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100日間連続でビスコを買い続ける実験記事の面白さ

※ネタバレあります。

noteで20000スキ越え(2020年3月時点)の大ヒット記事、
「100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか。」読みましたか?
まだまだnote歴の浅い私ですが、noteでは恐らくスキが3桁越えればすごい方で、4桁越える記事もなかなか見ません。
noteはスキの数を競うような場ではないと思いますが、5桁を超える記事は見たことがないので、それだけ魅力的な内容であることは言うまでもありません。

世の中の売れている本や映画、ドラマすべてそうですが、ベストセラーにはすべて売れる理由があるはずです。
「なぜ面白いのか」「どんな点が優れているのか」
素敵なところを見つけていけば、自分が魅力的な作品やサービスを創作する上でも大きなヒントになります

せっかく「note感想文」というタグもありますしね。
私なりにこのnoteの大ヒット作の面白さを分析したいと思います。

舞台が身近な場所である

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この記事の舞台はコンビニ。
コンビニと言えば誰でも必ず行ったことのある場所。
そして、人によっては毎日のように行くし、大概近所に1軒はある身近な存在。

誰でも知っていて、行ったことがあり、身近な存在であるコンビニが舞台となる実験というだけでも読みたくなる要素になるのではないかと思った。

人によっては馴染みのない場所が舞台だとなかなか共感は得られにくいし、興味も引きにくそうだ。

購入対象のチョイス

100日間同じものを買い続けるという実験の購入対象があの有名な「ビスコ」である。
「おいしくてつよくなる」のキャッチコピーとパッケージの幼児の顔面が印象的だ。

これが例えば「ポテトチップス」など他のお菓子ではここまで面白い展開にならなかったのではないか。
ポテチが好きで毎日食べる人がいたとしてもそんなに珍しいとは思えない。
コンビニ店員からしても毎日ビスコだけ買い続ける大人というのはインパクトがある。

「なんでこの人毎日これだけ買うのかしら?」「そんなの好きなのか」
毎日単品で購入することに疑問・興味を沸かせる購入対象の選び方が絶妙だと思うのだ。

ルール設定

この実験企画のアイディアもさることながら、ルール設定も素晴らしいと思う。

1. 今回行くお店ではビスコ以外の商品を買ってはいけない。
2. 店員の方から話しかけられるまで、こちらから声をかけてはいけない。
3. 目立つ格好、行動をしてはいけない。

あくまで購入対象をビスコに絞ることで、コンビニに同じ商品を買いに来ている印象を強く与えることができる。
自分から話しかけたり、目立つ格好や行動をしてしまうと、「同じ商品を買い続けたからあだ名がついた」のではなく、それ以外の要因によってあだ名がついたのではないかとなってしまい、せっかくの実験結果も説得力や面白みがなくなってしまう。

厳密にルール設定を行った上での結果だからこそ、間違いなくビスコだけを買い続けたからこそ起きた変化であると読者に納得させることができた、それによってここまで面白いと話題になったのではないか

複数店舗による検証

複数の店舗で実験を行うことにより、同じ実験で複数のストーリーを体験することができた。
そして、1店舗だけで実験を行っていたら、単にその結果はその店舗がたまたまアットホームだったからとか、コミュニケーションが好きな店員が多かったからなどという陳腐な結論で終わってしまいそうであるが、複数の店舗で行うからこそ、実験の結果の信ぴょう性が増して面白くなったのではないかと思った。

結果的に実験を行った3店舗のうち、1店舗は早い段階でビスコが補充されなくなってしまったため、店側の都合により実験が完遂できなくなるリスクを回避することもできた。

実験による店員の変化

この実験の最大の面白さは、ビスコだけを買い続ける客に対する店員の変化。

ファミリーマート編の「けだるげな女性」は20代でやる気のない、私たちがコンビニでよく見るような店員の一人。
一般的な利用しかしない私たちからしたら、どこにでもいるやる気のない店員で終わってしまうのだが、ビスコを買い続ける客によってこのけだるげな女性の対応は大きく変化していくのだ。

最初は客側から「レシート下さい」と言わないとレシートをくれなかったのに、自発的にレシートをくれるようになり、2週間後にはなんと客に対して興味を持ち声をかけてくるようになる。
そして1か月後には、微笑みかけるようになり、他愛のない会話を交わすようになるまで変化している。

気だるげな女性は2か月後にファミマを辞めてしまうのだが、なんと客に対して退職を報告している。
いつも利用しているコンビニの店員でも、普通退職することなんてわざわざ言ってこない。

もともとただのやる気のない店員だった彼女が、ビスコだけを買い続ける珍客によって次第に表情が豊かになり、コミュニケーションの量が増える。

私はコンビニ店員の経験がないのでコンビニの仕事がどんなものかは分からないが、やる気の出ないような仕事でも外部の些細な変化によりが大きく変わっていくこともあるのかなと思えるような結果だ

ローソン編については、2日目にして早くも店員がビスコに対して興味を持つのだが、45日目の対応は明らかにビスコを買い続ける客を意識した対応をしている。58日目は仕入れが間に合わないため、店員がスーパーでまさかの個人仕入れ。
普通特定の客のために対応するなんてことはないと思う。すごいことだ。

45日目
昨日からひきつづき棚のレイアウトを変えているようで、ビスコを探す。するとまだ明らかに未完成といった様子の棚にビスコが2箱だけ置いてあるのを見つける。不自然に2箱だけ置かれたビスコから、これが私のために特別に用意されたものだと察する。『お姐さん』にひと言お礼を言った。「ごめんなさい、まだ棚が整理できてなくてビスコだけ置いといたの😉」と返された。

実験終了後、数日空けていつものコンビニに行くと病気かと思ったと心配されている。実験のネタ晴らしをすると、店員さんからビスコばかり食べるから栄養取れてるか心配とか、もう来てくれなくなるのは悲しいといわれる存在になっている。

ビスコを毎日買うだけでここまでの変化があると誰が予想しただろうか。
せいぜいあだ名がつくだけかと思いきや、ちょっと心が温まる展開になっている。
ただのおかしな実験に留まらず、意外な展開による驚き、人の変化や温かいストーリーとなっていることが最大の魅力だと思う。

面白くてあたたかい話がスキ

この作品を面白くしているのは、
誰でも知っている場所が舞台で、一見ふざけた実験ではありつつも真面目なルール設定を行った上で、人間の変化や温かみを感じる話が展開されていることがヒットした要因なのではないかと考えました。

奇抜な企画で興味をひかせつつも、ちょっと感動しちゃう話で落ち着いているのが何とも素敵ですよね。

ストレスを感じることが多い社会において、やっぱり心温まる話はいつまでも需要のあるものだと思います。

私自身にとってnoteはヒットを狙うためではなく自分が書きたいものを書く場所ですが、ヒットさせる必要のある記事を書くときは是非参考にさせていただきます。


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