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戦後の『労働法制』に対する疑問

こんにちは。

今回は、勉強法ではなく、私の別の関心分野である「職場のメンタルヘルス」に関することについて書きます。といっても、今回は入口にあたる「労働に関する法律の問題」に触れます。

私は、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種と、中央労働災害防止協会認定の心理相談員の資格を持っております。
なぜ、取得しようと思ったか。それは、私のサラリーマン時代の苦い経験によるところが大きいです。ですが、今回はそこについては触れません。(この点を書くと長くなりますし、おそらく、今後触れることになるかと思います。)

半世紀以上「形骸化」?

労働基準法が制定されたのは、1947年。以来、「週休二日制」の導入を経て、1日8時間、週40時間という労働の基準が定められました。労働基準法の制定は、もう半世紀以上も前のことです。

しかし、どれだけの企業が、この基準を守ってきたでしょうか?
長年、「過労死」や「長時間労働」の問題が取り沙汰され、近年になってようやく「働き方改革」という名のもとに、時間外労働に対する賃金支払いの厳格化、労働時間の管理の強化といった政策が政府主導で行われました。

よく考えてみてください。
この趣旨は、『労働法制』をちゃんと適用しよう、ということです。

これは何を意味するでしょうか?

つまり、極論をいえば戦後制定された『労働法制』は、形ばかりのものであったということです。もし、『労働法制』が守られ、労働者が規定時間内の拘束で済むのであれば、これほどまでに過労死や長時間労働の問題は発生しなかったでしょう。
余談になりますが、この間労働組合は、労働者の権利を守るために何をしてきたのでしょうか?「労働環境の改善」も「賃上げ」と同様、いやそれ以上の役割ではないかと思うのですが…。

そして、「働き方改革」が進んだと言われている現在においても、本当に改善されているかは疑問です。

『労働法制』は、使用者側にとって「都合の悪い」法律である

そもそも、『労働法制』とはどういうものでしょうか。

まず、敢えて『労働法制』と書いているのは、「憲法」や「民法」「刑法」等とは違い、「労働法」という法律は存在しません。俗に「労働法」と言われるのは、「労働基準法」や「労働契約法」等、労働に関する複数の法律を指します。

そして、ここが肝心ですが、
使用者と労働者間で結ばれる「労働契約」は、本来「契約」という観点に立てば「民法(債権に関する部分)」によるべきところであるが、それでは問題が生じるからこそ「労働法制(ここでは、労働契約法)」に基づいて契約する、ということです。

その問題とは何か。それは、使用者と労働者との関係で言えば、使用者の方が立場が強く、労働者側が弱い。民法という「一般法」では労働者側に不利益が生じる懸念が大きいため、労働者を守るための「特別法」として『労働法制』が制定されているのです。

こう見ると、使用者からすれば『労働法制』は、自分に都合よく労働者を使う(できるだけ低賃金で、長く働かせる)ことが制限されることから、「都合が悪い」法制度なのです。

今回伝えたいことは、
使用者側からすれば、「働き方改革」は「お上(国)の指示だから、渋々やっている」という面は否めないのです。そして、この先労働者側が使用者側に『労働法制』を守ってもらえると「無邪気に期待」するのは、控えめに言ってもあまり賢明ではないということです。

その中で、労働者の働く環境をよくすることが、使用者側にとっても有益と理解してもらうためにはどうすればよいか、折を見て提言したいと思います。

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