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プリンセス・クルセイド

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王子の結婚相手を決めるため、少女たちは剣を取る。剣と魔術で闘うファンタジーです。
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2018年5月の記事一覧

プリンセス・クルセイド ストーリー&登場人物紹介

プリンセス・クルセイド ストーリー&登場人物紹介

 ごきげんよう、皆さん。私の名前はインカローズ。えっ? インカローズって誰かって?……まあ、いいじゃない。そんな細かいことは。

 自慢じゃないけど、私はたくさん本を読んでいるから、人より知識の量が豊富なの。今興味があるのは——ああ、こんな話をしている場合じゃないわね。今日は皆さんに、私の知識を活かしてファンタジー小説『プリンセス・クルセイド』の解説をするわ。では、早速始めましょう。まずはストーリ

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プリンセス・クルセイド 番外編 【行く者、来る者】

プリンセス・クルセイド 番外編 【行く者、来る者】

 ウィガーリーの王都エアリッタとその隣の町であるサンドベウスを結ぶ一本道の脇に、一軒の酒場がある。見渡す限り荒野が広がる土地にぽつんと佇むその店は、名を「道の駅」といった。

 その「道の駅」の店主は、大柄で筋骨隆々な体格をした、スキンヘッドの中年男性だ。その威圧的な外見から、一見すると荒っぽい印象を受ける彼だが、実際には教養が高く、懐の深い人格者である(少なくとも彼自身はそう考えている)。店の名

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プリンセス・クルセイド #8 【決着の刻】 9

プリンセス・クルセイド #8 【決着の刻】 9

 目を覚ましたアンバーは、自分が屋敷のリビングにいることに気がついた。寝かされていた長いソファーから身を起こすと、椅子に座ってこちらを見ていた赤毛の女性と目が合った。

「メノウさん……?」

「ああ、アンバー。無事で良かった」

 メノウはそう言うと、アンバーに向かって穏やかに微笑んだ。

「イキシア王女が君を運んでくれたんだ。本当に頼りになる人だよ」

「そう言ってもらえて光栄ですわ」

 メ

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プリンセス・クルセイド #8 【決着の刻】 8

プリンセス・クルセイド #8 【決着の刻】 8

 荒野を斬り裂くように飛んできた斬撃波を躱し、アンバーは後ろ向きに岩場の上に飛び上がった。その直後、第二の斬撃波が彼女の頭上を掠める。

「ははっ! ここなら地の利があると思ったかい?」

 残忍な笑みを湛えたジェダイトが斬撃波を連発しながら間合いを詰めてくる中、アンバーは後ずさって攻撃を避けつつ、必死に突破口を探した。

(なんとかしないと……このままじゃ近づけない……)

「あらよっと!」

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