コロナ禍でユーコン遠征も中止。

新型コロナウィルスの感染拡大がピークを超えたように思えます。とはいえ、ワクチンができて、しかも十分な量が生産されるまではまだ長い時間がかかりそうですし、6月からは束の間の規制緩和ということになるのでしょうか。

山小屋のマネージメントをするものとしては、言ってやりたい事が山ほどあるのですが、それは今日は置いておくとして、ユーコンの旅の話です。

今年はアラスカから再スタートの予定でしたが、延期することとなりました。

アメリカに入国さえできればどうにかなる、漕ぎ出してしまえばほとんど人に合わない荒野なのだから、とも考えたのですが、そう簡単な話ではないのです。

まず、距離は1600km、期間は1ヶ月半〜2ヶ月の長旅ですから、旅の途中で食糧の補給が必要となります。アラスカのユーコン川沿いには、数日から終週間の間隔で村々がありますが、そこに商店があるとは限らず、その場合は現地の皆さんと交渉したり、助けを求めたりすることになります。コロナ禍の今、そんな村々で海外からの旅人が歓迎されるかは未知数です。

日本でも「コロナ対策のため今は離島に行かないで」と呼び掛けられていますが、コミュニティも医療規模も小さい場所にウィルスを持ち込むことは、その地域の崩壊につながる可能性があります。そのような他人にリスクある行為をするべきではありません。

そもそも、もし仮に渡航の際に成田で感染したとしたら、発症するのは誰もいない荒野のど真ん中。ひとりぼっち。それこそ、アラスカの荒野に1人乗り込み、お腹を壊して死んだ「イントゥ・ザ・ワイルド」(ジョン・クラカワー著)の若者みたいになっちゃいます。

そんな理由から、今年の試みは中止です。

モーラナイフや浄水器のソーヤーなどを取り扱うアンプラージュインターナショナルさんが支援してくださる方向で話が進むなど、気持ちも盛り上がっていたのですがとても残念です。

とはいえ、夏に海外渡航ができる雰囲気が戻っていたら、ユーコンのカナダ区間には行く可能性があります。何度も降っているイージーな区間ですが、道路や医療体制など社会インフラも比較的充実しています。(アラスカのユーコン川沿いには道路すらないですからね。)

ユーコン準州の州議会議員さんや州政府で働く弁護士さん、看護師さんらが友人にいるので、彼、彼女らの意見を聞いて判断しようと思っています。

この夏のカナダ行きについて、弁護士のサラにメールで聞いたところ「まだ希望はある」とのこと。彼女が住むユーコン準州の州都ホワイトホースでは「カリブーの足の長さくらい人と距離を置こう」とソーシャルディスタンスが呼び掛けられているんですって。

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