バーチャル界隈でリスナーという言葉が衰退する未来

まとめ

 VTuberやVライバー(略してV)の界隈において、関係者はおおまかに「V」と「リスナー」に分かれる。しかし、Vになる"だけ"のハードルは、スマホ1つまで下がった。そんな界隈で、誰もが配信することでリスナーという言葉が衰退する未来を考える。

本文

Vとリスナーには高くて分厚い壁があった

 「V」と「リスナー」は、舞台に立っている芸能人と客席にいるファンである。同じ空間に居ても、そこには明確な境界線があった。リスナーもするVもかなり多いが、ライバーとして活動する時は何かしら線引きしている方が多いと思う。それだけでなく、機材やバーチャル肉体には多額の費用がかかり、それを使いこなすのには多岐の知識が必要だった。しかし、豊富なフリー立ち絵やREALITYやミラティブ、IRIAMといった配信アプリ登場で、その壁は低く薄くなりつつある。REALITYなどにおいて今、Vになる"だけ"なら、スマホ1つでなれる。ゲームでプレイヤーの外見をクリエイトするみたいに、バーチャル肉体をセルフで作成できる。そのスタイルと価値観が一致するならば、Twitterのアカウントを作るのと大差ない手間でVを始められる。REALITYでリスナーをしていると、ライバー兼リスナーをしている方がかなり多く、「リスナーの声も聞いてみたいし、みんな配信したらいいのに」の様なお言葉をいただくこともある。Youtubeなどで活動されてる方々は今でも大変な苦労の上でVになるのだと思う。しかし局所的には、もはやライバーとリスナーの壁はないのかもしれない。


Vになるハードルがもっと下がる未来

 今は、いくら簡単であっても配信アプリ内で専用のバーチャル肉体を作成する必要がある。しかし将来、一度作成したバーチャル肉体を様々な場所で共有できる様になると考えられる。SNSアカウントで色んなアプリにログインできる様に、バーチャル肉体で有名なFPSをプレイしたり、配信したり、その他のコンテンツにその肉体のままで参加できる様になる。様々なサービスを利用するために、とりあえず1つバーチャル肉体を作っておくのが普通の未来も遠くないかもしれない。

 そして意識も変化する。例えば2010年ごろのネットでは、自分の姿や声を投稿するのは今よりもずっと心配される行為だった。しかし現在は若者を中心に、姿や声をかなり気軽に投稿する。この様な意識の変化がV界隈にも訪れる。現在の若者が気軽に自撮りやダンスを投稿したり、友達と通話する感覚で、誰もがバーチャル配信をする様になる。リアルと違い美醜のコントロールがしやすい分、普及の余地は前述の例よりもっと大きい。


誰もがバーチャル配信をする未来の文化

 誰もがバーチャル配信をする未来では、V界隈においてリスナーという言葉はかなり衰退する。誰もが配信と視聴をするため、わざわざ切り分けて考える文化はかなり減る様になる。今の「V」と「リスナー」という分け方の視点の話は、「インフルエンサー」と「一般人」の様な分け方に変化する。裏で繋がろうとするのがNGといった現在の「V」「リスナー」間のルールは、恐らく「インフルエンサー」と「一般人」の間のマナーになる。「一般人」側では「V」も「リスナー」も関係なく、DMや個人通話、オフ会や交際をするのが、今のSNSの様に多くなる。そして、今は企業がSNSアカウントを持つのが一般的になりつつあるが、同じような事がV界隈にも起きる。企業からVがデビューするのではなく、企業自体が情報発信するためにV肉体を持つようになる。V肉体の有無で差別化するのは難しい時代になる。Vの肉体を持った上で何を思い、どんな行動するのかが自分の立ち位置を決定する必須要素となる。もはや、世界と姿が変わっただけでリアルと同一である。外見や声の自由度が更に高まれば、リアルよりも内面だけで勝負する世界になる。


最後に

 Vになるハードルが下がるというのは、ここ1~2年の間ずっと肌で感じていました。しかし、それが将来どのようなモノをもたらすのか、漠然としていてハッキリしませんでした。今回はそこを詳細に考えることで、このような記事になりました。意見や反論もお待ちしております。

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