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【勉強の改善策】「アウトプット」についての"誤認"を正す

こんにちは。

今回は、資格の勉強を説明する際に出てくる「インプット」と「アウトプット」について考えます。
特に「アウトプット」とされていることがどのようなものかを、ここで改めて確認したいと思います。

「インプット」と「アウトプット」を分けるようになった理由

資格の勉強について、「知識を得ること」を「インプット」、「得た知識を用いて問題を解くこと」を「アウトプット」と称し、このバランスが大事である、という説明をよく耳にします。

「知識を得る」とは、テキストを読む、講義を聞く、最近ではYouTube動画を通じて知識を得る、ということも含まれるでしょう。そして、このように知識を得る方法や行動が「インプット」とされていると思われます。

私は「効率よく資格が取れる『必勝勉強法』」(以下、本書)で、学校教育の中で教科書をベースに勉強を進めてきたことが、テキストを読んでから問題を解かなければならない、という意識に繋がっているのではないか、という指摘をしました。
よく耳にする「インプットする」という考え方も、テキストを読むことから始めるべき、という意識から来ているのかもしれません。

本当に「インプット」=「テキストを読む」「講義を聞く」なのか?

さて、「インプット」について、果たしてテキストを読んだり、講義を聞くことに限られるものでしょうか。

そもそも、「インプット」とは、テキストを読んだり講義を聞く以外に、試験に合格するために必要な知識を得て、問題を正解できる力を身につけること全体を指すべきものと考えます。

私が懸念するのは、あまりに「テキストを読むこと」や「講義を聞くこと」にこだわるあまり、いつまで経っても問題を解こうしない、ということ。また、問題集にあたる際、問題を解いて正誤を確認するのみで終わらせてしまう、「解説やテキストと照らし合わせる」こと「間違えやすい箇所を確認する」ことを疎かにしてしまうことです。

「インプット」の意味を、「合格できる力を身につけること全体を指す」とすると、実際に問題を解いて間違えたところを確認したり、「引っ掛け問題」を体感し、細かな違いを覚えることも当然「インプット」に含まれます。

そのように考えると、実はテキストを読む、講義を聞く、ということは「インプット」の一部に過ぎず、その意味において「テキストを完璧に覚えてから、問題を解こう」とすることは、なかなか「インプット」が進まず、とても非効率なのです。
そもそも、基本的にテキストは「正しい」ことしか書かれていません。そのようなテキストを読んでばかりいても、勉強は単調になりがちです。
また、問題を解いて資格試験の「実戦感覚」を磨き、解説やテキストとの照合や、引っ掛かりやすい類似点を確認し紐付けることにより、合格に必要な力は身につきます。

また、「アウトプット」と称した行動も、よく考えてみると、私がいう「インプット」の行動に当てはまるものもあります。
先ほど、「得た知識を用いて問題を解くこと」を「アウトプット」とし、具体的には「問題を解くこと」を指す、と述べました。様々な勉強法で解説している「アウトプットする」という意味の中に、実は「問題を検証・吟味する」ことが含まれていたとするならば、伝える側が無意識のうちに「問題を検証・吟味すること」も「アウトプット」の概念の中に含めてしまっている可能性があるのです。
そして、受け手側が単に「問題を解く」ことのみを「アウトプット」として受け止めると、問題を検証・吟味することが疎かになってしまう、というリスクがあります。

完全な「アウトプット」は、模擬試験くらいか?

それでは、純粋な「アウトプット」とは何を指すか。私はせいぜい模擬試験で問題を解くことが、いわゆる「アウトプット」を指すと思います。
そして、模擬試験という「アウトプット」が有効なのは、普段から問題を解き、間違えた箇所を確認することも含めた「インプット」がしっかりできてこそ、「アウトプット」の意味があると考えます。

ただし、先ほど敢えて「せいぜい」といった模擬試験にしても、間違えた箇所を確認し、正確な知識を得ることを「インプット」と考えると、模擬試験が完全に「アウトプット」にあたるとは言い切れないでしょう。

資格勉強の9割以上は「インプット」

誤解を恐れずに言えば、資格試験の勉強は全体の9割以上が「インプット」であると考えます。
なぜならば、選択肢の正誤を「絞る」、穴埋め問題に正しい解答を書き込む、といった試験の合格に必要な力をつけるには、正確な知識を「インプットする」ことが何よりも大事だからです。
また、模擬試験を受けても、問題を解きっぱなしにして解説やテキストと照らし合わせをしない、点数を見て一喜一憂するのみでは、決して実力はつきません。

本書では、自分自身の「弱点」を明確にし、試験直前期に徹底的に弱点を潰すことを提案しています。この「弱点を潰す」というのは、「曖昧な知識を正し、正確な知識を覚える」ことを指します。つまり、試験直前まで「インプット」するということです。

その意味で私は、「インプット」や「アウトプット」の区別を過度に強調することにより、大切なことを誤認してしまうことや、かえって非効率な勉強になってしまうことを懸念しています。

働きながら、家事や育児をしながら、他の学業を進めながら資格を取ることは、とても大変なことです。その「努力」が「実力」に結びつくよう、効率よく勉強されることを願っております。

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