文字解読例『星屑テレパス』
Deĉifritaĵo de Ifritaĉo/蜃気楼解読班
4コマ漫画専門雑誌『まんがタイムきらら』に連載のコミック『星屑テレパス』には「宇宙語」を記述する架空文字が出てきます。これを解読すると、一部にエスペラント語が使われていることが分かります。他に英語や独自の言語の箇所もあります。ここではエスペラント語の箇所の翻字例を示します。
宇宙航海日誌(雑誌掲載時)
『まんがタイムきらら』2019年8月号 p.45 1コマ目
「estas faritaj」は「やられた」の逐語訳かと思われます。それ以外には特に問題のない作文となっています。
宇宙航海日誌(単行本)
コミック『星屑テレパス』第1巻 第3話 第12連 1コマ目
宇宙航海日誌は、雑誌掲載時と単行本とで文章が違っています。おそらくは単行本化の際にブラッシュアップしたものと思われますが、綴り間違いが多く生じる結果となっています。
コミック第1巻 第3話 第10連 3コマ目
雑誌掲載時には、文字は「宇宙文字」でも言語は以下の通り英語を使っています。
コミック第1巻 第4話 第4連 1コマ目
「おはよう」の挨拶。綴りはエスペラント語ですが、読み方は独自の言語になっています。
コミック第1巻 第4話 第11連 4コマ目
「宇宙でもっとも良い光!」の意。
コミック第1巻 第5話 第16連 4コマ目
コミック第1巻 第5話の後 「もっとたのしい宇宙語」
kamaradoは「仲間・同志」の意。kamaradojはその複数形。
『まんがタイムきらら』2019年8月号
内気で周囲とうまくやっていけずに、どこか別の世界としての宇宙に自分の居場所を求める主人公の気持ちに共感して、感情移入する場面が多いですよ。彼女を無条件に受け入れてくれるトモラーヴたちとの交流が良いですね。アニメ化されるといいですね……。
宇宙語による講義「惑星間宇宙飛行」
2020年7月27日に単行本が発売されて、『星屑テレパス』の話題が盛り上がったちょうどその頃、8月1日~8日に仮想世界エスペラント大会というのが開催されました。これは本来、カナダのモントリオールで開催されるはずだった世界エスペラント大会がCOVID-19により中止(2022年に延期)となったために、代わりにインターネットを介して開催されたイベントです。
『星屑テレパス』では、主人公たちが宇宙ロケット作りを夢見ますが、仮想世界エスペラント大会のプログラム中に大学水準の講義「惑星間宇宙飛行」というのがあって、個人的にちょっと感慨深く思いました。
最後に、参考として宇宙語(笑)の講義資料の一部を載せておきます。
要旨……
重力圏からの離脱……
……雑誌掲載時の日誌にも出てくるkosmoŝipoという単語も出てきますね。
以上、ボナヴー!
参考文献
・大熊らすこ「星屑テレパス」『まんがタイムきらら』、芳文社、2019年8月号
・大熊らすこ『星屑テレパス』第1巻、 芳文社、2020年
・Spínola, Carlos (2020) "Veturado tra la interplaneda spaco" Internacia Kongresa Universitato, 73-a sesio, pp. 77-92 (無料PDFファイルダウンロード可 http://iku.trovu.com/)
2021.07.25追記
上述の講義の動画がYouTubeに上がっていたので、ここに紹介します。はっきりとした発音で聴き取りやすいです。
VK 2020: Internacia Kongresa Universitato: Veturado tra la interplaneda spaco
https://www.youtube.com/watch?v=cS0ASrvrn8Y
以上
2020.10.04 公開
2021.07.75 宇宙語による講義「惑星間宇宙飛行」 / 追加
2023.10.12 宇宙航海日誌(単行本) / 誤字訂正 momonton → momenton
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