A型？B型？血液型じゃなくて、障がいのある人が働く場所の話

もともと福祉とほとんど関わりがなかったので、施設見学に伺った際に「うちはB型で…」、「うちは“ちかつさんがた”で…」と説明していただいてもなんのことやらさっぱりわかりませんでした。
今日は血液型ではなく、障がいのある人が働く場所の話をざっくりしてみたいと思います。

ざっくり言うと......

障がいのある人の働く場所は大きく分けて2つ。企業等での就労と福祉サービスの中での就労・生産活動があります。

企業等での就労
①企業等での一般就労（一般枠）
②企業等での一般就労（障がい者雇用枠）
③特例子会社での就労

福祉サービスの中での就労・生産活動
④就労継続支援A型、B型
⑤地域活動支援センター
⑥生活介護

試験勉強みたいになっちゃっていますが、あくまで“ざっくり”ですのでどうかブラウザはそのままでお願いします。

それぞれについて少し補足しますね。

企業等での就労

①企業での一般就労（一般枠）
障がいのない人と同じ条件で働くことです。障がいのあることをあらかじめ伝えずに働くため「クローズ就労」とも呼ばれています。

②企業等での一般就労（障がい者雇用枠）
障がい者手帳を持つ人が応募できる雇用枠で、クローズ就労と対比して「オープン就労」とも呼ばれます。わたしも新卒で入った会社では耳の不自由な方と一緒に働いていました。普段の業務はメールで行っていたので、耳が不自由なことは知らず、書類を届けに行った際にマスクをしていたら「マスクを外してください」とジェスチャーされたことで気づきました。唇の動きを読んでくれていたんですね。

③特定子会社での就労
「法定雇用率」って耳にしたことありませんか？2018年に行政機関が障がい者雇用を水増ししていることが発覚し、大きなニュースになったことを記憶してる方も多いと思います。日本では法律で、国や公的機関は2.5％、民間企業は2.2％障がいのある人を雇用するよう義務づけており、これを「法定雇用率」といいます。障がい者ではない人を障がい者とカウントし、行政機関が法定雇用率を満たしていることにしちゃった事件です。（ここでいう“障がい者”とは主に障がい者手帳を持つ人のこと）
ちょっと？いや、かなり強引な言い方ですが、民間企業に求められている法定雇用率2.2％を達成するために作られた会社が「特定子会社」です。厚生労働省のHPに載っている一覧を見てみると、親会社にはわたしでも知っているような大手企業がずらり。2019年6月時点で517社と、全国的に数が少ないのが特徴です。
《参考資料》厚生労働省「特例子会社一覧」

福祉サービスの中での就労・生産活動

④就労継続支援A型、B型
一般企業等での就労が困難な人に働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う福祉サービスです。A型とB型の大きな違いは、雇用関係の有無。A型では事業所と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給料が保証されています。わたしの住む広島県の最低賃金（時給）はこの記事を書いている2020年6月時点で871円です。B型では雇用契約を結ばないため、賃金ではなく、生産物に対する成果報酬の工賃が支払われます。B型の平成30年度の全国平均工賃は、月額で16,118円、時給で214円です。
《参考資料》厚生労働省「平成３０年度工賃（賃金）の実績について」

⑤地域活動支援センター
通称「地活（ちかつ）」は、「日中の居場所が欲しい」、「地域で活動する仲間が欲しい」など、地域における日中活動の場が欲しい人を対象にしている福祉サービスです。事業の内容によってI型、II型、III型に分類されています。サービスの一環として生産活動を行っている事業所があります。④就労継続支援より地活の方がのんびり、ゆったりしているイメージです。

⑥生活介護
常に介護を必要とする人に、日中、入浴・排せつ・食事の介護等を行うとともに、創作的活動または生産活動の機会を提供する福祉サービスです。広島ひかり園では生活介護サービスの生産活動として野ノ湯をつくっています。

これだけは伝えたい！

ハローワークによると働くとは「会社と労働契約を結ぶこと」。教科書的には⑤地域活動支援センターと⑥生活介護は働く場ではないのかもしれません。
わたしが以前勤務していた事業所は、地活からB型へと事業形態を変えましたが、利用者の皆さんが仕事に対してまっすぐ向き合う姿勢と、職員が少しでも工賃を上げたいと奔走する姿は変わりませんでした。働く場所の“くくり”にとらわれず、一人ひとりがやりがいを持って働ける職場と、がんばったらちゃんと報われる環境が整うよう「こんこん」として微力ながら貢献していきたいと思います。