担任のただの思い出作りと知らずに1年間煮え湯を飲まされていた話

山本さほ先生の漫画「この町ではひとり」は、横浜出身の山本さんが19歳の時に心機一転神戸に移住した1年間、理不尽な目に合い、死にたいまで思うエピソードを書き記しているエッセイ漫画です。
読んでみると確かにつらい。19歳の山本さんが理不尽に怒られて、ムカついて悲しかったです。巻末に、山本先生は漫画にすることで、ため込んでいたつらかった気持ちを外に出す感覚があったと書かれており、なるほどなと思いました。

確かに今なら理不尽な思い出を誰かに読んでもらって外に出すのも悪くないだろう。なので私も「ちょっと、こんなことってある!?」みたいな感じで理不尽な記憶を書いたので、もし良かったら読んでみてほしいです。
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中学の時の話。実話です。

1年から2年に進級する際にクラス替えがあって、私は1年6組から2年4組になりました。新担任は女体育教師のA先生。日焼けしていて茶髪のロングヘアをいつもひとつにしばっていてだいたいいつもジャージを着ていて、元ヤン感のあるアネゴっぽい快活な感じの先生で、割と人気の先生でした。

ところがこのクラス替え、妙なことにこの2年4組には、私と同じ元1年6組の子が誰もいませんでした。
(…???いや1クラス30人いて、それを8クラスにまんべんなく振り分けたら、普通に考えて3、4人ずつ一緒にならない?まあ多少は能力バランスで調整があって人数差がでたとしても、1つのクラスに1人だけブチ込むとかあるのかな?)
と疑問に思いつつけっこうショックを受けたんですが、これ誰も気づいてないだろうしネタになるかなーと、自己紹介時に「他に同じ1年6組だった人いないからよろしくお願いします」的なことを言ってみたら、その瞬間A先生が『は?まじで?』みたいな般若顔になったのを今でも覚えています。
(担任、気付いてなかったんかい…。なんで般若顔?)
とドン引きしましたがクラスのみんなはキョロキョロと周りを見て「えー!」「あっ本当だ、6組だった人がいない」「そんなことあるんだ?」とざわざわして、一様に驚いていました。中には「まじでー!」なんてネタ的に笑ってくれた子もいたので助かりましたが、同時に若干「かわいそうな人」感もただよいました。これもこれでつらいわね。

これのカラクリが何もかも3年生になった後から、徐々に判明しました。
このA先生、2年4組の担任になる時点で、発表こそしてないものの寿退職をすでに決めており、その上で

・今まで担任持ったことなかったから最後の1年間だけ記念にクラス担任を持ってみたい!
・新入生でも受験生でもない2年生の1年間だけでいい!どうせもう辞めるから受験とかムリ、2年生なら気楽っぽいし!
・せっかく記念なんだから大部分は自分が気に入ってる生徒を優先的に集めたクラスにしたい!

っていう、A先生のワガママがまかり通った結果だったんだってよ。ウソみたいでしょ。記念で担任て、さてはただの思い出作りだな?
これらの内容は全部普通に「面白いでしょ~」みたいな軽い感じでA先生本人が言ったり、まわりの先生が言ったりして知ることとなりました。特に「2年なら気楽」は本人が笑いながら言ってました。正気かな?

あと、A先生が気に入っている子というのがたいていスポーツも勉強も優秀な子で、他のクラスとのバランス完全無視で多めに選ばれているからか、マラソン大会の総合成績やテストの平均点なんかがどれもぶっちぎりの好成績を残すクラスでした。
当時は単純にやったー!すごーい!と思う反面(なんかおかしい?)とは思ったよ。ほかのクラスの子もさすがに変だなとは思ったはず。
A先生はその手の結果が出ると上機嫌で「やっぱウチら最強!」っていうチーム感強めのギャルみたいなノリで喜んでいました。

ちなみに冒頭のクラス分けのミスに気づいてなかったぐらいだからもちろん私はただの人数合わせでしょう。いや誰が余りもんだよっ。元々体育は苦手だったから、A先生としたら最初からあてにしてない存在だっただろうし、さらにはからずも『元1年6組がほかに誰もいない』という、A先生が外にバレたくないミスを初っ端からみんなに暴露しちゃった戦犯となってしまい、ことごとく目をつけられ地獄の1年でした。

例えば「今度マラソン大会ありまーす」って発表になった時に、ちょろっと「え〜」ってリアクションしたとすると、A先生は急にブチ切れて、明らかに私だけを睨みつけながらもみんなに言っているテイで
「なんか気に入らないことがあるんだったら〜、今ここで大声で言ってみろってんだよォ!!」
と啖呵をきってくる。私と同じように「えー」「マラソンやだなー」なんてざわついていた教室が一気にシーンとなる。恐ろしいよ!みんなからしたらキレるポイントがわからないのに突然怒鳴りだした、ただのヤ〇〇さんだよ!

でも前述のカラクリをこの時点では当然まだ何も知らないから、
(何故こんなにも担任から目の敵に…?)
と悩む1年を過ごすはめになってしまったのでした。

表向き、俺たちモブ以外に対しては明るくサバサバしている(ように見える)友だちみたいな良い先生だったので、2年が終わる頃に「1年前から決めてたんだよ~★」なんてはしゃぎながら寿退職を大々的に発表して、大半の人に祝福されて清々しく辞めていったのだ。何を隠そううちの親も「いい先生だったね~辞めるのもったいないね~」なんて言ってました。

親が完全に騙されている。何も言えねえ…。

そして進級時にまたクラス替えがあり、モブと思われるメンバーの中から特に仲良くもない2人の男子が一緒に3年1組になりました。さすがにひとりじゃなくて内心ほっとしていたんだけど、この新クラスを発表した時にA先生は、わざわざ近づいてきて私だけに聞こえるようにボソッと
「クラス替え、ひとりが嫌だったんだろ?今度は2人も一緒で良かったな、これで満足か?」
と言い捨てて、勝ち誇った顔で去っていきました。
(え、陰湿すぎない…?)
私は呆然とするしかなかったです。1年間根に持ってたんだ…。

もう一回言っときますが実話です。
ずーっとどっかでくすぶってたこの記憶。ことあるごとに私にだけ見せてきた般若顔は今でも忘れられないしこわい。でもまあこうやって書いたのでもういいや。と思うことにする。したい。

綺麗なオチもスカッともしないこんな話、全部読んでくれてありがとうございました。嫌な気分になったらごめんなさい。

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書くきっかけになった山本さほ先生は面白い漫画をたくさん描かれています。試し読みもあちこちにあるので是非!

「この町ではひとり」と、同時発売した「今日も厄日です」1巻も、山本さんが変な人を引き寄せてしまう面白エピソード満載ですのでそちらも是非。
代表作「岡崎に捧ぐ」全5巻は山本さんの子どもの頃からの親友岡崎さんとの話を中心にこちらも面白エピソード満載です。

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