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踊る編集者

自分の通り名として「踊る編集者」というのを使うことがたまにある。初出は2019年5月13日の技術同人誌再販Nightでの登壇スライドのタイトルで、2019年の登壇で一番気に入っているタイトルである。

「踊る」とあるが実際にダンスするわけではない。ダンスは少しだけかじった程度で、身体を鍛えた先のアウトプット・表現行為として、スポーツの類をやるよりは興味があるが、今のところはやっていないし、もちろんサムネのようなポールダンスはしていない。

この踊るは「踊る阿呆に見る阿呆」の「踊る」からきていて、本来は客観性の高い立場にいる編集者が、「楽しそうだからやってみた」と読者や発信者と同じことをやる行為を指している。踊るという言葉に、どこかしら心踊る楽しそうな感じもあるだろう。

私が対象にしている開発者向けの領域だと、ボトムアップ的なアウトプットが日々拡大していて、その中で商業出版や商業メディアの価値はなんだろう……と悩ましく思ったときに、解が分からないので、まずは楽しそうなところに飛び込もうと思ったのだ。技術書典に関しては「やってみたいな〜」と口に出してみたり、「ゆうこりんはやらないの?」と言われたりしていた。

やってみたいと思ったらまずやってみる。2019年の年始の3大目標の一つとして「技術書典に出展する」と掲げ、技術書典6で早々に達成することができた。やっぱりやってみると、自分自身がもっといいアウトプットをしたいと思うので、発信者目線での課題感を肌で感じることができた。メディアの社会的責任に気づくことができた。踊る行為は意味があったのである。

自分のIT業界への関与の仕方はフィールドワークだと思っている。俯瞰的に知りたい、それぞれのコミュニティの人がどんな生態をしているのか知りたい。「技術を習得して活用したい」という開発者のミクロ的視点ではなく、もっとマクロな視点を持ちながら、開発者とともに踊って参与観察する。大学生のとき、研究の参考に先生から教えてもらって読んだ『暴走族のエスノグラフィー』という本があるが、暴走族とファミレスでダベって気づきを得るような、そういう行為なのである。


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