見出し画像

2歳だった長男がユニクロのピンクの上着を選んだ夜

急に涼しくなってきたので、最近めきめきと身長を伸ばしている長男の長袖が足りないことに気づいた。そんなわけで家族で久々にユニクロへ。長袖綿100%のカットソーなどアイテムだけはこちらから指示するが、その中でどの色・柄を買うかは本人に任せている。今日もサクサクと自分で決めていた。

そんな彼の姿を見ながら、ちょうど2年前の冬を思い出した。保育園で外遊び用に使う上着を買わなければならず、ユニクロのオンラインストアで購入することにした。アイテムはライトウォームパテッドパーカーという軽くて暖かい上着だ。

色展開が6色程度あり、タブレットの画面を見せながら「どれにする?」と聞いた。当時黄色が大好きだったので、黄色か青あたりを選ぶのかな・・・?と思っていたが、長男が選んだのはピンクだった。

その時に私は「本当にピンクでいいの?」と彼に聞いた。「青と黒の2色のやつもあるし、あなたの好きな黄色もあるよ?」と続けた。長男の答えは「ぼく、これがいい!」とピンクで変わらなかった。とりあえずカートに入れておくことにした。

その後夫が帰ってきたので長男の上着を買うこと、本人が選んだのがピンクだったことを伝えた。すると夫は帰ってきたスーツのまま、タブレットを持ちながら長男のところへ行き「他の色がいいんじゃない?ほら、ドクターイエローの黄色とか。緑だったら、はやぶさの色だよ。」と言った。

なるほど、大好きな電車の色で誘導する作戦か・・・・。

それにしても、どうしてこんなに必死に他の色に誘導しようとするんだろう?本人がピンクを選んだのだから、それでいいはずなのに。

あれ?でも私も長男が最初に選んだ時に「本当にピンクでいいの?」って確認したよな・・・。これが黄色や青だった時に「本当にその色でいいの?」って確認しただろうか?きっとしなかったんじゃないだろうか・・・・?

なんでピンクだと確認したんだろう・・・。

そんな風に思ったことを、長男が寝た後の夫婦のコーヒータイムで夫に伝えた。

:ピンクが女の子の色、青が男の子の色、そんなの関係ないじゃん!って常日頃思っていたはずなのに、私も本当にピンクでいいのかな・・?って逡巡しちゃったんだよね。保育園で着るものだから、他の子からそれ女の子が着る色じゃん!ってからかわれるのが心配だったんだと思う

:俺はそれが心配だから、他の色に誘導しようとしたんだよ。本人が良くても、他の子から言われて傷つくかもしれないじゃん。

ここから思いがけず、白熱した議論になった。

:それが心配なのはわかるけど、自分が選んだものを自信を持って好きって言えるようになってほしい。周りから言われて傷つくこともあるかもしれないけど、傷つかないように無難なものを選ぶのは違うんじゃない?

:そうだけど、長男はまだ2歳だよ?自分ではっきり言えないじゃん。だったらその期間は、親が守ってあげるべきなんじゃないの?

:じゃぁその期間はいつまで?小学校に入るまで?中学校に入るまで?ずっと親がまわりから余計なことを言われない無難なものを選んでいて、ある日突然自分で選んでいいよ?って言われても困るんじゃない。そんな風にしたら長男の感性を潰しちゃうんじゃないのかな。

:でも親の目が届かないところで、傷ついてほしくない・・・。

:それもわかる。心配だよね・・・。

でも傷つかない人生なんて、ないじゃん・・・。私たちがすることは傷つくことから守ることなのかな。傷ついたときに、帰ってきてほっとしたり、また立ち上がれる場所を作ることなんじゃないのかな、、、、。

:そりゃ傷つかない人生なんてないよ。でも長男はまだ2歳で、何かに立ち向かう力なんてない年齢じゃん。そういう力がつくまでは親が守ってあげたほうがいいでしょ。

・・・・といった風に深夜1時まで続いた。
まさか上着1枚買うことで、ここまで話し合いになるなんて双方想像しておらず、終わった時にはぐったり。最終的には長男の意思を尊重し、ピンクを購入した。

長男はそんな両親のやりとりは全く知らず、届いた上着に大興奮。お気に入りの一着になって、一昨年・去年と着ていた。そしてピンクの上着、着てみたらなかなか似合っていて、いいじゃん!かっこいいね!と私たちも伝えられた。

私はこの出来事で、自分の中にも固定観念があることに気づけた。そして高校時代からの友人でバックグラウンドや価値観の多くを共有してた夫と、互いの異なる考え方に深く踏み込んで話した最初の会話になった。

こういう話は、たぶんずっとDINKSだったらしていなかったんだろうなと思う。お互い働いて、それぞれ好きなことにお金を使い、そこまで相手の選択に口を出さないという風にやってきたから。

今は特に子育てまわりを中心に、お互いの価値観や考え方踏み込まざるおえない場面が出てきて、そういう会話が増えている。それはそれで疲れるけど、なかなか面白い。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?