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窓際のおっさん61 おっさん(著者)が仕事ができない無能である理由(前編)

 仕事ができるとかできないとか言って大騒ぎする人が時々いて煩わしく思う。騒いでいる人の言う事もある程度はその通りだなとは思うが、かと言って仕事ができるようになりたいかは別で、その苦情やお節介がかえって仕事の邪魔である。

 この歳(40過ぎ)だと言わずもがな、若いころであっても何と言われようと、伸ばすなり改善する意欲が湧いてこない事象があるのも事実である。故に益々おっさんのような無能なおっさんは仕事ができない窓際になっていくように思う。
 高い給料をもらってずるいなどと思う人がいても当然かもしれない。

 他方、騒いでいる人を見ると、どうやら出世したり仕事ができる人と見られたい気持ちが透けて見える。更に言うと、上役に怒られたくない、クレーマーに指摘されたくないという恐怖心がかなり高いようにも思う。
 意欲や危機管理と置き換えれば、会社で出世する人に望ましい性質なのかもしれないが、つまらない仕事にそうも必死になれる才能は賛否両論であるし、まして価値観を押し付けられては迷惑ですらある。

 数十年前、大企業病という大きなくくりから始まり、近年は、社員エンゲージメント、管理職離れ(管理職の罰ゲーム化)、果てはブルシットジョブ問題といったことがささやかれており、今のご時世に、会社の中で出世してリーダーになって、

「うん、君は優秀だね、仕事ができる素晴らしい人材だ」

 などと認められたいと考えている人は、随分と殊勝だなと、個人的には思う所でもある。そう認められるための努力はおっさん的には割に合わず、趣味やその他自己実現の充実に比べれば、幸福度を下げるばかりの要素である。

 今回は「おっさん(著者)が仕事ができない無能である理由」と題して、おっさんが会社組織において如何に無能で箸にも棒にもかからない人材であるかを述べたい。また、なればこそ反面教師とするなり、真似して窓際に座るなり、いい所取りして幸福を追求するなり、大いに参考にしてもらえたらなとも思う。

<おっさんには会社員の態度として求められるものが足りない>

 仕事ができる人と言うのは、見た目もきちんとしているものだ。パリパリのYシャツに、チリやほこり一つついていない綺麗なスーツを着て、髪も整っている。
 風呂に毎日入って歯も毎食磨き、髭もきちんと沿って化粧水までつけている。
 デスク周りは整理整頓できていて、言葉もハキハキしている。
 出勤も30分から1時間前とやる気も遅刻へのリスク管理も万全だ。

 一方のおっさんはと言うと、仕事が工場エンジニアだからと言い訳して、1日中使い古した作業服でいる。油汚れや薬品の染みも多少あるが、落ちないのでそのまんま運用。髪の毛はヘルメットをかぶるとすぐ崩れるからよもや気にしない。というのは言い訳で、単にだらしないので手櫛で終わらせてモサモサのまま。
 歯は念入りにフロスまで使って毎日であるが、別に見た目や講習のためではなく徹底した虫歯予防にしか興味がない。故にお上品に歯磨きを繰り返すのではなく、合理的に人目もはばからず、食べカスを除去することだってある。
 そして風呂は毎日ではない。大事な日の前や一定間隔での入浴は当然あるが、毎日は大変なので避ける。
 髭そりも毎日ではない(濃いけど)。あえて伸ばした時期もある(不評だったけど)。
 デスクは最低限他者に、書類や個人の用具の場所は分かる程度で、整理整頓された見た目はない。
 言葉もゆったりしていて声は小さく時に不明瞭だろう。覇気もない。

 が、分かっているけど、少しも仕事ができる人の態度や容姿に近づけたいとは思わない。


 いい服を着て毎日風呂に入って髭をそる。かっこいいけど若い時分に女の子に振り向いてもらいたくてやったぐらいである。今は毎日は無理だ。
 整理整頓も良いが、傍から見て整っていると賞賛を受けるような整理整頓は、かえって自分の効率や仕事のしやすさを悪くすることも分かった。
 流石に組織として整理ルールを頭から無視するつもりはないが、かと言って、丁寧だから、厳密にはこうだからと、おせっかいにもより質の高い整理整頓を指摘してくる上司や先輩の言葉を受けても直すつもりにはあまりならない。
 若いころは一先ず従ったこともあるが、時間が勿体ない(結局誰かが乱す)上に、仕事効率も下がる(そんなルールだから乱される)。歳を食って言われなくなったので、それ以上はやらないというわけだ。

 態度については「言われている間が華だから、直した方が良いよ」と、言われたこともあるが、そういう臭いセリフをいう奴の説教は大抵マウンティングで、本当に仕事のためを思っていない。でも成績は平気で下げてくる。逆に本当にいいなと思う人はそんなことを言わずとも、皆が自然とまねたくなるように思うが、その人がいなくなると途端に改悪される。本当に仕事ができるようになるための道はそれほどに険しい様に思う。

 いくら直しても粗さがしを続ける問題社員にうんざりするなどの経験が重なると、病休を経験することにもなるし、更にブラック部署を経験すれば、会社で求められる態度だけ良くしても、疲れるだけで徒労に終わることを理解するに至り、諦めもつく。
 会社や周囲が「優秀」と感じるような基準について、完全に分かっているとは言わないが、かといって近づけようという意思が湧かない、或いは、何年やってもそれほど改まりやしないのもまたおっさんの事実である。

次回に続く。

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