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皆さんどんな基準で天然石を選びますか?

例えばダイヤモンド、ルビー、サファイアなど、一般的にイメージされるいわゆる「宝石」達はファセットカットを施すことによって輝きが増し、マーケットでは高く取引されるようになります。

色が鮮やかでインクルージョンが少なく綺麗にカットされた宝石は誰もが思うメジャーな「美しさ」が確かにあります。宝飾店やインターネット上でも数多く見つかると思います。なので買う時に迷われた経験はありませんか?

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一つの理由として、そこには石の「個性」が少し足りないからではないかなと個人的に思っています。なぜならメジャーな宝石は、専門知識があって価値の意味をしっかり理解してなければ、素人には皆同じように見えてしまうのです。人気ゆえに処理されたものや模造石もありますので気をつけなければいけないし、結果的に、重さや大きさ、鑑別書を見ながら、売る側の情報に頼って最終的には値段を比べて買うのが一般なセオリーではないでしょうか。

と言うのも、私も初めて妻に指輪をプレゼントした時に何を買ったら良いか分からず、悩んだあげくダイヤがついたノーブランドの指輪を買いました。あの時は宝石に対する知識や経験はまだ浅かったので仕方がありませんでした(笑)  迷った時によく聞く名前の宝石を買うことは初心者にとっては普通だと思います。

そんな私もジュエリーデザイナーである妻に出会ってから、毎回の買い付けに同行し、宝石が取引されている青空市場から高層ビルの一室、険しい山道を半日以上走り続けて辿り着く鉱山など、東南アジアのいろんな所を覗いてきた来た今、宝石からいろいろ感じ取れるようになり面白いアイディアも思いつくようになりました。

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ガーデンクォーツは同じ顔がないので分かりやすい例になると思いますが、「この子は春らしいね」とか「この子はモノクロでカッコいいね」のように表現することができます。判断が難しい翡翠でも、柄の部分を選んでカットしたり、さらにファセットをかけることによって見る側のインスピレーションを引き出すことができます。

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そんな経緯で私も徐々に、人が決めた宝石の良し悪しではなく、色、模様、形など、心にビビっとくるものを選べばよいのだと思うようになりました。石の個性が強くなれば、好みがはっきり分かれることはごく当然のことですし、それが自分の判断軸になります。それは意外と石選び以外の場面でも大切になっています。

以前にオンライン掲載する商品を撮影していた時、トラピッチェエメラルドが魚に見えて、気泡になるような石を探して写真を撮ろうと思いつき、夢中になっていたらいつのまにか数時間過ぎてしまい、最後はパラパラ漫画みたいな動画を作りました。妻が言うには、こうやって本気で遊ぶことがまさクリエイティブな仕事なんだそうです。

今の時代って、集中して自分の好きなことに没頭できる時間をどれだけ作れるのでしょうかね~

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動画はインスタグラムに載せています →Instagram

さて、エメラルドの主要な産地はコロンビア。そして「トラピッチェ」 はスペイン語で砂糖きびの絞り機の『歯車』の意味なのですが・・・・
あれ!?コロンビアの石なのに、どうしてスペイン語の名前が付けられてるのかな?

実は、スリランカがイギリスに支配されていたと同じように、コロンビアはスペインによって支配されていました。宝石の産地を見ると植民地支配されていた場所が多く、採掘された宝石たちは全てヨーロッパへ運ばれました。だからこそ今の宝石やジュエリーの歴史がある訳ですがちょっと皮肉ですよね。そして、これから掲載するトラピッチェルビーが採れるミャンマーもやはりイギリス統治の時代がありました。

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ルビーと翡翠の有名な産地であるミャンマーはまだ数か所しか行ったことないのですが、東南アジアの中でタイに続いて好きなところです。食べ物の種類はタイのように豊富ではないかもしれませんが、中華っぽいものも結構あってどこか故郷で食べたことのある素朴な料理を味わえることができます。特にモゴックへ行った時、早朝の "コケコッコー" を聞きながら山村の所々漂う白い煙と道端で売っている肉まんやチマキの風景を見て本当に懐かしく思いました。

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上のこの写真は朝起きた時宿の前から見た
モゴックの風景

このように宝石の「個性」に多く触れるとモノの見方がかなり変わっていきます。

お客様に「SELSHAさんは石への愛情を感じます」とか「石を大事にしていますね」とよく言われます。もちろんとても嬉しいお言葉です。妻はどう思うか分かりませんが、私はその石の個性と、意識しないと見えない背後にある壮大な物語にいつも心がときめいてます (笑)

久しぶりにブログを書くので少し長くなりましたが、総じて思うことは個性的な天然石を観察することから得られる知識と感覚を結びつけ、なんとなく意識を漂わせてそれらを整理、結合することが自分自身のアイデンティティに反映されていくような気がしています。つまり、天然石と多く接することで自分の美意識を高められることができると実感し始めています。

私は理系出身で今まで効率を重視ししてきましたが、そうではない能力こそこれからの時代に必要なだと思うので、これからも石を通して自分の変化をを実践、検証していきたいと思います。

これからも  SELSHA  を温かく見守って頂けたら嬉しいです(^-^)


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