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『LINEマンガ』から学ぶ38のグロース施策

こんにちは!メルカリでPMをしているKonosuke Nakajimaです。
自社や他社のPMと話していると、優秀だなと思う人の特徴の1つは引き出しの多さだと感じます。


自社のプロダクトに全力投球するのはもちろんのこと、他社のプロダクトを徹底的に分析して、その企業のPMになりきって考えることで、自社のプロダクトだけだと増やしきれない引き出しの数を増やしていける。

そう思って、毎日大量のアプリのスクショや店舗の写真を撮って学んでいるのですが、今回はその中の1つを、noteにまとめてみました。
せっかくなので、こういう学びはどんどんアウトプットしていこうと思い、


(プロダクトの)  "グロースをハックするノート" 


と名付けて、毎週投稿していこうと思います。(名前ださいかも)

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いつもこんな感じでUI/UXの遷移を見ています


最初は、AppStoreランキングでも常に上位、App Annie2020のブック&レファレンス1位の『LINEマンガ』を見ていきたいと思います。(上位にいるアプリには上位にいる理由があると思っています)


LINEマンガは、メディアドゥ、出版社、作者、ユーザー、広告主、そして本体のLINEなどなど多くのステークホルダーがいるので、いろんなしがらみはありそうですが、

PM視点としてこういうUXはグロースに効いてるな、ここはより良くできそうかも、といったポイント38個を書いてみました。(しがらみ多すぎて仕方ないところ触れてたらすみません><)


はじめに:LINEマンガとは

とその前に、まず簡単なアプリの紹介を。

『LINEマンガ』はLINEと連携したマンガサービスで、2013年4月に単行本の電子版を販売するアプリとしてスタート。

今ではいろんな出版社のマンガ、オリジナル、インディーズマンガなどが無料で読めちゃいます。


ダウンロード数は2020年現在2,300万。2016/7の1,300万からすでに1,000万増えてますね。


売上は直近4半期の決済高が64億なのでざっと単月21億円ぐらい。(決済高とあるので広告の売上側はLINEadsの方に計上してそう) (IRより)

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MAUは2019/4で380万とあるので、現在は400万はゆうに超えていそうですね。


KPIを分解して考えてみる


LINEマンガの売上は大きく”課金による手数料”と”広告”の2つですね。


課金売上のKPI分解

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(梅本さんnoteから拝借)


広告売上側はARPUのみ以下のように分解

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課金売上のみ単月でざっくり計算すると、
ARPU = 21億円 / 400万人 = 525円(むむ、もっとありそう..)
単価は最も低い課金額の120円とすると、525円 / 120円 = 4.38回ぐらい毎月課金されている。(本当はもっと上の層が引き上げてそうですが)

(もう少し深堀りたかったですが)ざっくりKPIを頭にいれて、アプリのUI/UXが上記のどのKPIを上げようとしているのか見ています。


インストールからオンボーディングまで

インストール直後で「このアプリはどんなアプリなんだろう」「どういう使い方が出来るんだろう」と何も分からない状態でやってくるユーザーに対してのオンボーディング画面。いかにユーザーをアクティベートさせるか。

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1. コーチマークで重要な機能を最小限で伝えている(無料で読めることを強く訴求。おすすめや単行本タブなど後に直感的に分かる部分は無理に伝えない
2. 1/4, 2/4など、あと何枚このガイドが続くのかさり気なく伝えている点も配慮に溢れている
3. 強いて言うならボタンのタップ可能エリアを画面全体にする or スキップできても良いかも(すぐにコンテンツ見たい派 or 再インストールした人向け)
4. また「あなたの好きなジャンルを教えて下さい」と先に選んでもらって、アプリを開いた直後には好みのマンガでカスタマイズされているのも良さそう
→一番最初に閲覧した漫画の面白さがその後のリテンションに大きく影響しそう。

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※(補足)LINEで取得した推定情報をコンテンツ表示の最適化に利用しているとのこと


オンボーディング後から作品閲覧まで

まだインストール直後という前提で。

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5. アプリインストール直後に開かれるのは"おすすめ"タブではなく左から2つ目の”毎日無料”タブ。これは、”おすすめ”タブは閲覧 / 購買履歴をもとにレコメンドするタブとして、ゆくゆくは魅力を増すが、インストール直後はまだおすすめしようがないので、まず毎日無料タブから始まっている(と思われる)
6. "毎日無料"タブは無限スクロール
で作品に出会わせ続ける(絶対に途切れさせない作品量あるの凄い)
7. 漫画バナーで画面のほぼ半分を使用。話数表示数を少なくする。まずは1話目見始めてもらうことに重きを置く(漫画はテキストや話数を多く表示するよりまずは絵の力の方が大きい)
8. お気に入り登録ボタンもファーストビューに置くことでCTR上がり、その後のプッシュ&LINEでCRMできるのでリテンション上がりそう
→一番して欲しいことは1話目を見ること、その次にお気に入り登録ボタンを押してもらうこと。


初の作品閲覧から閲覧後まで

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9. ここでもコーチマーク。基本的に多くのコーチマークはうざがられる&すぐ忘れるが、機能利用直前の訴求は分かりやすい&定着しやすい
10. (売上増の観点で)コンテンツ閲覧後にさりげなく広告が表示される(他の漫画アプリに比べてさり気なさが良い。他は「無料で見させてるんだからコレぐらい見ろ!って感じの強制広告多いw)
11. お気に入りボタン押下後に"本棚"タブに追加されるアニメーションがとても直感的で分かりやすい(その後すぐ本棚タブを押すとLINE友達を促す訴求も!)
12. コンテンツ閲覧後の導線がいくつかあるがほとんどは「☓ボタン」を押す→「第二話」を閲覧。と移っていそうなので第二話導線がこの画面内にあっても良さそう


閲覧していた作品の終了→次の訴求まで

ずっと閲覧していた作品(ここでは"ファブル")の閲覧可能なシリーズが終了したとき。(時系列を早送りしました)

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13. 無料で読める話数は限られており、その作品全て見終わった後はすぐに別の作品をモーダルで訴求してユーザーを行き止まりにさせない(1回しか出さないのでtoo muchではない)
14. もしくは続きの話がある単行本へ誘導し、購買訴求。抜かりない回遊設計
15. もはや「閲覧ありがとうございました」の下に別作品訴求入れても良さそう
16. 見るものがなくなると離脱するので残り3話ぐらいから他の作品をレコメンドし始めても良さそう


最もグロースに効いた"毎日無料"タブ

このタブに最もLINEマンガをグロースさせる施策が詰まっている気がする(気がするだけですw)

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17. 2014年7月に、「無料連載」をスタート。出版社の作品を「話」で分割して、週1更新で最新話を無料で読めるようにした(通勤時間のあと1駅、とかでも開いてもらえるアプリに。)(ここがマンガアプリのイノベーションですよね)
18. 2018年6月には無料連載を1週間待たずして23時間で読めるように変更。これでさらにユーザーが爆増。(他アプリが24時間だが、23時間なのもポイント。毎日のルーティーンの中で見ることが多いマンガアプリにおいてユーザーの1時間のブレを考えて設計されている)
19. 作品すべて閲覧可能にせず途中からは単行本へ誘導(無料で読ませるだけでなく購入を生み出し作者へ還元)(このバランス難しそう〜)
20. これまで連載途中の作品を1話から見ようとすると課金必要だった→すべての人がすべての作品を1話から無料で見れるように
21. ただ上タブは多すぎるかもしれない。ジャンルを単行本タブ同様カルーセル or 中国アプリ風の一覧にしても良さそう

あ


新たな発見を生み出す”おすすめ”タブ

すでにいくつか漫画を閲覧した前提で記載

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22. おすすめのトップの構成は毎日変わり、訪問するたびにユーザーに発見の楽しさを伝える(リテンション向上)
23. 毎日無料のキャンペーンを実施し、何か無料で読めるものはあるかもというイメージをつけられる(そしてたまにどでかいIPのキャンペーン
24. 自分が閲覧した作品と類似した漫画をおすすめしてくれているので納得感ある&実際に好きな作品であることが多い(本当に精度高い..)
25. 発見のタブにおいて、カルーセルデザインは分かりやすい。(数もすべて9個で統一。)AppleStoreやAppleTVなどでもコンテンツ発見軸はカルーセルデザインが主流となりつつある
→LINEマンガで “新しい作品” を読んでいるユーザーは1秒に7.8人とのこと(参照)


行き止まりにさせない"レコメンドとその精度"について

なにかのページの先には、何もなくて”戻る”しかないアプリって結構たくさんあるんですよね..

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26. あらゆる作品ページの後にその作品の類似作品、同じシリーズの作品、ユーザーの閲覧履歴、人気作品などを表示。ユーザーを絶対に行き止まらせない。精度めちゃ高い。(ただたまに、「200話ぐらいある作品」の下に別作品レコメンドあっても到達できないので10話目ぐらいとか途中で差し込んでも良さそう)
27. どれだけ画面遷移して階層深くなっても下タブ固定なのですぐに戻れる(一つずつ前に進んで、一つずつしか戻れないアプリは辛い..)
28. 作品のイメージに応じてUIのカラーも異なりユーザーが飽きない工夫を凝らす。(こういう施策本当にすごい!)


ユーザーがユーザーを呼ぶリファラル設計

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29. 電子書籍購入をしたユーザーにその作品のLINEスタンプを特典につける。購入ユーザーがLINE友だちにスタンプを使って、友だちに認知を生む。LINE経由でタッチポイントが増えて波及していく
30. シェアするともう1話読めることによりバイラルを生む(たまに友達から送りつけられてきて、こいつおれで稼ぎやがったなwとなるけどw)
31. 感動シーンのみ切り取ってシェアも可能



知らない作品への購入を増加させる"単行本"タブ

このタイミングで何度、無料の作品を探したことか....作品ごとに無料の巻数が異なるのは、作品ごとにキャンペーン担当者が異なるから、とのこと。すごすぎ。

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32. ファーストビューに超インパクトのあるバナー配置とその代わりにカルーセルと分かりやすいデザイン(ほぼこれで画面埋め尽くしてる!けど左右に何かあるぞ...!と伝わりやすい)
33. 電子書籍なのに「立ち読み」というイノベーションとその後の課金導線設計書店では知ってるやつしか買わないけどこれによって知らない本も買うようになる
34. いろんなタブやUIがあるが、UIサイズで「単行本のカルーセルだ」と直感的に分かる(デザインを統一させすぎないことが直感的な分かりやすさを生む)


その他

Apple Store

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35. マンガアプリはどこもだいたい無料になってきているので、App Storeでは利用者数や作品数を押し出している
36. ただ訴求にキャラクター用いているので、流行り廃りに伴い定期的な差し替えは必要そう


LINEのミニプログラムと3D Touch

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37. LINEマンガアプリをダウンロードせずに、LINE内で見れるように。アプリDLのハードルが高い人向けにタッチポイントを広げている。
38. 3D Touchでの機能が豊富。。。ここから目的のコンテンツにすぐに飛べる。(こんなに作り込まれてる3D Touch見るの初かも?)


まとめ

電子書籍を1話ずつ配信する無料連載や、オンラインでの立ち読みというイノベーションはもちろんグロースとして大きく効いていそうですが、


新しいコンテンツに出会わせつつ、絶対にユーザーを行き止まらせない回遊の設計。そしてそのレコメンドの精度。(気づいたらもともと読む予定だった作品"以外"もいつの間にか読んでません??)


そして直感的に作品について・読み方について分かるUIの設計、クリエイティブの熱量があるからこそ、マンガアプリの王者たるゆえんなんだなと思いました。

また足元での出版社とのネゴシエーション(作品数拡大)や、レコメンド精度向上への地道な改善、作品ごとのキャンペーン実施など....(あれ、結局まとまらない..)


グロースにおける重要なものが色々と詰まっているアプリです。(まとめ終わり)


自分用のメモっぽくなってしまいましたが、もし良ければ、♡ぽち!を🙏
お願いしますっ!

来週も次のアプリ書きます!!


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