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【詩】移ろう月

人間に愛されるために生まれてきた
何をしても愛される

しっぽを揺らせば
瞳が追いかける

触れたくなる
美しい毛並みには引力がある

首を撫でられると
吐息が漏れてしまう

ごろごろ
あれは吐息の音なの

こんなに愛されているのに
月が観たくなる

なぜって
月は移ろうから

青い夜
こんな時は

撫でられてもいないのに
吐息が出る

何事にも過不足はなく
月だけが

そう
月だけが

猫の瞳を真似ている