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僕が出会ってきた人。CHUBBY高木啓至さん。

このシリーズでは僕が出会ってきた人。そしてこの人に出会うことができたから今の僕があるというような人を紹介しようと思う。

今回はCHUBBYの高木さん。

CHUBBYというのは代田橋にあるカフェ&galleryで高木さんはそこのオーナー。

僕が初めて高木さんに出会ったのは2008年のこと。僕はその年、阿佐ヶ谷にあるイネルというカフェで個展を開いていた。

そのイネルと高木さんは知り合いで、その日たまたま自転車で遊びに来たのだった。

そして僕の絵を見てくれて「僕も代田橋でカフェをやっているんです。絵の展示もしていますよ。よかったら遊びに来てくださいね」と言った。僕も気軽に「じゃあ、今度遊びに行かせてもらいますね〜」とこたえた。

・・・そう、この一瞬。まさかこの一瞬の挨拶がその後12年の付き合いになり、そして本当に本当に大切な付き合いになるとは。。。こんかタイミングを下さった神様に感謝です。


その初めての出会った日から少し経ち、僕はCHUBBYに遊びに行った。なんていうか気持ちとしてはふわっと遊びに行くというか気軽なつもりで行ったのだけど、CHUBBYに入ってびっくりした!

まずはそのアプローチ。代田橋というマニアックな駅(ごめんなさい。それまで知りませでした。とはいえ新宿駅から京王線で2駅)を降りて細い細い住宅地の路地を進んでいく。途中には墓地があったりする。


しかしそこを抜けてお店にたどり着くと、、、、すっごい広々とした空間。。。きっと絵は100点ぐらい飾れるんじゃないだろうか。。

そしてめちゃくちゃ気持ちいい。ストイックなまでにほどに高木さんの美意識が感じられる。単に綺麗というのではなくて、ところどころはラフで。。でもそれを見せつける感じではなくて。本当に素敵なバランスだった。


その日、僕たちはしばらく話をした。そしてすっかり意気投合していた。

聞けば、高木さんは元々ロンドンのギャラリーで働いして経験があるということだった。そしてその時の話を僕を聞かせてくれた。

近藤さん、ロンドンではね。買い物の帰りのおばさんがふらっとギャラリーに寄ってそして気に入ったものがあると「私、これをいただくわ」って買って帰るんだよ。絵が本当に生活の身近なものとしてあるんだよ。


僕はそれを聞いて、とてもいいなぁと思った。僕は絵を独学で初め、そしてどちらかというと僕が大好きな音楽や映画や服やそんなものと同じようにいろんな人たちに渡して、そして楽しんでもらえたらいいなぁと思っていた。そんな僕の思いと通じるところがあるなぁ!ここで展示をさせてもらえたらな!


そして2009年の春、初めてCHUBBYの個展をさせてもらうことになったのだ。(ちなみに僕はすっかり忘れいてたのだけど僕は展示をさせてもらうにあたり企画書を高木さんに渡していたらしい。去年、高木さんがそれを改めて僕に見せてくれたのだけど、あまりにも適当な企画書で笑ってしまった。あれだったら企画書なしの方が企画が通りやすいと思う。。。なんか「なんとなく広々とした感じを表したい」とか書いてあるの。。。高木さん、ごめんね。)


1回目の個展のタイトルは「青色宇宙」。(大好きなfishmansの影響大。)

今思えば、本当にまだ幼い展示だった。なんていうか絵も今から見ると下手すぎて笑いがとまらない。画像は高木さんが持っているので確かめたい人は高木さんに聞いてみて。


そんな幼稚な展示だったけれど、それでも僕と高木さんの目標は明確だった。

「絵を買うっていう文化を広げること」「絵を気軽に楽しんでもらうこと」「絵を媒介に素晴らしい人と人のコミュニケーションを作っていくこと」

だから値段付けも最初は本当に本当に低く低く設定した。まず絵を選んで家に持って帰ってもらうという経験を楽しんでもらうこと。そのハードルを限りなく低くすること。そんなことを考えての値段付けだった。

そしてそんなことを行うにはCHUBBYはぴったりの場所だった。

というのもCHUBBYの空間は広い。お客様通しの距離は離れていて自由に絵を見やすいのだ。それに美味しい美味しい飲み物や食事があった。

最高に美味しいビールやワインを飲みながら絵を眺めるなんて最高だ。


・・・そんなわけでCHUBBYでの1回目の個展が始まった。僕と高木さんとの付き合いが始まった。去年の2019年まで11年連続で個展を開催することとなる。今年もきっとするだろう。


思えば二人の性格は正反対というほど似ていなない。それがとてもよかったのだと思う。高木さんは慎重で几帳面で繊細。僕はズボラで適当で楽天的。

仕事をしていてお互いがお互いを補う(っていうか僕が一方的に補われているのだけど。。。)って感じで本当に楽。


それに高木さんは作品が売れた後の発送も全部やってくれる。僕も手伝おうとするんだけど僕が不器用すぎて梱包が雑になっちゃうのが嫌なのだ。「康平さんは見ているだけでいいから!」っていつも作業から外されちゃう。


そして最初の2、3年をのぞいてほとんど全部高木さんが作品の設営もしてくれる。僕の役割は作品を描いてCHUBBYに搬入するところまで。

CHUBBYの空間と僕の作品を一番よくわかってくれている高木さんが壁面の構成を考えてくれるのだ。その様子はまるで僕の作品という絵の具を使って、CHUBBYというキャンバスにまた一つの絵を描いていくような感じで、僕はその作業を見るのだが大好きだ。高木さんに甘えていつもビールを飲みながらそれを眺めている。

そうそう、性格は正反対って書いたけれど我々の共通点はお酒が大好きなところ。

僕は6年前に絵だけで食べるようになっていたのだけど、その時会社員を辞めるかどうか迷っていた時高木さんは僕にこうそそのかしたのだ。

「康平さん、平日の昼間に飲むビールって美味しいよ」

それを聞いて僕は少し笑ったけれど、高木さんはその後ちょっと真面目な顔で言ったことは僕はとても心に残っている。

「康平さんが絵描きになるって決めたら、CHUBBYは全力でバックアップするからね」

って。なんてそれで僕はホッとしたような気持ちになり、そして絵だけで食べていくようになったんだと思う。

それから僕の新宿伊勢丹や渋谷parcoでの展示でもキュレーションを担当してくれたり、今このタイミングでは僕の通販運営をしてくれたり。。。

今でも

あ〜あの時の高木さんの言葉は本当だったんだなぁ

となんかジーンとすることある。

今度は僕が恩返ししないとね。

最後に写真を何枚か。


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