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コロナで在宅旦那に。保育園の持ち物担当になった貴史さん。

今は完全にリモートで仕事。家事・育児が必然的に増えた

貴史さん(仮名) 40歳
大手企業の管理職。5月に別部署へ異動するもコロナ禍で歓迎会などは全くなし。4月から在宅勤務(リモート)になり、8月現在も依然として在宅での仕事が続いている。保育園に通うふたりの男の子の父親。仕事・家事・育児・奥さんとの関係に変化はあったのか、聞いてみた。

リモートになっても大変ではない

「企画部に所属しています。部門として、組織が最も効果を出せるような形で仕組みを整えて行動できるような組織設計、制度設計を考え実行するという役割を担っています。」
コロナ前は1時間半くらいかけて、毎日通勤していた。帰りは、ほとんど21時過ぎ。その時間は保育園に通う男の子ふたりが寝た後か寝る直前。家に帰って、子どもたちがまだ起きていると、父親が帰ってきたことで興奮してしまい、なかなか寝付かず奥さんを怒らせてしまうこともあった。

リモートワークを始めてから現在まで、想定していたより大変なことはあまりないという。
会議は、ほぼすべてオンライン。自社のオンラインツールやマイクロソフトのTeams(チームズ)を使っている。
「あえて言うなら、ホワイトボードに手書きで書けない点。私は基本、みんながしゃべっていることを書いて、これとこれが重要ですよねって最後にまとめていたんですけど、それができない。コミュニケーションの取り違いや論点漏れが結構起きやすくなってる。」

リフレッシュや健康面はどうなのだろうか。
「気分転換も、オフィスにいるときは場所を変えて気持ちを切り替えていたが、家の中にずっといると、それができない。机と椅子があるところが限られているので。あまり動かないせいで、体重が4キロ増えました。」

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自粛中、妻ブチ切れる

コロナの前は、「毎日のごみ出し、洗濯したものを干す」が主な家事の担当だった。が、5月に洗濯もので奥さんがブチ切れた。
「この前、(保育園の)お着換え、2セット洗濯したの?保育園の先生から、着替えのストックが足りないって言われた!」
よかれと思い、帰ってきた子どものバッグから洗濯物を取り出して洗ったが、いつもより多めに着替えを洗濯していることに気づかなかった。翌日の持ち物にストック用の着替えを入れなかったため、保育園の着替えストックが無くなってしまったのだ。

奥さんは、責任感が強いタイプ。保育園の先生に持ち物のことで迷惑をかけまいと、いつも完璧に保育園の持ち物をそろえ、準備していた。学年によって違う水遊び用の持ち物、毎週月曜日に持っていくシーツや大判タオル、クッキングやお絵描きで使うエプロンや服を日にちに合わせてそろえ、運動会、ハロウィンで使う服の購入などもすべてやっていた。園からの手紙やアプリからの連絡を毎日きちんとチェックしながら準備していた。

奥さん「保育園の持ち物、把握してないでしょ?あなたは洗濯干すだけ。こっちは、取り込む、仕分ける、保育園バッグに準備して持ち物を入れる、保育園から帰ってきたら、汚れているもの濡れているものはすぐに洗濯するとか、いろいろあるのよ!」

奥さんの日ごろから積もりに積もった不満が爆発。このことがきっかけで、保育園の持ち物を担当することになった。

「リモートなので、通勤時間がない分、朝の時間にゆとりが持てるようになりました。保育園の持ち物の準備担当も、洗濯と続き物だと思うので、効率性があるつながりだと考えられるようになりました。妻には、『弟がお兄ちゃんの下着を着て帰ってきた!』とか、『○○準備した?昨日、保育園のアプリに書いてあったけど。』とかいろいろ言われますけど。」

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子どもにとって、リモートはプラス

さらに、貴史さんは育児でも、分担が増えた。子どものお風呂から出た後の着替え、髪を乾かすこと、寝る前の歯磨き、おむつ替え、絵本の読み聞かせもしている。
「接する機会が増えれば、必然と変わらざるを得ない。子どもにとってもいいんでしょうね。妻からは、お風呂の時間が30分短縮できたと言われました。」

5歳の兄は、わんぱくで、まさに男の子。調子に乗りすぎて落ち着かないところもあるが、根はすごくやさしい。1歳の弟は、オムツを自分で持ってきたりドアをいつも閉めてくれたり。しっかりしている。

「ときどきお兄ちゃんは、『お父さん仕事してるから、僕はここで図鑑読んで我慢するんだー。』とか健気(けなげ)なところを見せてくれる。弟は、『ア~ト!(ありがとう)』や、くしゃみしたり、何か落とすと『ダイジョウブ?』と言ってくれるところとか成長が見えるし、かわいいなと。」

将来は、子どもたちの秀でた点を見つけて、伸ばすことを考えている。ただ、能力だけではなく、思いやりが大事だという。
「友だちとうまくやりとりして、相手のことを考えて最低限のマナーを持たせて、仲良くやっていくというか。最悪、能力が足りてなくても、それさえできていれば。そっちのほうが、大切です。これからも、家族全員が健康であることがいちばん。そのためには、お互いに気配りが大切。子どもの将来のことを考えてお互いに何ができるのか妻とも一緒に考えていきたいです。」

貴史さんは、コロナがあったからこそ、仕事、育児、家事、奥さんとの関係を見直すことができた。悪い出来事を卑屈に捉えず、よい方向に持っていけたようだ。

「今はもうルーティーンワークが嫌いで、有るものを壊す仕事をしてる。既存の枠をブレイクスルーして、より今までにはない成果を上げられるような仕事が刺激的。」

仕事や家事・育児も、アップデートし、つねによりよいものになるよう考えていく。そして、「思いやり」をもって協力しながら進めていく姿勢は、どんな場面においても、世代を超えて、これからますます必要となっていく力となるに違いない。

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