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身近にできることをもっと大切に。コレヲキニキャンプ参加者体験レポート


コレヲキニキャンプ開催背景

2020年の7月1日から日本でプラスチックゴミ袋が有料になりました。コンビニやスーパー、書店で買い物をするときも、ゴミ袋にお金を払わなければ、そのまま商品を持ち帰ることがあたりまえに。

背景は、環境問題への取り組みとして、プラスチックゴミの排出量を減らすことです。このような背景を踏まえ、これを機に身近にできる環境問題の関わりかたを考える「エコ」をテーマとしたキャンプを開催しました。

「コレキャン」では、参加者が主体的な学びの中でエコの視点を得る機会が散りばめられていました。エコを考えるワークショップ、歯磨き粉づくり、ゴミを出さない料理対決を通して、現場のひとり一人が思考し、実行し、感じたことを共有する場面が設定されています。


エコは、かっこいい。主催者ひかるさんの想い

幼少期から生活環境への関心が高かったひかるさん。埼玉県の実家周辺が工業地域で、近くの綾瀬川は、日本で3本の指に入るほど水質汚染が進む河川。

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実家を出ると立ち込める異臭に顔をしかめ過ごしていました。法政大学人間環境学部に進学し、在学中に公害防止管理者水質関係第1種※1を取得します。


※1:水質関係有害物排出施設で、排出水量が1日あたり1万立方メートル以上の工場に配置される際に必要な資格。1万立方メートルとは、25mのプールでだいたい20杯分。

大学を卒業し、日系メーカーに就職。両親と親しんだアウトドアの経験を生かし、趣味としてキャンプを個人的にはじめ、Instagramを通じて発信したところ、フォロワーがなんと4,000人超え。キャンプとイベントを掛け合わせたら、面白いのではないか。そこから企画は始動しました。

ひかるさんのコレキャン開催の目的は、「エコ」を「かっこいい」ものだと再解釈すること。一般的に「エコ」は、「ちょっとダサい」「やりたくない」と捉えられがち。エコに対する固定観念を外し、自分の生活に落とし込んでエコな活動を取り組むきっかけを参加者が自分自身で気づくことが狙いでした。

ただ、具体的な「エコ」コンテンツ作成で立ち止まったひかるさん。そこで友人のせんちゃんに相談し、コンテンツを一緒に作成することに。


エコは、買えない。せんちゃんの想い

せんちゃんは、あるヒントを持っていた。それは、「環境団体 spiral club」で開催した歯磨き粉ワークショップを知っていたからだ。

それ以外にもアイデアが次々と浮かび、キャンプ2〜3週間前に企画の叩き台をつくりあげ、ひかるさんに提出。

そこから、エコ視点に配慮を忘れないキャンプをいかに計画していくかが、話し合われた。

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実は、ひかるさんは当初ノベルティとしてエコバックを考えていたそう。
しかしせんちゃんは、「エコグッズの購入がエコではなく、買う行為自体がエコなのか。」と、疑問をぶつけた。

そして、「今ココに、在るモノを、使う。」と参加者に伝えたいと、抑えきれない想いを渡した。

ひかるさんは、エコ活動に現在進行形で取り組むせんちゃんの想いに加え、エコバックを製造するための環境コストが高い事実に衝撃を受けた。そしてエコバックの製作コンテンツのひとつとして組み込まれました。


いかに、参加者の心理的安定性を担保するか

さらに、昨今の社会情勢を踏まえて、コロナ対策をどうするかについて綿密な計画が練られたようでした。関連施設の緊急連絡先や不参加条件を管理していたのに加えて、キャンプ中は以下の3つを実施。

①キャンプ当日朝の検温
②アルコール消毒液・ハンドジェルの定期的な使用
③マスクの着用


イベントのタイムスケジュール

イベントでは、参加者10名と運営5名がキャンプ場を訪れワークショップや歯磨き粉作り、料理対決を通して、自分の世界におけるエコの視点を養う体験が盛り込まれていました。

イベントでは、こちらのタイムテーブルが予定されていました。

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あなたの「エコ」な活動、そしてその理由とは?

1つめのワークショップでは時間を区切ってテーブルごとに自分の”エコ”な「活動」や「その理由」について個人ワークとグループワークを行い、代表者が全体に発表しました。

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私が考えた“エコ”な活動は、新しく購入する自分の服はユニクロやGUではなく古着屋で買うということ。

1,2年で使って捨てる商品よりも、少し高価でもデザインが独特で質の高い商品は価値が高いと感じました。長く使える商品であれば、大切に使う意識が高まるし、商品に愛着を抱くと考えるからです。

同じグループの参加者からは、「エコに関心がある友人を見習い自分も意識するようになった」という意見や、「コンポスト」「メルカリで購買」などの具体的な活動を挙げた人がいました。

さらに、日本が中国にゴミを買い取ってもらう事実を受け、道路はきれいである一方で、見たくないゴミを他国に押しつけていることへの疑問や、ゴミの行き先を考えずに不必要なものを購入していないかと内省しました。

次に考えたのは、“エコ”な活動をする「理由」。

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私が考えた理由は、節約したいからということ。売れないフリーランスで活動をしていると、日常生活は贅沢ができない。

正直に考えれば、エコを意識する前にお金を使わないで、それでも幸せを最大限にできるかを考えていたことに気づきました。

例えば、サーティーワンアイスクリームやコンビニスイーツは食べたいけど、お金がない。だから1ヶ月に1日だけ何でも食べていい日を決めて、それ以外はチョコレートとコーヒーだけにする。

同じグループの参加者からは、「親や友人などの周囲が意識するから自分もやらなきゃと思う」といった正直な思いや、「家庭教育が関係しているのではないか」という意見が挙がりました。

振り返ってみると、エコな視点で日常生活を送ることと、エコな活動をすることは全く別であると感じました。結果論として、買わない生活でムダなゴミを削減すると環境にやさしい活動につながるだけでした。

今後の課題は、自分のどの行動が環境に配慮できていないのかという意識。例えば、自己都合で捨てる必要のあるモノをどうやってムダにしないかを考えること。

具体的には、転居先に持っていけないから捨てるしかない自宅の姿見を最終的には、メルカリで売却しました。つまり使えるけど捨てる選択ができるモノの使い道を考え、行動することです。

さらにその行動を振り返り、環境に負荷がかかっていないかを見直します。そして見つけた、負荷がかかっているポイントを、次はどのように乗り越えていけるか、似たような行動を日常生活の中で習慣化していないかを考え続けることではないかと考えています。


いつも口に入れている成分、あなたはいくつ言える?

休憩を挟み行われたのは、歯磨き粉をつくるワークショップ。

一人ひとりが「重曹、ハッカ油、ココナッツオイル、水、ガスール粉末*」の選択肢から「何を」「どれぐらい」混ぜるかを決めました。

*ガスールは、モロッコのアトラス山脈山麓のごく限られた場所で採掘される粘土。固形と粉末の2つのタイプがある。

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私がつくった歯磨き粉は、市販の歯磨き粉とはまるで別物。油の割合が多いので口の中に入れるとベタベタし、ハッカの成分でスーッとした爽やかさを感じ、何とも形容できない味でした。

運営側が紹介したのは、ふだん使用する歯磨きチューブの成分表示の多さ。「ソルビット液、炭酸Ca、無水ケイ酸…。」本来なら使用した5つの材料で簡単に作れるはずなのに、いろいろ混ざっている現実に衝撃を受けました。

しかも、入手が難しい材料ではないものばかり。毎日口に入れているものなのに、無意識で無自覚のうちに知らない成分に触れる恐怖を感じました。


ゴミを出さないで、おいしい料理つくれますか?

大興奮のキャンプファイヤーをまたいで取り組んだのは、グループ対抗の料理対決。3グループが、キャンプ場到着前にスーパーで購入した食材を調理しました。

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私のグループの献立は、「ワカモレ・ベーコンエッグ・スペアリブ・じゃがバター・ミートボールパスタ・焼きリンゴ・マシュマロ」でした。

調理がはじまると、ボールや包丁やまな板やフライパンなどの調理器具を探し、十分な調理環境がない中でいかに工夫できるかを考えました。

なんとか調理を終了し、完成した料理から食べはじめました。お酒を飲んでいると、身の上話を語る時間に差し掛かりました。夜が深まるなかで参加者はでお互いの人生によりそいました。

翌朝、調理場所をのぞいてみると、そこには衝撃的な光景が広がっていました。大量の食べ残しや飲み残しがあったのです。

それは、昨日の自分が、食べると考え、買う決断をした食品でした。太陽の下で状態が変化し、食べられませんでした。

夜間に放置していたため、翌朝には太陽の熱で食品が劣化してしまいした。食中毒の危険性が高いことから「捨てる」選択肢を取る他ありませんでした。


自分が食べられる分の食材を買うこと

参加者1人1人が、自分が続けられるエコを宣言しました。今までに考えてない視点で、自分が続けられる範囲で出来るちいさなきっかけを掴みました。

私は、「自分が食べられる分の食材を買うこと」をはじめることを宣言しました。

私の現段階での「エコ」は、「日常生活を丁寧に生きること」だと解釈しています。例えば、駅のショーウィンドーで「おしゃれな」洋服を発見したとします。すぐに入店し、購入するのは簡単かもしれません。

しかし、「本当にその服は必要か。5年後、10年後も着ていたいと思えるか。」と、自分に問いかける。「日常生活を丁寧に生きる」とは、手に届く範囲の幸福を、すぐに手に届く方法で満たそうとしていないかと考えることだと思います。

食べると幸福だと分かる食材を購入できるとしても、ワクワク感を購入するという行為で幸福感を満たそうとする自分に気がつけたら、すてきなことではないかと考えています。


「もっとエコに」「よりエコに」という視点を日常を丁寧に送るなかで意識する

思いを巡らせると、今までの人生で食べきれなかった食事の場面が浮かびました。友人と訪れた焼肉食べ放題で食べきれなかった肉や野菜、宅飲みのためにコンビニで買ったお菓子やお酒。

それらの飲食物は私が自分で食べられると思って購入を選択しました。しかし、どれだけ食べたのだろうと考えると疑問が浮かびました。

買ったときは満足してしまうけど、食べきることができるのか。買うときは、食べるときのワクワクやドキドキを楽しみにしてあれこれカゴに放り投げてしまいます。

しかし、私たちは目先の体験だけで幸福を感じ、買う体験に踊らされていないでしょうか。

例えば、少し立ち止まって、使いたい・欲しいと思う人はいないか、と考えてみる。そうすると、ユニクロでは衣類の回収ボックスがあるので、そこにまとめて持っていこうとか、メルカリやブックオフに出せば欲しい人の手にわたるかもしれないとか、SNSで困っている個人や組織を探す行動や思考につながります。

使わない衣類や本やノートをゴミ袋に入れて収集所に持っていくのでは、日常生活で出た要らないものへの自分の責任を果たすことができません。

自分の所有物は、自分で責任を持つことが、身近にできる「エコな」活動ではないでしょうか。

執筆者:津島菜摘
編集者:中村光, 山本雄士, 畑澤直希
撮影者:幡谷拓弥

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KOREWOKINIとは?

KOREWOKINIは内閣府青年国際交流事業の出身者で立ち上げた団体です。2018年から活動をはじめ、2020年に一般社団法人化しました。国内外で活躍するグローバル人材向けに、ミートアップイベントや気づき・学びを深めるワークショップなどを通して、コミュニティに関わる人のきっかけを生み出し、次の一歩を応援します。また、人生のどんなフェーズにおいても、拠り所となる大樹のようなコミュニティを目指しています。

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