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【よくわかる!台湾語の紹介04】日本語由来の台湾語があるってホント?/有影有對日語來ê台語詞?

Q-日本語由来の台湾語があるというのは本当ですか? 
A-本当です、たくさんありますよ。

日本語由来の単語がたくさん!


 台湾語の中には、ái-sá-chuhアイサツ、kha-bángカバン、lîn-jín人参、oo-jí-sángオジサンなど、日本語由来の単語がたくさんあります。「Lí kā i ai-sá-tsuh tsi̍t-ēリカイアイサツチレ」(あなた彼にちょっと挨拶しなさい)というように、さらりと会話に出てきます
 本来の意味から少し変化した単語も多くあります。「oo-seオセエ」は、日本語の「お歳暮」から来た言葉ですが、今では「賄賂・買収(する)」を意味します。また、「khí-moo-báiキモバイ」(=気持ち悪い、の意)は、「気持ち」からの外来語であるキモ、台湾語の「悪い」であるバイが合体した言葉です。


 出張(tshut-tiunn)、見本(kiàn-pún)、注射(tsù-siā)など、日本語の漢字を台湾語読みした言葉も沢山あります(それぞれ、華語では「出差(chū chāi)」、「樣品(yàng pǐn)」,「打針(dǎ zhēn)」となり、台湾語との差異が目立ちます)。
 台湾語の中の日本語由来の言葉を、整理して表にしてみました(筆者作成):

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先住民族諸語や他の言語由来のものも、たくさん


 また、実は、台湾語の中には、先住民族諸語や他の言語由来のものも、たくさんあります。特に、地名には、先住民族の地名由来のものが多数あります。たとえば、先住民族後の読みをそのまま踏襲して台湾語の漢字をあてたら、その漢字を今度は日本が日本語読みにし、それを今度は戦後国民党が意味だけ取って別の漢字をあてたりと、台湾の複雑な歴史をそのまま体現しているような地名が、いくつも見られます。

 例えば、「艋舺」(萬華地区の古称)は、まずケタガラン(バサイ)族語で「カヌー」を意味するVangkaという地名でした。→ホーロー系移民が台湾語で「艋舺(Báng-kah)」とあてる→日本が行政改編した際に地区名を改変し、似た読みの漢語から「万華」とあてる→戦後は、その漢字を華語で「萬華(wàn huá)」と読むようになる。というような感じです。とっても複雑ですね!

先住民族諸語由来のもの
ò-giô/薁蕘(オーギョーチ)、Tshiah-kham(赤嵌)、a-lí-put-ta̍t/阿里不達(意味不明な)、a-se/阿西(幼稚で愚かな), lò/躼(背が高い)、他にも多くの地名
オランダ語から:kah/甲(土地の単位、エーカー)、ポルトガル語から:sap-bûn/雪文(石鹸)

まとめ

 このように、台湾語には、その複雑な歴史を表すような、たくさんの外来語があります。
 特に、日本語由来の言葉は、50年間にわたる日本植民地統治の歴史が残した産物です。そのことを謙虚に受けとめたいですね。

 「日本語由来の単語なぞ排除して、言語を純化せよ!」といった運動が今のところ見られず、寛容に受け入れてくれている台湾社会に敬意を払いたいものです。

 なんにせよ、日本語ユーザーとしては、台湾語の中の日本語を見つけると、親近感を覚えずにはいられません。ご自身でもぜひ色々と探してみてください。

<「高雄エクスプレス」2016年12月号掲載の原稿に加筆修正>

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