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「ファクトベース」のPRメッセージづくりについての話。

前回のnoteでは、PR戦略を考える手順を書いたが、今回はもう少し具体的に、PRにおける「メッセージづくり」において大切だと思うTipsを書いていく。

その1.ファクトベースで考える

PRにおいて大切なのが、「ファクトベース」という考えだ。

フィクションではなくノンフィクション、「事実」をもとにコミュニケーションを作っていくことがPRの基本的な仕事だ。

事実ではないことを伝えてしまうと、ステークホルダーからの信頼を失ってしまう。だから、「言っていること」と「やっていること」があっている言行一致の状態を保つことを心がけたい。

一方で、それと同時に大切なのがファクト「ベース」であるということだ。これは事実を基に工夫してコミュニケーションを作ることを意味する。

ひとつの事実でも、様々な見方をすることができるので、その事実を「どう見せるか」と工夫するのがPRの腕の見せ所だ。

たとえば、オープンしたばかりでまだ全然生徒がいない学習塾を「徹底した少人数指導」と表現することなどが「ファクトベース」のメッセージづくりとなる。

PRパーソンとしては、日々「言い換えのスキル」を磨いておくことが大切だと思う。

その2.切り口を複数用意する

相手に合わせた事実の見せ方を「切り口」とPRの現場では言われている。この切り口を複数用意することが、情報を世の中に広めていくうえで大切だ。

たとえばあるプロ野球の試合を、メディアが取材するとき。

・スポーツ面の担当者は、その試合をハイライト的に記事を書く
・文化面はその日引退する選手に絞って感動的なエピソードを書く
・スポーツ新聞記者は「ノーバン」の見出し記事を書くために始球式を書く
・WEBメディアの記者はネットでの反響を広いながら記事を書く

このように同じ試合でも、それぞれの記者は異なる点に注目して書くものなので、それぞれの興味関心に合わせた切り口の「ストーリー」を語ることが大切なのだ。

その3.「半分分かる」メッセージ設計とする

人が一番面白いと思うのは、半分分かって、半分は分からない(新しい)ものだと思う。逆に言うと、全て分かるものにも、全くわからないものにも、面白みを感づらい。

だから、「半分分かって」「半分分からない(新しい)」というメッセージを作ることを心がけていきたい。

そのために、たとえば、「コーヒー界のアップル」「◯◯版Uber」など、別業界で認知されているものをうまく使ったネーミング手法などがある。

ほかにも、「半分分かる」を作り出すために、世の中的な事象(ニュース)と自社サービスを絡めて語る、「戦略PR」という手法もある。

多くのスタートアップは、「新しすぎる」ことが多々あるので、どのように「半分分かる」情報とすることができるか、工夫をしたい。

その4.「自分に関係がある」と思ってもらう

どうしたら興味を持ってもらえるか、のひとつの解が、「自分に関係があることだ」と思ってもらうことだ。

人は自分に関係があると判断すると、一気に聞く耳をもつ。

だから、全方位に向けたメッセージではなく、なるべく関係を作りたいステークホルダーに向けたピンポイントなメッセージを作ることを心がけたい。

たとえば、メールを送る際も不特定多数の人に同じ内容を送るのではなく、その人に合わせたメッセージをピンポイントで書く。

メディアにコンタクトをする際も、なるべく記者にバイネームでコンタクトを取る、などだ。

さらに、お勧めなのが、関係を築きたいステークホルダーをプロモーションのターゲットとするのではなく、実際にプロジェクトの関係者になってもらうことだ。

具体的にはサービス構想段階からアイデアを出してもらう、自社メディア記事を書いてもらうなどだ。

このようにして、「自分に関係ある」と思ってもらうためのコミュニケーション設計を工夫すると、プロジェクトを進行しやすくなると思う。

その5.「流行っている」「信頼できる」を可視化する。

未知のものに飛びつくことは、怖いものだ。

だからこそ流行っている、信頼できる人が勧めている、といった状況はその怖さを軽減し、飛びつきやすくさせる。

では、その「流行っている」「信頼できる」ということはコントロールできないのかというと、そうでもない。

もちろん事実を歪曲して、流行っていると訴求することはやってはいけない。また、いきなり全国的なブームを作り出すことや誰もが知っている有名人に勧めてもらうことも難しいことだ。

しかし、「局所的なブームを見つけてくる」「適切な人に勧めてもらう」というアプローチなら、できる。だから、これを可視化できるようにPRパーソンは頑張るべきだと思う。

たとえばある商品が特定の層の間で受け入れられている事象を見つけ、それを情報として発信する。

関係をつくりたいステークホルダーにピンポイントで影響のある方に商品についてコメントを貰う、自社メディアで取材させてもらう。

このようなアクションを通じて、局所的な「流行っている」「信頼できる」を可視化していき、ブームのうねりを作り出していくことが大切だ。

その6.自社メディアを持ち直接つながる

PRにおいて個人的に一番大事だと思っていることが「自分の媒体を持ち直接発信すること」だ。

外部のメディアやオピニオンの影響力を借りることが大切だが、本当に大切なことは外部に依存せず、自分も持っているメディアで直接届けるべきだ。

だから、noteを書く、SNSやメルマガを運用する、イベントを開催するなど、自分の声を直接届けることができる「濃い」メディアを積極的に運営していくべきだと考える。

そこで直接ステークホルダーと繋がることが、特に初期のビジネスにおいては重要だと思う。

そして、その上で外部メディアを通じた情報発信する体制が理想的だ。外部メディアでメッセージの「広さ」、自社メディアで「深さ」をカバーすることを目指していきたい。

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と、Tips的に書いてみた。

何か疑問や質問があればご気軽にご連絡ください。
また今後、PRに関することも書いてみたいと思います。


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