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1990年代のアジアサッカー内での日本代表の実力って結局どうだったのだろうか.

2026年のサッカーワールドカップは出場国が32から48へ大幅に拡大.アジアの枠も4.5から8.5へほぼ倍増となることが確定しました.

その前の拡大は1998年フランス大会の24→32.この時アジア枠も2から3.5へ拡大されました.その後2002年日韓大会で4.5(ホーム2国含む)となり,ホーム枠がなくなった後も4.5枠となり現在に至ります.

アジアトップ国の実力評価の推移

1994アメリカ大会の予選は今でも語り継がれる「ドーハの悲劇」で出場を逃しました.3.5に拡大された後も,個人的な印象では「韓国,イラン,サウジアラビアになかなか勝てていないので,最終予選のグループ2位もなかなか難しいなぁ」だったと思います(25年近く前なので記憶を改ざんしている可能性もありますが...)

実際,日本はイランとのプレイオフまでもつれ込んだのち初出場を勝ち取っています.

今日はアジアトップ国の実力評価の推移を算出し,上記の「グループ2位もなかなか難しいなぁ」という印象の検証を行います.

評価手法はいつも使っている手法です.(修正した)得失点割合からロジスティック回帰を通して実力評価値を算出し,そのあと勝率を説明できるように変換するものです.

データベースはいつも使ってるめちゃいいやつです.

各年の1月1日時点での実力評価を,過去4年間にさかのぼって算出します.
比較対象をアジアトップ国(韓国,イラン,サウジアラビア)および世界トップ国(ブラジル,ドイツ)として,日本とのレーティング差,および日本と対戦した時の予測勝率(正確には,勝ちを1,引き分けを0.5としたときの期待値)を算出しました.結果を示します.

日本とのレーティング差の推移
日本に対する予測(勝+0.5引分)率の推移

やはり,1990年代前半は韓国,イラン,サウジアラビアになかなか勝てていなかったことがわかります.この状況でアジア全体の2位というのはかなり難易度の高い課題です.
Jリーグ開幕と前後して日本代表も強化が実り,1993年以降評価値が改善されます(1992年にはホーム開催のアジアカップで初優勝.評価には直近4年の成績を利用しているので,遅れて反映されます).しかし1995~96年のあたりでは,最終予選のグループ2位争いでも簡単ではないぞ,と思うのもあながち間違っていなかったことがわかります.

2002年以降長くアジアトップの実力評価でしたが,2017年以降はイランの後塵を拝し韓国とアジア2番手を争っています.サウジアラビアの低迷もあり,2005年以降「アジア4番手まで=ワールドカップ出場」は実力を発揮できれば超えられる現実的な難易度の課題であったことがわかります.

ついでに世界との距離を見ると,2002年以降南米やヨーロッパのトップ国に評価が近づいていた時期がありました.近年は徐々に離されつつあります.このあたりはサッカーのグローバル化,ヨーロッパサッカーへの資金流入などの要因と合わせて分析すると面白そうです.

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