2022年春の作品
今日は春の作品の回顧録。春といえば桜。
桜が好きな人は多いので、お花見の頃は、大変な賑わいですね。
平安時代の歌人、在原業平がこんな和歌をのこしています。
「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(世の中に桜の花がなかったら春の人々の心などのどかなものだったろうに)」皮肉というか諧謔というか、面白い歌だとおもいます。
(これは、茨城県にある福岡堰という桜の名所でスケッチしたもの。滝廉太郎の「花」を思い出すような光景です。)
(これも福岡堰でかきました。これは水門からみた景色です。桜は出てきませんが、菜の花が咲いていて春爛漫というところです。)
さて江戸中期、秋色女という俳人がいました。この人は、年わずか十三で「井の端の桜あぶなし酒の酔」との句を詠んだと伝えられます。お酒の飲み過ぎには要注意...
また、戦時中、桜は軍歌にも多く歌われました。「歩兵の本領」「同期の桜」「嗚呼紅の血は燃ゆる」... 数知れません。歌詞を見ると「散る」という表現が多く見られます。桜といえば散る、散るといえば潔く死ぬことを意味したのでしょう。桜には手放しに賞賛できない側面があります。
さて、つづいてはこちらも春の花、
これは桃ですね。二十四節気の一つ、「清明」の日に描いたものです。沖縄では「清明祭」といってお墓参りに行くようです。「清明」というもう一つ、唐代の詩人、杜牧がこんな詩をのこしています「清明の時節雨紛紛、路上の行人断魂せんと欲す。借問す酒家何処に有りや、牧童遥かに指さす杏花邨。」「清明の時節、雨まじり、道ゆく人もふさぎがち。ちょっとたずねる酒屋はどこぞ、指さす先には花咲く村が。」と言ったところでしょうか。
中国ではこの清明、野遊びや墓参りといった風習があるそうです。そんな心弾む季節、雨が降っていて、気もふさぐとき、酒でも飲もうかと思って人に問えば、指さした先にはあんずの花のさく村が...光景が目に浮かぶようです。
この絵は杏ではありませんでしたが、桃のきれいな時期でもあります。旧暦のひな祭りの頃でもありますね。
こちらも同じ日に描いたもの。水仙と木瓜(ぼけ)です。
暖かな春はすばらしい!
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