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商業bl感想『遥か遠き家』

遥か遠き家 八田てき
(2023.8.20記)

まじでずーーっと前からffさんにおすすめされてて、あらすじとか聞いて自分も気になってた遥か遠き家!!
やっと読めました、本当にやっとです。
ネタバレガンガンしていくので未読の方はご注意くださーい!!
とりあえず先に簡単に……満足です!面白かった!!
さすがの八田てき先生、絵がめちゃくちゃ繊細で綺麗で、表情の機微や瞳の輝きまで細かいところが読み取れてとても良かったです。
ffさんに、私がめちゃくちゃ好きそうって勧められたり、メリバっていうことも知ってたので、まぁとりあえず死ぬだろうな〜とは思ってたけどやっぱ心中か、、
逃走劇なんだからそうなるよね、だけど海外設定だからこそ逃走劇が活きるというか、よりおしゃれで魅力的に感じました。
最初読んでた感じだと、アランが心に深い傷を負っていて、ヘイデンが慰める的な感じかな〜絆されかな〜と思っていたのですが、読み進めるとそんな優しいものではないよねっていう。
ヘイデンも過去に様々なことがあって、お互いが抱えている状態。
だからこその何もかもを捨てた安住の地への逃走劇。
とにかく構造や設定がおしゃれだなと。
全然逃避行関係ないんですけど、なぜか海外が舞台となると高確率で私の脳内に🍌🐟が降ってきて勝手にメソメソした気持ちになります……本当に余談でした。
割とこの話難しいな〜と思ってしまったのは宗教が絡んでくるからなのかもしれませんね、理解がないわけではないけど自分がノンポリだと共感はしづらいなぁ。
だけどアランの両親の異常さ(なんて言ったら偏見になるかもですが)や醜悪には気持ちの悪さを感じたし、例えば宗教って "信じる者は救われる" って言うけど、私はそれは救われてる気になってるだけだと思ってて。
信じてない者=外野 から見れば異常者に映ることもあると思ってます。
なので「神なんかに祈ったところで救ってくれないのに親は自分に見向きもせず神神神」っていうアランの嘆きは共感できるなと。
宗教の話、本当に難しいし、深いところまであまり話したくはないんですけど、あくまでも主語が私ということを念頭に置いておいて下さい……
例えば今世界では宗教を信じる方々もいればそうでない方もいるわけですけど、家族全員が宗教を信じているのに自分は信じていないっていう環境はかなりしんどいんじゃないでしょうか。
「自分が普通。周りがおかしい」と思い込もうにも、「おかしいのはお前だ」と常日頃から浴びせられれば人間はおかしいのは自分だと錯覚してしまうようになるのではないでしょうか。持論ですが。
長いこと難しい話をしてすみません、物語に戻ります。
それを踏まえると、やっぱりあの家に、神という威厳に縛られてしまっているアランを救い出すには逃避行という選択肢しかないですよね……
終盤で二人が抱きしめ合いながら「一緒に居られる世界を探しに行こう」っていうシーンがあるんですけど、ここが私的に大事なポイントかなと思ってます。
二人が一緒に居られる世界、二人が生きていると感じられる世界。
ヘイデンはアランを救いたくて、だけどアランにとって外の世界は息をするには楽すぎて苦しい。
神の御名も、罪も罰も赦しもない、遠い遠い場所へ、二人だけの家へ、そう考えるとタイトルと繋がってきてブワァァとなりました……
私の好きなシーンは、車でスピードを出しすぎてしまった時にアランが「ねえ!捕まる!」と言うんですが、それに対してヘイデンが「捕まらない 俺たちは捕まらない」と微笑むところです。
この時の捕まる捕まらないはスピード違反の話だけど、このヘイデンの言い方が長く大きな意味での捕まる捕まらないに聞こえて、表情も相まってグッときてしまいました。このお話、グッとくる場面が本当に多くてキリがないんです、、
実は挙げたい場面めっっちゃくちゃたくさんあって、神父の話もマリアの話もしたいんですけどそうするととんでもない長文になってしまうと思うので好きなシーン1つに絞らせていただきました…悲しい(T-T)
感想を書くにあたって読み返したんですけど、読み返した時の方が面白く感じました。
1回目内容を捉えて理解した後に2回目細かいところに着目すると、結末が分かってても泣けてしまいますよね。
本当に大好きな話だしこれからも愛読し続けます…
やっぱり私は逃避行作品大好き…!!
BLではないのですが最近殺人後逃避行をするお話を読んだのでそれにも重ね合わせてしまって感情ズタボロです、でもこんな心の状態が大好きです(ドM)
私もそうなんですが、黄昏の腐女子には絶対読んで欲しい一冊でした!

https://x.com/konanenohonne/status/1762455170301223064?s=46から引用

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