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氷河期の夫婦

子どもが生後7ヶ月〜1歳半ぐらいだった時の話。旦那と私の間に会話はほとんどなかった。私が絵の仕事をしていたのは、子どもが寝ている時、一時保育に子どもを預けている約3時間、週末旦那が子どもを連れて散歩に行ってくれている1〜2時間の間だった。子どもがいない頃は、1日12〜13時間絵を描いていたが、生まれてからはほとんど描けなくなっていた。

しかし、私はいくつか絵本の締め切りを抱えていて、子どもが寝はじめると、画材を引っ張り出し、鬼気迫る勢いで絵を描いた。一時保育も旦那に子どもをみてもらっている間も、1分1秒逃すまじ!と、机に向かっていた。

その頃、授乳に加え離乳食作りもあって、家事の方もてんてこ舞い。家の中での移動は、常に小走り。マリオのBダッシュ状態。そんなだから、旦那の話にゆっくり耳を傾ける時間がない、というか話を聞くという姿勢を全く持てなかった。私、ピリピリ期。旦那曰く、あの頃の私は、戸を閉めるのが荒っぽかったり、言葉の端々に棘があって、嫌な感じだったそうだ…。

一方、旦那は子どもにスーパーウルトラぞっこん期。旦那がくしゃみをした際、子どもが大笑いした。すると旦那は、わざとくしゃみを何十回と繰り返し、子どもを喜ばそうとした。その光景はまるで、たわいもないことでキャッキャとはしゃぐ付き合いはじめたカップル(笑)そんな旦那と子どものデート中に「一時保育の施設見学してきたんだけど」などと話しかけても、ダメ。上の空。ひどい時には、私が旦那に声をかけた瞬間、二人だけの世界に水をさされたのが嫌だったようで…「今話しかけないで」とおっしゃった。

そんな私と旦那は、すれ違うようになっていた。家族だからこそわかってもらいたいけれど、それを伝えるための会話がなかった。

そんなカッチコチの極寒氷河期だったが、保育園入園と共にそれは終わりを迎えた。入園すると、集中して仕事の時間が取れるようになり、育児も手がかかることが一つずつ減ってきたこともあって、私に余裕が少し出てきた。

夫婦二人だけの時間が生まれると(平日は朝に10分やそこらですが・・・)、自然と旦那とゆっくり会話できる時間が増えてきた。

今は、「昨日、保育園に迎えに行った時ね…」「ラジオでこんなこと言ってたんだけど」など、ちょっとしたことでも伝える。そして、お互いの話に耳を傾けて聞く。私と子どもが寝ている間に帰宅する旦那。夜寝る前に少し時間がある時には、子どもの写真を添えて「おやすみ」メッセージをLINEで送信しています。こんな小さな日々のコミュニケーションの積み重ねが、家族の繋がりを作っていくのだと思う今日この頃、なのです〜。


発行・テキスト・編集・写真・はまのゆか・2017年6月6日

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