ACL(AFC Champions League)のグループステージでは勝点いくつ取れば何位?(追記:20210625)
概要
・ACLのグループステージ1位には勝点13くらいほしいよね.
・ACLの決勝トーナメント進出のボーダー勝点は10かな?
の根拠を述べます.
(20210625追記)
・中国の実力に関する仮説に基づいて計算をし直しました.
・その際,初版の処理(勝敗の条件分岐)に結構大きなミスがあったので修正しました.慌てて作るといけないですね….
ACL,開幕しました
ACL(AFC Champions League)が開幕しました.我らが名古屋グランパスは初戦白星.たいへんにめでたいです.(ダイジェスト動画はここに埋め込んでも見せないよ!とおこられるようですので,適宜リンクを踏んでご覧ください)
開幕直前に「そういえば何年か前の卒研でACLのデータとってた学生がいたな…」と思い出してデータを掘り出しました.
ACLは出場クラブがかなり入れ替わるので,国名単位で実力評価を行おうと思います(その時の卒研でもその方針で行ってました).手法はいつも使ってる↓のものです.
やっていることはEURO2020の予測とほとんど変わりません.
掘り出したデータは2017年で終わっており,AFCのウェブサイトがどうやらデザインが更新されていて試合結果が2018年からしか記載されていない,ということに気が付き,結局2018-2020の3シーズン分の試合結果を整理することになりました.
試合結果は予選やプレーオフまで含む285試合(同国対戦18を含む)を利用しました.参加国数は23(西10,東13)でした.前述のとおりチーム名ではなく国名ごとに集計し直し,「その国からACLに出場したチームの平均的な実力」を評価します.
評価とグループステージ予測
各国の評価はこんな感じです.
東西は決勝でしか対戦せず試合数が少ないので,東西間の比較は不正確である可能性が高いです.基本的に同一地区内の実力比較に利用する方法です.
実力評価に基づく予測得点割合(横軸)と実得点割合(縦軸)を示します.
赤縦線は日本対マレーシアの(過去3年に出場したチームの平均的な)実力差の評価で,緑丸はそこから評価が近い25試合を選んだものです.18勝5分2敗と,かなり実力差があるという評価です.
今回は個別のグループ予測を行うのではなく,「ACLのグループステージでの勝点と順位の関係」を調べます.国単位で実力を評価してしまっているので,クラブごとの実力を評価できていないためです.
主結果です.(20210625差し替え)
横軸はグループステージでの勝点,上図はシミレーションで現れた回数(10グループを1000回ずつシミュレーション).下図は勝点ごとに順位の比率を集計したものです.
(追記20210625)この記事を書いた日まで公式ではグループFのうち1チームがTBA(追って告知)となっていましたが,今日見たらフィリピンのチームが明記されていました.開幕後ですよ…(追記終わり)
下図からわかるように,勝点13あれば70%くらいの割合でグループ1位であることがわかります.
じゃぁ決勝トーナメント進出は?
ACLは今年から出場チーム数が32→40になり,決勝トーナメント進出の条件が変わりました.詳しくは↓などをご参照ください.
「東西各地区,それぞれグループ2位の5チームのうち上位3チームずつ」の条件が非常に面倒なんですが,近似として「シミュレーションで,各組2位になった勝点のうち多いほうから6番目」を集計します.勝点ごとのヒストグラムが下図です.(20210625差し替え)
「グループ2位のうち上位」の条件で勝点12が除外されることはほとんどなく,ボーダーラインは勝点10から11であることがわかります.平均は10.227でした.
参考までにすでにグループステージが終わっている西地区では,2位の勝ち点が13, 10, 10, 10, 9でした.勝点10,得失点差+2まで並んでいて総得点まで使って順位が確定しています.
中国チームの実力は…?(追記:20210625)
どうやら中国のチームは諸般の事情により若手主体でACLに出場しているようです.
従って,中国からの2チームは実力を差し引いて評価する必要があります.(ここの工作をしていて間違いに気づきました)
どの程度実力を差し引くのか?が難しいですが,中国より評価が低い国を選び,中国チームがその国の実力と同じになったと仮定してシミュレーションを行います.「シミュレーションで,各組2位になった勝点のうち多いほうから6番目」の平均を計算した結果を下表に示します.
レーティング0は過去3年の全参加国の平均です.中国がレーティング0(オーストラリアくらい)まで下がったときはボーダーラインが下がります(引き分けが増えてグループ内の総勝ち点が減るため).しかし,それよりもレーティングが低くなった場合は,そのチームが上位チームに献上する勝点が多くなるため,ボーダーラインは上昇します.過去3年で最も評価が低かったシンガポールと同等まで下がると,ボーダーは10.5近くまで上がります.
その,最も極端な条件での勝点と順位のシミュレーションはこちらです.