黒い司法 Just Mercy

黒人は生まれながらにして有罪なんだ。

ネタバレあります。

この映画はコロナ自粛前に2回見に行ったのだが2回とも良かった。もともと裁判での逆転劇が描かれているのかと思っていたが、全然予想していたものとは違った。常人が思いつかないような発想で勝訴を勝ち取ると言ったものではなく、ただただ黒人に対する偏見と差別に満ちた裁判に必死に食らいつく黒人弁護士と黒人死刑囚の話だった。不器用でまっすぐ心に体当りしてくる。そんな映画度と私は感じた。今時間があるならば一人でも多くの人に見てほしい。最近冤罪物の洋画だとリチャードジュエルが記憶にあったが私が思うに黒い司法のほうが見る価値は大いにあると思う。

印象に残っているシーンを紹介したい。再審請求を行う際、裁判所の入り口で警察犬が白人女性に対しては吠えなかったのにも関わらず、黒人女性が前を通ったときには吠えかかる。これは、白人が根本から黒人を悪の対象としてみているのだと強く感じた。次にロブモーガン演じるハーバード・リチャードソンの死刑執行シーン。このシーンを見返したくて二回目を見に行ったと言っても過言ではない。この人物は主人公ブライアンが弁護していたマクミリアンの親友で死刑囚である。戦争に行き、部隊の中で自らだけが生き残り精神を病んでしまう。その結果爆弾を作り近所の郵便ポストに入れ幼い女の子の命を奪ってしまったという罪で死刑となった。国のため必死で戦い精神を病んだことで濡れ雑巾のように捨てられた。精神を病んだ彼に国からは何も支援はなかった。執行の日、最後の望みとして賛美歌が施設に響き渡る。マクミリアンを筆頭に他の囚人たちも鉄格子にカップを擦りつけ金属音を響かせる。ひとりじゃない俺達がついてるとマクミリアンが大声で叫ぶ。涙が止まらなかった。最後にマイヤーズの決死の証言の姿も素晴らしかった。検察はマクミリアンを陥れるためにマイヤーズを逮捕しマクミリアンが罪を犯したと思わせる証言を迫った。マイヤーズは頑なに証言しようとしなかったが、検察がマイヤーズを死刑囚専用の拘置所に送り、死刑執行を行い死の恐怖を感じさせ無理やり証言をでっち上げた。その恐怖を乗り越え、裁判の際証言したのは純粋に尊敬した。私だったら裁判の後のことを考えてしまいできないと思う。ブライアンの背中が検察の視線からマイヤーズを守っていたのもかっこよかった。まだまだ最高のシーンはあるので見ていない人は見てほしい。見た人は好きなシーンなどどんどん教えてほしい。

最後にこの映画は出ている俳優さんの演技は超絶うまかった。そのおかげでこんなにも映画の中の世界に入ることができたのだと思う。


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