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雨で踊れば

雨が続く季節になった。
雨のことは、昔からどうしても好きになれない。

低気圧で体調は悪くなるし、傘をさすのが下手すぎて、さしているはずが、ずぶ濡れになっていることも多い。

「ニューヨーカーは傘をささない」
なんて言葉を聞いて、真似してみるも普通にずぶ濡れになって後悔した。

でも、唯一、好きかもしれない雨がある。
それが、フジロック で降る雨だ。

フジロック 。このイベントは、行く人と行かない人で、抱くイメージにかなりギャップがあると思う。

僕もフジロック に初参加するまでは、パーティー大好きの人たちが集まって、夜通し陽気に踊る場所、というイメージを持っていた。

でも、実際はそんなことはなかった。
というか、そういう人もいれば、そうじゃない人もたくさんいる、フジロック は、思っていた以上にずっと自由な場所だった。

たとえば音楽を全力で聞かなくても、日光を浴びながら気持ちよく昼寝をしたりするのもとても楽しい。BGMのように遠くから微かに聞こえる音楽がとても気持ちが良いのだ。

音楽に詳しくなくても全く問題ない。僕も、もはや誰が来るのかもあまり分かっていない。でも楽しいのだ。会場で初めてみるバンドの曲をいいなと思ったら、あとでYoutubeで聞いて思い出に浸ればいい。

すごい小さなステージで演奏している、見ず知らずのおじさんが、ものすごく素敵だったりすることもある。だから、あまり下調べをせずに気分で色々なステージに行って、その場での出逢いを楽しめばいいのだ。

下の写真は小さなテントをめちゃくちゃ盛り上げていたおじさんDJ。何よりプレイしている本人が一番楽しそうで、つられて皆、笑顔になっていた。

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また。音楽以外にも、映画上映や大道芸など様々な催しも用意されているので、そちらを満喫するのもおすすめだ。僕は毎年深夜に『男はつらいよ』の上映会にひとりで行って、号泣している。

ゴンドラにも乗ることができ、すれ違う人たちと手を振りあうのも楽しい。山頂の空気も美味しい気がする。

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また、「キャンプ」が苦手でも、全く問題ない。正直僕も結構苦手だ。

自然は好きだけど、寝るのはベッドの上がいい。お風呂には毎日しっかり入りたいので、毎年しっかり近くの宿に泊まっている。とても快適だ。

と、ここまでフジロックの自由さについて書いたが、そんな中で、全員に強制的に訪れるものがある。

それが、雨だ。
ほぼ毎年、フジロック では豪雨となる。

めちゃくちゃ盛り上がってきたメインステージで。
気持ちよく昼寝していた広場で。
来たばかりなのに、いきなり。
今年は降らなまま終われそうと思ったのに。

雨はこちらの都合はお構いなしに降り始める。
そして大抵そのまま激しさを増していく。

雨具を着たり、屋根のある場所に避難して凌ごうともするが、それを超えるとだんだんもういいや、と開き直って、雨を全身で浴びて踊る。
毎日、大体宿に帰るときはボロボロになっている。

去年のフジロック は台風の直撃と重なり、それはそれは激しい雨だった。

長年愛用してきたアウトドアチェアを泣く泣く諦めても、なんとか宿に帰らなくてはいけないくらいの豪雨で、宿に向かって歩く道すがら、流石にそろそろフジロック を引退しようかなという考えも頭をよぎった。

そんなハードな経験をこれまで何度何度もしてきたはずが、フジロック の雨はなぜか嫌いになれない。

あんなにしんどかったはずが、フジロック が終わって東京へ戻る帰り道には、「今年の雨はやばかったね・・」と楽しく話し合っている。

そして、その思い出話を武勇伝のように何年も仲間内でし続ける。

フジロック における雨は、自由で楽しい数日間をより鮮明な思い出にしてくれる存在なんだと思う。だから、雨は嫌いだけど、フジロック の雨は好きなのだ。結局またあの雨を浴びたくなる。

今年のフジロック は延期となることが、先日発表された。

社会人になってから毎年フジロック に行っているので、フジロック に行かない夏休みの過ごし方を知らない。

せっかくなので、国内の近場で旅行したり、家で何かに没頭したり、新たな楽しみを見つけられたらいいな、と考えている。

できれば雨は降りませんように。

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