人材獲得編ヘッド

強くなるための部活動マネジメント(人材獲得編)

※アメブロに書いていた記事を加筆・修正しnoteに移植しました。

1.はじめに

高校での硬式野球、大学でのアメリカンフットボールの経験と、経営工学、経営学の視点を組合せて「人材的、環境的に不利なチームが勝つにはどうするべきか」について考えをまとめて書いています。

大きく5つに分けて考えをまとめています。

①戦術編

キーワード: 環境が不利なチームは環境に恵まれたチームと同じ戦い方をしても勝てない

②練習運営編

キーワード: 練習効果 = 回数 × 1回当たりの質

③システム構築編

キーワード: PDCAサイクルの回転速度と同時回転数を最大化

④文化構築編

キーワード: PDCAサイクルの1回転当たりの質を最大化

⑤人材獲得編

キーワード: 共感の獲得

主に高校野球の経験は①と②に、大学フットボールの経験は②~⑤に反映されています。
(アメリカンフットボールは戦術について突き詰めて考えるのは当たり前なので、あえて①には入れませんでした。)

【①戦術編】はこちら

【②練習運営編】はこちら

【③システム構築編】はこちら

【④文化構築編】はこちら

2.人材獲得編本編

これまでは、チームにいる選手が強くなるための考え方ですが人材獲得編ではチームに入る選手の量を増やすことによってチームを強くする、ということについて書きます。

以下スポーツ推薦が無く、アメリカンフットボールの経験者もいない東京大学アメリカンフットボール部WARRIOSがどうやって選手を獲得しているのか、がメインの話になります。

この人材獲得編はスポーツ推薦で選手をとってくることが当たり前のチームではあまり関係のない話になってしまいますが、現在チームにいるメンバーのチームに対するコミットメントを高める、という意味では少し関係があると思いますのでそういった視点で観て頂ければと。

東京大学アメリカンフットボール部WARRIOSには選手が約90人、多いと100人くらいいます。

これは全国の大学アメリカンフットボール部の中でもトップ10に入るくらいの人数です。

しかもほとんどが高校までアメリカンフットボール未経験者です。

アメリカンフットボールにおいては100人くらいまでは選手の人数が多いほど練習の効率が上がり、レギュラークラスのレベルもあがるので、チームの人数というのは非常に重要となります。

この規模の選手数を確保するためには選手のリクルートがとても大事になってきます。

このリクルートでは

(1) 知ってもらう
(2) 興味を持ってもらう
(3) 共感してもらう
(4) 入部してもらう


というプロセスで行われています。

これはマーケティングで有名な「AIDA」に近いのではないかと思っています。

すなわち

Attension = 知ってもらう
Interest = 興味を持ってもらう
Desire = 共感してもらう
Action = 入部してもらう

に対応していると考えられます。

細かいやり方など、かなり深掘りできるところですが大まかな考え方だけ順に書いていきます。

3.(1) 知ってもらう

・都内進学校出身の部員の母校訪問
・入学試験でのティッシュやキットカットの配布
・合格発表での胴上げ
・入学手続きや健康診断が終わる出口に待ち構えて出てくる新入生全員に声をかける。
・選手の大写真(試合中のかっこいいやつ)を貼った看板を学内の至る所に設置

などを行っています。

いきなりアメリカンフットボールをやろうと言われてやる人は非常に稀です。
(私はその稀な部類だったのですが笑)

まずはいきなり勧誘するのではなく、

・「東京大学にアメリカンフットボールをやっている人たちがいるんだ。」
・「チームの名前はWARRIORSって言うのか。」
・「アメリカンフットボール部ってノリの良い連中だな。」

という認識を持ってもらうことからスタートします。

ここで重要なことは、とにかく多くの新入生に認識してもらうこと、そしてその後に続くイベントの告知をするために多くの連絡先を入手することです。

大体毎年新入生3,500人のうち、1,500人の連絡先を入手することを目標に泥臭く頑張っています。

4.(2) 興味を持ってもらう

・バーベキューやスポーツ大会などのイベントの実施
・フラッグフットボール体験会
・練習の見学会

などを行っています。

入手した連絡先に各イベントの案内を出して参加者を募ります。

ここでもアメリカンフットボール部に勧誘するというよりは、新入生にイベントを楽しんでもらうというスタンスで行います。

その中で、

・フラッグフットボールを通じてアメリカンフットボールの面白さを感じてもらう。
・イベントでの雰囲気やその後にご飯を驕ったり、学生生活の相談に乗ることでチームのメンバーに興味を持ってもらう。

ことを目指します。

東京大学でアメリカンフットボールをやる人の中には

・アメリカンフットボールという競技自体に魅力を感じた。

という人だけではなく、

・アメリカンフットボールをやっている人達に魅力を感じ、一緒にやっていきたいと思った。

という人も非常に多いです。

なので、イベントを通じてアメリカンフットボールの競技の面白さはももちろんですが、アメリカンフットボール部の特有のノリの良さ、アメリカンフットボールに懸ける想いの熱さを感じてもらえるようにしてチームのメンバーに興味を持ってもらうという視点が重要です。

5.(3) 共感してもらう

・仲良くなった新入生に対して各部員がアメリカンフットボールに対する想いを話す。
・大規模な新入生歓迎パーティーを開き、アメリカンフットボールに対する部員の想いを感じてもらえるような動画を観てもらう。

ということをします。

新入生にとってすぐに理解できないのが「なぜ東京大学で未経験者がアメリカンフットボールをやるのか」というところです。

しかも、この理由は結構各個人によって違っています。

例えば

・何か一つのことに打ち込んで達成したいから
・人間的に魅力的な仲間がたくさんいるから
・アメリカンフットボールが楽しいから

というような理由をそれぞれが持っています。

そこで、自分たちがアメリカンフットボールをやる理由を共感してもらうための最大の武器となるのが毎年新歓のために作成している動画です。

この動画は東京大学アメリカンフットボール部WARRIORSのリクルート活動において最も重要な存在です。

部員の想いと実際のアメリカンフットボールの魅力をこの動画に込めています。

この動画を観てもらいたいためにこの人材獲得編を書いたといっても過言ではありません笑。

以下は個人的に最も出来が良いと思う2012年の動画です。

25分くらいありますが是非見てください。

この動画や部員との語り合いで共感してもらった新入生に対して(4) 入部してもらう、というプロセスなります。

6.さいごに

以上が強くなるための部活動マネジメント【人材獲得編】です。

今回が「強くなるための部活動マネジメント」の最終回となります。

読んでいただいた方の今後の活動の何かのヒントになっていただければ幸いです!

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