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カエルとほどよい無関心の話

6月11日 雨

本日のBGM Harry Nilsson

今日は雨が降りまして、そろそろ梅雨に突入って感じでしょうか。紫陽花も次々と咲いております。

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1週間前くらいからカエルがゲッコンゲッコン鳴きまくっておりまして、それも結構声が大きくて、いま現在も家の中にいながら その声を聞きつつ これを書いてるわけなんですけど、ある時あまりにでかい声で鳴くカエルがいて、

「こんなでかい声で鳴くようなやつだから、ちょっとした自治体で ご当地名物になるような ごんぶとガエルに違いない!」と好奇心が駆り立てられまして、声のする方へと草をかき分けて行ったら、声の主は普通よりも小さめサイズのカエルでびっくりした事がありました。


体と同じくらい喉を膨らまかすことで大きな音を出していたのですが、あの小さなサイズで あれだけの音を出せるんだったら、ちょいとビクターとかソニーとかの おっきなメーカーさんの方で、伸縮するような素材でもって むっさちっさいスピーカーとか作れないのかしら。


でも伸縮する事で音を出すとしたら、その素材を自在に操る擬似筋肉みたいなものが必要で、またそれをコントロールするための司令塔が必要になるから、これらを小型化するのはさらに大変そうだし コストもすごそうですね。


てことはカエルを調教して曲を覚えさせるとかした方が早いのかしら。「当家の歌ガエルはシューベルトから秋田音頭まで世界中の主だった曲を300曲も覚えているんざますのよ。こちらがその血統書。かわいいでしょう〜。お耳汚しになりますけど、ご紹介ついでに 『魔王』をご披露いたしますわ。」うーんステキなご趣味!



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こちら↑は釉薬を洗うための水が溜まっているところで、ここには貝とかボウフラとかメダカとかがいて、水草もあるので ちょっとしたビオトープになっているんですけど、ここには毎年カエルが住みつきまして、このビオトープの食物連鎖の頂点に君臨している勝ち組カエルです。


私はカエルに対していつも「カエル先輩」という認識なのですが、おそらくですけど現在 私よりも長生きしている30年もののカエルはいませんよね?

と書いてみたところ気になったので調べてみたら、ヨーロッパヒキガエルというのが飼育下で36年生きたケースがあるそうですので、ことによると私より年上のカエルはいるかもしれませんな。


まあそれはそれとして、普段接するカエルたちは年下なんですけど、彼らってなんていいますの、かなりの無精者じゃあないですか。

あんまり新しいこととかしないし、ファッションも変わらないし、毎年の行動パターンまで同じという伝統的なライフスタイルを貫いているので、いつ見てもカエルであり、カエル以外のものになろうとか全くしないんですよね。

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もし私がカエル大好き人間になったとしたら、種ごとの区別がつくようになり、個体や年齢の区別までつくようになって「おんなじカエルなんて1匹もいないんだよ!」というステキな主張をするようになるかもしれませんが、

私とカエルとの間には程よい無関心が満たされておりますので、20年前のカエルだろうが、先ほど写真に撮ったカエルだろうが カエルはカエル、私にとってはいつも同じカエルがそこにいます。


個別のカエルには思い入れがないので、カエルという種全体で「カエル先輩」という生き物になっているんでしょうね。だからカエル先輩は人類の誰よりも年上であるような気分なんですけど、てことは親近感のない生き物は永遠に生きていると言っても過言ではございませんよね。ね。火の鳥でもそれっぽいこと言ってましたし。

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こちら↑はまた別の水場のカエルなんですけど、カエルにとってこの場所はかなり心地いいみたいで、いつも数匹のカエルが、虚空を見つめる瞳で たむろしているのですが、このカラーリングはまた見事に古びたコンクリートと同化しておるなあと感心しております。実は写真の中にカエルが6匹いるんですけどわかります?


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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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