【2019 J1 33節】川崎フロンターレvs横浜F・マリノス　マッチレビュー

１．はじめに

　リーグ戦も残り２試合。１５年ぶりのリーグ優勝も見えてきました。そんな中、今節の相手はリーグ２連覇中の絶対王者川崎フロンターレ　６年前の最終節と同じ相手、同じ場所、川崎はACL、マリノスはリーグ優勝をかけて戦うという状況も似ている展開。６年前を知るマリサポにとってはこれ以上ないシチュエーションだろう。川崎に勝利し、６年前等々力で味わった屈辱を晴らしたい。

２．スタメン

マリノス：前節と変わらず

川崎：GKを新井→チョン・ソンリョンの１枚変更

３．２年間積み上げてきたものand偽SB

 まずはマリノスのプレス回避

川崎は前線４枚並んで前からプレスをかけてきたため、２ボランチの両脇に大きなスペースが生まれます。マリノスはキーパーを上手く使い、そのスペースまでボールを運びます。

川崎のボランチ１枚と前線４枚のプレスをかわしフリーのティーラトンにボールが入り大島をつり出します。大島の背後の広大なスペースにマルコス、偽SB化した松原が侵入。そこのスペースにパスが出て川崎の２列目までを一気に剥がします。先制点のシーンもダイレクトパスを使ってボランチの脇のスペースを突くことができました。

ティーラトン→マテウスと繋ぎマテウスの個を生かした突破からテルのゴール。人数をかけて前からプレスに来るチームに対しても決してロングボールは蹴らずに繋ぐサッカーをやっていますが昨年はパスミスが多くゴール付近でボールを失って失点という形を嫌というほど見てきました。それでもスタイルは変えないできたからこそ、後方からダイレクトパスを繋ぎ相手のプレスを回避してゴールまで結びつけることができました。昨シーズンは苦しい思いをしたけれど２年間積み上げてきたものを出せたゴールだったと思います。

今節を一言で表すとしたら偽SBと言える程、川崎には偽SBが効いていました。特に松原の偽SB。

今節は喜田が右SB落ちすることが多かったです。喜田が右SB落ち、松原が偽SB化して中に入ることで阿部はどちらにつけば良いか迷いプレスが遅れることがありました。松原につけば喜田がフリーでボールを触れますし、喜田にプレスをかければ阿部の背後のスペースが空き、松原が自由にプレーすることが出来ます。
さらに２点目も松原の偽SBから生まれました。

川崎の前線４枚が攻め残った状態でスローインのリスタート。やはりボランチ２枚では両脇が空きます。SBが少し前に出てきていますが、仲川に引っ張られてラインを下げざるを得ない状況に。そこの空いたスペースを見逃さないのが松原。前半から上手く使えていたこのスペースでボールを受け、裏に走っているエリキにスルーパス。これをエリキが冷静に流し込み追加点。松原は相手の死角からスペースに侵入する動きが抜群に上手いですね。

４．新しい守備の形？

マリノスは基本ハイライン・ハイプレスですが３点目につながったボール奪取は今までとは違う形でのボール奪取でした。

ハイラインに変わりはないのですがプレスには行かずライン間・選手間の距離をコンパクトにして縦にボールを入れさせてから対人守備でボール奪取、ボールホルダーを囲みミスを誘っていました。
テルがパスカットをして大津に預け、二アゾーンラン。そこに大津からテルにスルーパスが入り、ボールを受けたテルはダイレクトでグラウンダーのクロス。中でエリキが合わせ３点目。素晴らしいショートカウンターでした。

５．長谷川の個とダミアンの強さ・高さ

川崎は53分脇坂に代えて長谷川、61分阿部に代えてレアンドロ・ダミアンを投入。長谷川を左SH、ダミアンをトップにおく。ここから川崎は長谷川の個、ダミアンの高さを生かした攻撃をしてきます。マリノスのDFは外はある程度割り切って中に絞ります。川崎はそこを上手く突いてきました。川崎の右サイドにボールを運びマリノスのDFを中に絞らせると、中盤を経由して左ワイドにいる長谷川に展開。長谷川の縦突破からクロス。これにダミアンが合わせる。この形で１失点してしまいましたが、仲川のプレスバックもありその後失点することはありませんでした。またロングボール１発でダミアンがDFの背後をとり、体の強さを生かしてシュートまで持っていく場面も何度かありました。この２人は脅威的な存在でした。

６．さいごに

　最後までお読みいただきありがとうございます。
結果は4-1の勝利！！絶対王者川崎をマリノスのサッカーで圧倒できたのは見ていて気持ちよかったです。支配率こそ今季で一番低かったですが、「後方から繋ぐ、ハイライン・ハイプレス、偽SB」と２年間積み上げてきたもの全てを出せた、マリノスのサッカーが出来たと思います。
　残り１試合。勝って満員の日産で最高の瞬間を味わいましょう！！

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