まとめ

これまで書いていきたことをまとめると次のようになります。(クラウドワークスが勝っている部分を青、ランサーズ が勝っている部分を赤で塗り分け)

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クラウドワークスの方が優勢ですが、海外の大手サービス(UpWork)などとも比較すると、クラウドソーシング領域にはまだまだ空きがあると言えますし、ハイエンドなバーティカルなソリューション(例えばフリーのコンサルマッチングなど)も出てくる可能性もあります。今後の両者の動向に期待です。

このNoteでは週1ペースで分析記事を発信していきますので、ぜひフォローして行ってください!

参考資料

ランサーズ株式会社 上場のための有価証券報告書
株式会社クラウドワークス2019年9月期通期決算資料
株式会社クラウドワークス2018年9月期通期決算資料
GoogleTrend
Ubersuggest