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【詩】涙を流すことはないと思っているのかい

誰も見たことはないと思う
誰も思ってもみなかったことかもしれない

猫が涙を流すと思うかい?

もちろんないさ

猫が涙を流すことなんて
解剖学的にもあり得ないんだ

でもどうだろう

もし猫が涙を流したら

誰もいない小さな公園で
人目の届かない物陰で
猫が涙を流していたら

一日の終わりの
紅に燃える夕日を見ながら
猫が涙を流していたら

薄暗い霧雨の中
沈黙の中を歩く葬列を見送りながら
猫が涙を流していたら

別れを惜しむように
寄り添いながらも離れる二匹の
猫が涙を流していたら

ただただひたすらに美しく
舞い踊る極光の下で
猫が涙を流していたら

意味なんてない
特別な感情なんてない
悲しいわけでも
美しいわけでもない

それでも涙を流していたら

きっとそれは
究極の猫