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大人の夏休み|コンテンポラリーダンス・フェスOriente Occidente

子どもがドロミテキャンプに行っている間に、大人は仕事をしたり、ゆっくりそれぞれの時間を楽しんだり。ご飯もいつもより手抜き。
そう、夏の娘のキャンプ日程は、おじいちゃん・おばあちゃんが近くにいるわけではない我が家にとっては、大人の自由時間でもあります。とはいえ、デフォルト=常に3人一緒ユニットなので、彼女がいない家にいると、心なしか…どこかポッカリ穴が開いた感じ…。
そんなわけで、最後の2日はお出かけすることにしました。

行き先は、ずーっと行ってみたかった、キレッキレのコンテンポラリーダンス作品がたくさん見れるフェスティバル、Oriente Occidente

毎年山間の街、Rovereto(ロヴェレート)で開催されていますが、

今年はなんと40周年だったらしい!

Roveretoのお楽しみは、また別号でまとめることにして、今回は、鑑賞した諸々のダンス作品についての記録です。

【9/3の記録】
朝はしっかり仕事。
〆切迫る某申請書を提出して、気持ちスッキリ、いざRoveretoへ。
高速に乗れば、結構近いんです。

さて、今回見たかった目玉の作品はこちら。

ANTONIO VIGANÒ(Teatro la Ribaltaの作・演出家)
MICHELA LUCENTI(Balletto Civileの振付家・ダンサー)
という2人のアーティストによる、UN PEEP SHOW PER CENERENTOLA

いつもの如く、全容はちゃんと理解していなかったものの、以前に見たTeatro la Ribaltaの作品が秀逸すぎて衝撃だったのに、今回はなんとLucentiさんを呼んじゃうなんて、見るっきゃないわ!と予約した本作。

Teatro La Ribaltaは、Roveretoからさらに北上し、Bolzanoという、もはやドイツ語圏の街を拠点に活動している劇団で、演出家や経理・テクニカルスタッフなど一部を除いて、なんらかの障害のある人達が、パフォーマーとして所属しています。しかも正社員・終身雇用の形を取っているとか。

チケットに書いてある会場が、Roveretoの有名な美術館MaRT(コンテンポラリー寄り)のエントランス広場なので、おお…寒空の中、外か…と思っていたら、なんと、美術館のエントランスの横にこんな特設サーカステントみたいなものが!!!

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カッコよすぎる…。

正直、これだけで、来た甲斐あったなぁと思ってしまったのでした。おしまい。

じゃなくて…

会場に到着すると、私たちに吠えたてまくる犬が一匹。
その犬を追いかけてくる影が現れ、ふぅ。飼い主来たか…と思ってよく見ると、
あれ、このおじさんって主宰のアントニオさんじゃないのー?と思うも束の間、うちのおじさんと犬のおじさんは、犬そっちのけで、じゃれあい始めました。

同世代の仲間たち、いいですね。

犬おじさん  「さっきの回で、俺、もう感無量で泣いちゃったんだよ」
ダリおじさん 「おお、プレミアだったもんな。大変だなこのセット」
犬おじさん 「そうなんだよ。作り始めは良かったけど、今は支払いで頭が痛い」
ダリおじさん 「まぁでも、そっちは自治県だからなんとかなるだろ〜」

とか、しょうもない話をしていましたが、確かに入ってみて唖然…

16のブース(コロナも安心ガラス張り)に観客が一人ずつ入り、
目の前の回る舞台で起きる見世物ショーを見るんですよー!

見てはいけないものを覗き見るような…

とんでもない企画…!!! 

コロナに端を発し、こんなこと考えちゃう犬おじさん… 期待を裏切らない人。。
作品も照明・音響・演出と、パフォーマーの力が混ざり合い、良いもので、あっという間に終わってしまいました。

このセットは、ダンスとの相性もよく、どうやらフェスティバル会期中、何人ものアーティストが会場として使用したようです。グッドアイデア&デザイン!
こんなにインディペンデントの香り漂う作品が見れるなんて…。
フェスティバルの懐の深さを感じます。

そして、入場料はなんと、たったの3€でした。
とんでもない企画だ…

【9/4の記録】
前の晩、終演後に上作品の振付を担当したMichelaさん(女性)にもすれ違い、うちのおじさんと久々の出会いに和んでいましたが、「街中でサイトスペシフィックの作品もやってるのよ〜!無料だし、明日、朝もあるから見にきて〜!」と誘ってもらったので、朝ごはんを食べ、山登りに行く前に、見に行きました。

わー こっちもすごいな…  みんな温室に入っとるよ…

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恐るべしコロナ。
コロナ禍でもダンスをするというのは、、こういうことなのね。

それぞれの家の中で、ダンスと、ダンサーが語る言葉で、それぞれの物語が紡がれています。(Michelaさんは踊りながら全然息を乱さず歌っていた… 衣装とカツラのせいもあって、もはや何か召喚している魔女にしか見えなかったなぁ。)
通りゆく人達も、ちょっと遠くから、怖いもの見たさで見ていたり、コミカルなブースの前には、人だかりができ、口上が終わるのを笑いながら聞いていたり。

久々にコンテンポラリーダンス見てるぞぉぉ!と感動した後は、山登りに励んで、街に戻ってきました。そして今回の滞在締め括りに鑑賞したのは、40周年を迎えたフェスティバルのオープニング演目。ザンドナーイ劇場にて。

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たくさんの振付家に囲まれながら、開演を待つのは…

PONTUS LIDBERG振付、DANISH DANCE THEATREによる『CENTAUR』

A.I.とコラボした作品

という情報だけで鑑賞しましたが、賛否両論ありそうなこの作品、見れてとても良かった!(音響・映像デザインはダムタイプの池田亮司さんのようです)
これまた会場キャパの半分での上演ですが、1人15€で楽しめてしまった… 映画館に行くのと同じようなお財布心地で、9人のダンサー達の圧倒的なエネルギーを浴び、その存在の美しさに触れられるなんて。ありがたや〜
来年1/29・30は、パリ(仏)のシャイヨー劇場でも上演されるようで、パリの観客の感想が気になるところです。

【まとめ】

40年という歴史を持ちながらも、西洋と東洋が出会う場所というテーマから、常に斬新な視点で、ダンスのこれから・その可能性を提示するこのフェスティバル。足を運ぶ価値ありです。

そして、作品鑑賞の合間に、ワイナリー巡り、山登り、Trentino Guest Cardを活用したミュージアム巡りなども楽しめ、いくら時間があっても足りません!!!
来年はさらに長く滞在できたらいいな〜

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