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建築の情報化

「あらゆる産業はソフトウェア化する」とマーク・アンドリーセンが主張した通り、ITが様々な分野を侵食している。そのなかで、重厚長大な建築産業にも情報化の大波が来ているらしい。

BIMの普及

BIM(Building Information Modeling)という、コンピュータ上で構築した3次元モデルをベースにしたワークフローが爆発的に普及し始めているという。

BIMでは、あらゆる建材・設備をモデリングし、コンピュータ上で組み立てていく。モデルにはコストや環境性能などのメタデータが付加されており自動的にコスト計算を走らせられる。平面図は3次元モデルを輪切りにすればすぐに取得できるし、図面に変更を行いたい時は、3次元モデルを編集するだけで自動的に追随するので生産性が非常に高い。プレゼン用のCGも、3次元モデルをレンダリングするだけで作成可能だ。デジタルファブリケーションが普及しているのでモデルデータから模型を作ってスケール感を確認することもできる。

伝統的な建築教育では、平面図を書く練習をして、それを手で模型におこし、パースを手書きして...といった地道な作業を基本としており、それが当たり前だと認識されている。そういうアナログな工程をへて空間認識力や感性を磨いていくのじゃ!という声が聞こえて来そうな気がする。

僕も実は大学では設計系だったのでそういうトレーニングを受けたのだが、いま思うとかなり古臭い...というか情報化の進む現在の実情に合っていないのでは?という見立てだ。BIMのような効率化技術で検討サイクルを増やしていったり、デジタルならではの表現を追求(ex: ザハの新国立競技場案)したりと、出来ることがかなりあると思う。

[参考]【BIM】デジタルデザインと向き合う 明大教授・小林正美×建築家、東大教授・隈研吾×日建設計執行役員・山梨知彦
http://kensetsunewspickup.blogspot.jp/2015/05/bim.html

建築系スタートアップはありえるか?

このBIMの話を聞いて、ITインフラのクラウド移行というテック業界トレンドと既視感を感じた。サーバーやネットワークといったハードウェアが抽象化され、統一されたAPIで管理できることで、テック業界の生産性は飛躍的に上がった。

建材をモデリングという形で抽象化してBIMツールというインターフェースですでに便利に扱えるいま、建築業界と既存のweb技術との親和性はすごく高くなっていると感じる。

たとえば、建材のBIMデータを販売し、実際に現場への発送やメンテナンスを請け負うようなサービスが出て来てもおかしくない(すでにある気もする...)。

githubにBIMツールに対応した法規制チェックスクリプトとか、環境性能評価スクリプトとか、トラスの自動生成スクリプトとか便利ツールがUPされ始めてgitが建築業界でも標準ツールに..... という話も全然ありえる気がする。

とはいえ、不思議とテック業界と建築系スタートアップの話は殆ど聞いたことがない。面白くなっていく領域と思うのだがいかがだろうか。


建築と情報について気になる方は、10+1の建築情報学特集が大変に示唆深く面白かったのでぜひ見てみてほしい。
10+1 web site|201712|建築情報学へ|テンプラスワン・ウェブサイト
http://10plus1.jp/monthly/2017/12/


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