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FIFA女子ワールドカップの拡大をランキングポイントから眺める

概要

・FIFA女子ワールドカップの出場国が拡大されるそうです.

・どの程度の実力差になるのかを公式ランキングポイントから眺めます.男子とも比較します.

・女子の1位-32位間の差は男子だと1位-176位に相当する,と公式ランキングは言っています.

本文

FIFA女子ワールドカップは次回2023年大会から出場国が32に拡大されるそうです.

女子ワールドカップといえば,13-0が記録されたことは記憶に新しいですね.

32カ国に拡大することで(どこの地域からのチームを増やすのか,はありますが),大会内の試合の質についての懸念が出てくるわけですが,この記事では公式ランキングポイントで実力差を評価してみます.

FIFA女子ランキングポイント

女子のランキングポイントは男子よりも早くポイント交換法式に変更されています.これは,予測される試合結果と実際の結果との差に基づき,対戦した2チーム間でランキングポイントを交換する方式です.公式の説明はこちら.

「ランキングポイント差+200は勝率が約0.76であることを意味する」という記述を信用すると,Eloレーティングと同じスケーリングを利用していると解釈できます.数式は以下です.

p=1(1+10^(-delta_r/400))),....(1)

ここで,delta_rはランキングポイント差,pは予測勝率を示します(引き分けは0.5勝0.5敗とみなす).

仕込が終わったところで,公式ランキングを眺めましょう.

1位のアメリカは2180点です.拡大でどこ地域から増えるかはわかりませんが,とりあえず32位を探してみます.現時点(20190801)での32位はウェールズの1667点です.

これを(1)式に入れて電卓なんかで計算すると,アメリカの勝率は0.95くらい,と出ました.20回対戦して1回勝てるかどうか(しかも,引き分けを0.5章として)のチームが混在するそうです.

1位と対戦したときの予測勝率を図示します.ランキングには158チームがいますが,とりあえず50位までです.

横軸がランキング,縦軸がFIFA公式ランキングお墨付きの勝利予測確率です.アメリカ(1位)の突出っぷりがすごい.

男子はどうなの?

男子ランキングも見てみます.男子も最近ポイント交換法式に変更されました.実はこの方式は計算が簡便な割には実力評価の能力がそれなりに高い(=未来の試合の予測精度が高い)ことがさまざまな競技で判明しているものでして,FIFAは女子での成果を踏まえて男子ランキングを変更したことになります.

数式が好きな方は以下のリンクから予測モデルをご確認ください.

女子の400点差が男子の600点差に相当するそうです.こちらも1位と対戦したときのFIFA公式お墨付きの予測勝率を図示します.

こちらは全211チーム図示してみました.女子の32位(p=0.05)に相当するのは男子では170位あたりですね.アジアだとカンボジアがそのあたりです.

「男子だとワールドカップアジア地区予選二次ラウンドで0勝8敗(1得点27失点)に相当するチームが,女子だとワールドカップ本大会に出られる」

ということを,FIFAはそれなりに良くできた公式ランキングと過去の試合結果のデータベースを持ちながらも決定したことになります.奇妙ですね.

長文拝読ありがとうございました.



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