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「わたしの湯」、はじめました。

こんにちは、小杉湯番頭つっつーです。

2020年5月25日からミルク風呂の壁面に「わたしの湯」というスタッフインタビューの記事を掲示していました。お客様から「いつも来ているお風呂で働く人たちの人柄が見えてよかった」とのお声をいただき、もっと沢山の人に読んでもらいたい!ということで、この度noteにて公開させていただくことになりました。

小杉湯の従業員は正社員、深夜清掃、番頭、番台含めて約30名。

今日も”みんな”でお風呂を沸かしています。

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—コロナになってからどういう生活をしてるの?
(それまでが不規則だったので)一周回って、生活習慣が戻って。朝、早い時は6時とかに起きて、ラジオ体操してご飯食べて、どう森(どうぶつの森)して、ウクレレして…

—ウクレレやってるの?!
ウクレレはじめました。(笑) それを1日3セットやってますね。

“全然弾けないけどっ!” —そう言ってケラケラ笑う声、目尻がピンっと上がる笑顔。えっぐちゃんと話していると“将来を思い悩む就活生”なんて言葉とは無縁のように感じられる。 上京して4年目というが鹿児島なまりは顕在で、話していてどこかホッとするのはわたしだけではないだろう。誰と居ようとえっぐちゃんはえっぐちゃん。そんな安心感が彼女にはあった。 この企画をやるぞ!と決め、早速、誰がトップバッターにふさわしいかな、とガースーさんに相談したところ、「“えっぐ”じゃない?」とすぐに返事がかえってきた。確かに適任だ。
みなさん、こんにちは。番頭のつつもとです。2019年9月より小杉湯で働いています。わたしが小杉湯に入った当初、会う人会う人「何この人、面白い!」「この人のこと、お客さんが知らないなんて勿体ない!」と心底感じ、ぜったいにいつか実現したい!と温めていた企画。  小杉湯はお客さんにとってのホーム銭湯であり、スタッフにとってのホーム銭湯でもある。そんなみんなのホーム銭湯、小杉湯を今まで以上にもっともっと好きに、内側から好きになってくれたらうれしいな。
そんな思いで始めます、わたしの湯。
企画:つっつー / インタビュアー:ガースー / 写真:Gota shinohara


小杉湯との出会い えっぐにとって“働く”って何なのか

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—えっぐが小杉湯で働きはじめたのは大学3年生のとき?どこで小杉湯を知ったんだっけ?元から小杉湯に通ってたの?
 (働き始めたのは)3年生になるちょっと前の春休み。大学2年生までは中野の寮に住んでて、その時に寮の友達に「すごい良い銭湯があるんだよ」って言われて、何回か来ましたね。でも私は鹿児島出身で、地元には温泉しか無いので銭湯の文化がなくて…人生で初めての銭湯が小杉湯です。銭湯に行きたいという気持ちもあまりなかったです。「温泉の方がいいじゃん。いいお湯出てるんだから」って思ってました。(笑) で、一人暮らしになった時、(引越し時の)手続きとかが苦手でガスが通らなくて、毎日お湯出なくて。でも「小杉湯があるからいいか。」って1ヶ月ぐらい通いました。そしたらたまたま通ってる時にバイト募集の張り紙があって、応募したんです。

—その時のバイト募集は深夜清掃の募集だよね。そうやって通ってくれてる人でも「銭湯で働こう」っていう人はなかなかいないと思うんだけど、なんで「働いてみようかな」って思ったの?
その時働いてたバイト辞めたかったからです。(笑) 小杉湯入るまでバイト続いたことなくて…嫌だと思ったらほんとにすぐ辞めるんですよ。(小杉湯は)超続いてますよ!最短0日、1日、2日、続いても3ヶ月〜1年いかないくらい。自分にメリットがないのに、バイトを続ける意味がわからないですもん。それ(すぐ辞められること)がバイトである唯一のメリットなんで。一瞬でやめますね、時間の無駄なんで。友達は「バイト辞めるとお金が…」って言うけど、“それなら私、節約した方がいいな”って思うくらい嫌なんですよね、自分の時間“売る”のが。だからすぐ辞めるんです。

—すごいしっかりしてるね。自分の時間を“売る”っていう感覚があるのは。
小杉湯のバイトが続いてるのは理由があるの?
(通勤時に)電車に乗らなくていいって言うのもあるけど、普通に楽しいからだと思います。私バイトの人と仲良くなるってことも考えたことなかったので、コミュニケーションとったり、仲良いのは初めてですね。バイトの人はバイトの人なんだから、(話すのは)就業時間だけでいい、わざわざ仲良くなる必要ないって思ってました。

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—なんで仲良くなれたんだろうね?他のバイトとは違ってたってこと?
なんでなんだろう。でも、私が入ったくらいから懇親会が頻繁に行われるようになったんですよ。…それかな?深夜清掃も最初の方は全然喋ってなかったですからね。土居さんとか(怖い印象で)マジでやばい、マジで絡んじゃいけない人だと思ってたんで。仲良くなったきっかけは…懇親会の中で私と同い年って知って「同じ大学生なんだ!へ〜!」って。あとは石川さんに「土居ちゃんはおもしろいよ〜」って言われたというのもあります。逆に後藤さんとかは一番最初に喋るようになった人です。一番最初の深夜清掃のメンバーが、後藤さん/大坪さん/私で。後藤さんは帰り道が一緒で、割と喋ってくれたんです。

小杉湯を続けられた“理由” 黙々と自分ルールで

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—小杉湯の深夜清掃って、お給料的には都内の最低賃金ギリギリで、深夜だし、清掃は重労働だと思うけど…友達が出来て楽しいという以外で続けられた理由はある?
質問に対して望んだ回答じゃない、且つ、人と違う回答だと思うんですけど(笑) まず、電車に乗らなくていい/家から近い/“飲食”ではない。他のバイトも考えたことあるんですけど、“夕方の固定は嫌だな…“って。私は深夜の方が、他の予定と被らないから続いてますね。
今まで、“ディズニーからの深夜清掃” “フェス→深夜清掃→フェス”とか、“海外旅行から帰ってきて深夜清掃”もやったことあります。体力さえあれば、自分でどうにでもできるじゃないですか。だから続いているというのはありますね。いつも忙しそうって言われるけど、そんな中で入れられる唯一のバイト。やってみたらあってました。体力がある方だったので。

—えっぐは番台も番頭も深夜清掃もやってくれてるけど、どれが1番面白い?
え〜深夜清掃!(笑) お客さんがいなくて、喋りながらできる。あとは…私、自分ルールを作る方なので、自分の中のルーティンで自由に仕事ができる。だから深夜清掃は結構人によってやり方が違うと思います。私はその黙々とやれる感じが楽しいです。それに、他にはない仕事だからですかね。番台、番頭は似たような仕事もあるけど、深夜清掃はないですよね。あんな大きさのお風呂をホースで“ばぁ〜”って掃除するって。

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—人によって好きなポジションが違うんだよね。
 私は番台と番頭だったら番頭の方が好きです。番台だと自分のペースが守れないので。

—そうか〜。話を聞いてて思ったんだけど、えっぐは結構自分に最適化させたいタイプなんだね。自分の予定も自由に入れられるし、仕事内容も黙々と自分ルールでできる。えっぐはこだわりが強いタイプなのかな?
 そうですね。強要はしないけど、自分で決めたこととか、自分についちゃったクセとかはずっと同じです。

—働いてる中で、小杉湯に来るお客さんとの交流はあったりする?
 就業中よりお風呂入ってる時の方が常連さんと喋りますね。「こんばんは〜」ってお風呂の中で喋って「これからだね〜」って言ってくれて。常連さんも同じ時間帯に入りに来るし、私も出勤前に入る時間が日常的に被ってる人だったら覚えますよね、1年一緒ですから。(笑) 新型コロナウィルスの感染拡大前は23時くらいに行って、1時間弱入って、24時から出勤してました。最近は入ってないです。自宅のお風呂です。

将来は…  21歳の考える未来とは

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—今えっぐは大学3年生だっけ?
いや、学年上がって4年生です。

—そっか、もう4年生か。結局、就活はどうしたの?そもそも就活をしないかもって言ってたじゃない?
(就活は)超ゆるくやってます。全部落ちたらもう1回すればいいかなぁって。(笑) 3月卒業予定だけど、 “半年休学して9月卒業、半年フリーター、4月就職”にするか、“普通に3月卒業、1年フリーター、その後就活”するか迷ってるんですよね。業界は“出版”しか受けてないです。漫画編集者になりたいっていうことしか考えてなかったのと、ほかの業界をみるのが面倒くさかった。なぜ漫画の編集者かというと、普通に漫画が好きなのと、高校1年で初めてその職業を知った時「はぁ〜!これだ〜!」って思ったから。そこから全然変わらないです。逆にもうそれ以外でやりたい仕事無いんです。
てか、できれば働きたくないじゃないですか、人って。

—笑笑笑
本当の夢は、「大金持って隠居すること」なんです。いいんです、社会の為とかは。でも、この夢を達成するためには大金がないといけないし…お金なきゃ生きていけないし…で、仕事しなきゃいけないなら、漫画編集者がいいなと。マンガ編集者になるか、大金持って隠居か、の二択。…マンガ編集者になれたとしても、多分“あぁなるほど、こんなもんか、楽しいじゃん”って思って一生続く気はしない。
あ、あと“高校生と触れ合って生きていきたい“、とかですかね。好きなんですよね、高校生。

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— へぇ〜!それは“先生になりたい”みたいなこと?
先生にはなれねぇなぁって。勉強嫌いだし、私。
基本的に“人”って、今まで見てきた世界と今見てる世界が世界の全てだと思って生きていくじゃないですか。その世界が、高校生は狭いんですよ。高校生が見てる世界ってちっぽけなのに、これが世界の全てだって思って、すごい一生懸命毎日を生きてる“大人でも子供でもない、高校生”にすごい憧れます。その時期の感情に触れるのがすごい好きなんですよね。

—高校生って確かに子どもって感じではないよね。
えっぐは出てくる言葉が面白いんだよね。あと、あまり飾らないっていうか。大学生の子と喋ると相手が求めてる言葉を喋ろうとするけど、その感じがあまりない。みんなどう見られるかをすごい気にする、就活とかがまさにそうだと思うんだけど、一般的な答えじゃないことが出てくるのがすごい面白いなぁ。
(就活は)飾らなすぎて一回落とされましたもん。面接官がおじいちゃんで、やっぱりおじいちゃんは、もうちょっと飾って欲しかったのかな?でもまぁ、いっか!って。もう忘れました。(笑)

—逆に、これは絶対やりたくないぞってことはあるの?
数字に触れること。(笑) 数学めっちゃ嫌いなんで。…職業とかでいったら、保険や金融はもう本当にないです。あと!あれです、『TwitterをFacebookみたいに使う』。最近増えてるじゃないですか。起業した人とかが、“外で一眼レフで撮りました“みないな腕組んでる系の写真をアイコンにして、自己紹介めっちゃ書いて、分析っぽいツイートする、みたいなのはしたくない。それがうまく働くことがあるっていうのは分かってるんですけど。私はできないな〜!って思います。SNSでバイトの人と繋がるのも嫌なんですよね。土居さんも一回断ってて。(笑) 入りたての時に「Twitterとかやってるの?」って聞かれたんですけど「バイトの人とTwitterとか繋がるのはちょっと…」って言って断りました。(笑)

—いや〜面白いな。“えっぐ”が“えっぐ”のまま生きてってどう育つか見たいです。どこに就職するか見もの。逸材ですよ。もしお客さんの中で漫画の編集者とか、出版系の人がいて、「この人面白いなぁ」って思ったら、声をかけてもらってもいいんですか?
いつでも誰でも声かけてください。あと高校生と触れ合ってる人いたら声かけてください。

「わたしの湯」 引き続き見守ってください

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正直、企画者であるわたしが1番ワクワクしています。この気持ちはえっぐちゃんが高校生の気持ちに触れる尊さに似ているなと感じます。誰かの人生に触れると、自分一人の人生を生きるだけでは感じられない何かを感じられるな〜と。次回も楽しみでなりません。

今回の登場人物

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Photo gallery  by Gota Shinohara

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