恐竜図鑑
包まれるような心地よい温かさから少年は目を覚ました
寝ちゃってた。ここは何処?
埃くさい見慣れたこの空間はカンケリの時必ず隠れるボロボロになった誰かの古い家
「昔東京にいる人が夏に遊びに来ていたんだよ」とパパから聞いたっけ
パパとはこの家の前をよく散歩しながら話するのが好きだった
僕がパパがかってくれた恐竜図鑑やサッカーの話や学校でおきたことを話すと、
「うんうん、そうか」と言うから
パパは何か話ある?って聞くと、決まってママの話をしてたっけ
パパが天国に行ってしまって2年、このボロボロの家はパパのこと思い出す僕のお気に入りの隠れ家
……
真っ暗な部屋に外の光が所々に差し込んでいる
「どのくらい寝ちゃったんだろう?そろそろカンケリに戻らなきゃ。」
少年は剥がれかけの壁の隙間から外を覗いてみた
生え過ぎた雑草だらけの庭だ
あれ?何かが違う?何だろう?
見慣れた庭がいつもより明るい気がする
どんどん明るくなってきて光がやってくる
光が少年に近づいてくる
少年は光に包まれた
………
僕はブラキオサウルス。この地球では一番大きな恐竜だよ
…と言っても僕はまだ子供だから小さいけどね
僕らは沢山の木に生えている草をムシャムシャ食べるんだ
今日はとくにお腹が空いてたから、みんなには群れから離れちゃダメって言われてるけど前から気になっていたあの高い丘にある大きな木の葉っぱを食べちゃう計画
みんなお昼寝している隙に僕はこっそり高い丘にやってきた
ここの木は今まで誰も食べに来たことない場所だからいっぱい草が生えていて、僕は興奮して草を頬張った。
ガサガサガサ…
食べること夢中になり過ぎて近づいてきているの気づかなかった
そこには怖い怖いアロサウルスがいたんだ
駆けっこは得意な僕も目の前のアロサウルスをみて足がガクガク震えて動けなくなった
「おまえ独りか。旨そうだな!グオオォォ!」
僕食べられちゃう!
ガサガサ!ドシドシ!すごい音がした
大きくて長い首がアロサウルスに突進した。跳ね飛ばされたアロサウルスは一目散で丘から逃げていった
助かった!
そこには大きな大人ブラキオサウルスがいた。顔が太陽の光でよく見えない
僕は目を細めて顔をみたよ
あれ?あのメガネ?パパ?
………
少年は目を覚ました
また寝ちゃったのかな?
何か不思議な夢をみていた気がする
剥がれかけた壁の隙間から外の様子覗いてみた
雑草だらけの庭が見える
あの明るい光はもうない
あの夢はなに?
パパがよく読んで沢山教えてくれた恐竜図鑑のこと思い出した
少年は思った
「今日からパパの代わりに僕がママを守る」
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